中国の富裕層が殺到でウハウハ状態...トラブル続出でも儲かる民泊 業者が注目する「次のねらい目」
うなぎのぼりの民泊需要
民泊業界が大きな転機を迎えている。所轄の観光庁への事業届出数は約57000件にまで増え、市場規模は今や8000億円ともいわれる。一大産業として成長を続ける一方、騒音やゴミ問題など、地域住民との度重なるトラブルが問題視されてきた。
7月には、観光庁などが自治体に対して「民泊により住宅地の居住環境が損なわれる場合、当該地域での営業を条例で事実上禁止できる」と通知。政府も、地域の住環境に影響を及ぼす場合は民泊の禁止を妥当とする見解を示している。
これを受け、民泊業者は危機感を募らせている。東京で民泊事業を営む男性が打ち明ける。
「住宅宿泊事業法、通称・民泊新法が成立する前の ’17年ごろの民泊業界は、基準を満たしていない施設が乱立するバブルのような状態でした。コロナ禍で一時は下火になったものの、ここ2〜3年で民泊に参入する事業者が急増。都心部を中心に需要はうなぎ上りとなっています。東京23区に限れば、ほぼすべての駅の周辺に民泊施設がある、と言っても大袈裟ではない」
特需の背景に訪日外国人旅行者の増加があるのは周知の通り。ホテルなど宿泊施設の価格高騰も特需に追い風となっているだろう。ホテルや旅館に比べて民泊は割安だからだ。前出の男性は「周辺のAPAホテルの価格から1〜2割下げた価格設定を行うと予約が埋まりやすい」とも明かす。
旅行のスタイルの違いも民泊の需要増加に一役買っているようだ。ホテルが少ないことで知られる中野区でスーツケースを引きずっていたアメリカ人の家族が、民泊で宿泊する理由をこう明かした。
「我々は海外旅行の際、民泊を利用することが多い。安いし、自宅にいるような感覚で生活できるからね。家族で海外に長期滞在をするなら、ホテルよりもコンドミニアムや一軒家のほうが適しているよ。こう考える外国人旅行者は少なくないと思う」
富裕層が集まる白浜エリア
国が推し進めるインバウンド政策の波に乗って民泊事業者が乱立するなか、’18年6月に先述の民泊新法が施行された。以降、少しずつ市場は成熟していったのだが、民泊業者を取り巻く状況は悪化しているという。前出の事業者が続ける。
「都心部の民泊の多くは、賃貸で契約した物件を貸し出す又貸しのような形が大半です。私たちの肌感覚では、トラブルを嫌がる周辺住民との兼ね合いで、民泊はNGという大家さんが9割以上を占める。ようやく貸してくれる大家を見つけても、相場の2倍近い家賃を吹っ掛けられることが多い。
防犯カメラの設置などの費用もかかる。副業で簡単に、というほど甘い世界ではないですね。それでも、初期投資の回収にはそんな時間を要さず、年間で百万円程度の利益を出すことはさほど難しくないから、手間や初期費用がかかっても参入したいという業者は後を絶ちません」(同前)
いま、民泊業者が目を付けているエリアはどこなのか。
「和歌山県の白浜エリアが人気です。温泉や海があり、『どこかノスタルジック』というのが理由です。ここ3年ほどで、うちから白浜の物件を買ったのは全員中国人でした。富裕層の中国人が別荘を購入して業者に又貸して、中国人の旅行者が民泊で利用する――というビジネスが成り立っている。物件の管理も中国人が行っています。万博が終わり、値崩れによって悲鳴を上げている特区民泊業者が多い大阪とは対照的です」
都心部を中心とした民泊施設の増加は、騒音トラブルやゴミ問題などの多発と背中合わせでもある。観光庁が方針転換したのも、地域住民と利用者のトラブルの増加が理由とされる。民泊と地域との共生は、各自治体など行政の判断に委ねられることになっていきそうだ。
