家庭用エアコン

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真夏日が24日連続するなど、連日うだるような暑さで寝苦しい夜が続いている。また熱中症の発生も急増しており厚生労働省も熱中症への注意を促している。猛暑が続く近年日本の夏にもはや欠かせないないのが、室内を快適な温度に保ってくれるエア・コンディショナー(エアコン)だ。
熱中症の予防法は難しくない - J-CAST ニュース

一昔前までは設定した温度の冷風を送るだけだったエアコンだが、最新のエアコンは特定の位置に風を送ったり、人の居場所や動きを検出して運転モードを切り換えたりとハイテク化が進んでいる。

そこで今回は、エアコンの歴史とともにそのハイテク技術に迫ってみよう。

■エアコンの歴史とそれを支える技術
エアコンはどのようにして生まれたのだろうか。またエアコンにはどのようなハイテク技術が使われているのだろうか。

●エアコンのはじめて
エアコンが誕生するまで、人々は夏の暑さをしのぐために様々な工夫を凝らしていた。日本の文化ともいえる団扇や風鈴も、涼をとる由緒正しき道具だ。ちなみに扇風機の国産第一号は1894年(明治27年)、芝浦製作所(のちの東芝)が直流エジソン式電動機を利用して製作した。

東芝エアコン大清快 エアコンの歴史 1935(昭和10)年 日本のエアコン歴史、開幕 - 東芝

世界最初のエアコンには諸説あるが、現在のような冷凍空調によるエアコンは1930年、アメリカの科学者トーマス・ミッジェリー氏がフッ素と塩素の化合物フロンガスの開発を行い、そのフロンガスを冷媒としたエアコンが直ちに商品化された。

フロンガスを使った冷媒は無味無臭かつ燃えないことから理想的な冷媒法とされたが、フロンガスの生産量はわずか5年で30倍以上にもなったというから驚きだ。よく知られているように、フロンガスは地球のオゾン層を破壊する原因物質のひとつであることから、その後のエアコンはフロンガスを使用しない製品に進化することになる。

国産第一号のエアコンは1952年、日立製作所が開発した「EW-50」だ。当時のエアコンはウインド型(窓型)と呼ばれ、窓をふさぐようにして窓枠に取り付けるタイプで、今日のゆおな室内機と室外機に分けるセパレートタイプ(スプリット型)ではなく、窓をガタガタと揺らしてうるさかった。また、この頃のエアコンは冷房専用で「クーラー」と呼ばれていた。

東芝エアコン大清快 エアコンの歴史 1961(昭和36)年 室外機は外!室内機は内! - 東芝

スプリット型のエアコンは1961年、東芝の開発した「CLU-71」(室内機)と「CLA-7H」(室外機)が世界初とされる。現在主流のエアコンの原型となった。


●エアコンを支える技術
エアコンは液体の性質を利用し、室温をコントロールしている。「気化熱」と呼ばれるが、液体は蒸発するときに周りの熱を奪う性質を持っている。運動して汗をかくのは、汗が蒸発するときに体の熱が下がるからだ。不思議に思えるかもしれないが、打ち水で涼しくなるのも同じ原理だ。

・冷房の仕組み
冷房の場合、圧縮機で高温高圧になった気体は室外機の熱交換器に入り、ファンによって冷却される。そのときに気体が放熱しながら液化され、渦巻状の毛細管で圧力を下げられる。液体は室内機の熱交換器に入り蒸発する際、周りの熱を奪うので、そこを通る風が冷たくなるという訳だ。低温低圧になった気体は、再び室外機の圧縮機に戻され、同じ動作を繰り返す。

・暖房の仕組み
前述の冷房のサイクルを逆にした動作がエアコンの暖房だ。冷房は室内を冷やして暖かい空気を屋外に排出するのに対し、暖房は冷たい空気を屋外に排出して室内を暖かくする。

エアコンを暖房にした場合、室外機のモーターの回転は、冷房の場合と同じ向きだが、四方弁の向きを変えることで、室内を暖めることができる。

【図解】 雑学 エアコンの仕組み 家電なんでも情報局 - アイディーシー(idc)


●エアコンの種類
エアコンは用途の違いで家庭用と業務用の2種類に大別できる。

・家庭用
家庭用エアコンは、圧縮機・凝縮器をひとつにした「室外機」と、蒸発器が内蔵された「室内機」で構成される「セパレート型」、家庭用エアコンは「ルームエアコン」とも呼ばれ、圧縮機・凝縮器・蒸発器が一体化された「ウインド型」の2種類に分類される。場所をとらない天井ビルトイン型はセパレート型に含まれる。

・業務用
ひとつの室外機で複数の室内機を使用できる「ビル・マルチ・エアコン」、
コンビニエンスストア専用の冷凍・空調統合システム、ガスエンジンで圧縮機を駆動して冷暖房を行う「ガスエンジンヒートポンプ(GHP)」、ガスの代わりに灯油を使用する「灯油エンジンヒートポンプ(KHP)」、車や鉄道で使われる車両用エアコンなどがある。


■最新のハイテクエアコン 大集合
最新のハイテク技術を利用したエアコンには、どのような製品があるのだろうか。各メーカーが販売する最先端のハイテクエアコンをまとめてみた。

●フィルターを自動でお掃除 - ナショナル
大晦日で部屋の大掃除をした経験がある人の中には、エアコンのフィルターを綺麗にするのに苦労された人もいるであろう。この掃除の手間を省くエアコンがナショナルのエアコン「CS-X288A」だ。

「CS-X288A」は「エアロボ」と呼ばれる機能により、フィルターもその奥の汚れも綺麗に掃除してくれる機能を備えている。

エアロボにおまかせ。 - ナショナル


●除菌イオンでハウスダストを除去 - シャープ
綺麗に見える部屋でも、ハウスダストがまん延している。シャープのエアコン「W-SX/SV/SH」では、除菌イオンにより、空気中のダニやカビ菌、ウイルスの除去に加え、部屋にしみついたニオイを脱臭してくれる。

フィルター自動掃除・電気代の節約はシャープのエアコン - シャープ


●センサーで人を感知 - 三菱電機
三菱電機によると、室内の場合、体感温度の決定要素としては、約5割が床や壁の温度(輻射)、約3割が温度、約2割が湿度という。つまり、人が感じる温度は床や壁の温度で約5割決まってしまうのだ。

なぜ床温度を測るの? - 三菱電機

同社のエアコン「霧ヶ峰」には、人や床、壁の温度を検知するためのロボットの目「新・人感ムーブアイ」が搭載されている。「新・人感ムーブアイ」は、縦に並んだ8つのセンサーで構成され、左右94分割のメッシュ状で部屋全体を752エリア(18×94)にわけて見張る。

新・人感ムーブアイ - 三菱電機

霧ヶ峰では、人がいる場合には部屋全体ではなく、そこにいる人を中心にエアコンの気流を届ける。人が部屋からいなくなると、不在省エネ運転に切り替わり、電気代を節約するというテクノロジーを備える。さらにふだんから人がいるエリアを学習し、その生活エリアに効率よく風を送ることができる。


■エアコンが抱える問題と対策
エアコンが抱える一番の問題は消費電力が大きいことだ。夏に電力消費が増大するのもエアコンなどの空調機による要因が大きく、温暖化問題からも節電が促されている。家庭でもできる節電方法としては、冷房は温度を高め、暖房は温度を低めに設定したり部屋のカーテンを閉めるように心かけると節電効果を期待できる。

メーカーによっては、ユーザーに省エネを意識してもらうための機能を備えたエアコンを提供しているところもある。たとえば、ナショナルのエアコンの中には、冷房28度以上、暖房20度以下の省エネ推奨温度に設定すると、「ニコニコマーク※」がリモコンに点灯する機種が存在する。※マークの大きさは機種によって異なる

エアコン - ナショナル

また近年、大都市部でのヒートアイランド現象が進んでいるが、室内の温度を下げるために使用したエアコンの室外機から排出された熱によりさらに気温が上昇するという悪循環も発生している。

ストップ「ヒートアイランド現象」 東京都が緑化計画に本腰 - J-CAST ニュース

さらに健康面に目を向けると、エアコンの冷房効果により低体温症の人や汗を掻かない子供が増えるといった事態もメディアを中心に社会的な問題として取り上げられている。


参考:
エア・コンディショナー - ウィキペディア


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