西洋美術を「物語」でめぐる、ちょっと新しい美術入門──作家・望月麻衣さんの『空想美術館』ガイド
西洋美術に興味を持ったけれど、作品名や画家名を覚えるだけになってしまいそう。そう思ったことはありませんか。そんな方におすすめしたいのが、作家・望月麻衣さんによる『望月麻衣の空想美術館(イマジナリーミュージアム)』です。実在する西洋美術の名作や知る人ぞ知る作品まで、空想上の美術館をめぐるように楽しみながら、その見方や背景を物語の流れの中で知ることができます。
NHKテキスト『ラジオビジネス英語』に連載中の『空想美術館』。この記事では、物語を読み進めるうちに名画や建築の見方が少し変わる、『空想美術館』ならではの楽しみ方をご紹介します。
「本がひらく」特別転載タイトルイメージより
「空想美術館」ガイド
この連載の舞台は、望月さんが思い描く空想上の美術館。読者は毎回一つの展示室を訪れ、そこに置かれた西洋美術の建築や作品を通して、美術史の世界を少しずつ広げていきます。
美術館には、西洋占星術から着想を得た10の展示室があります。それぞれの部屋には星の名が冠され、王道の名作から知る人ぞ知る作品まで、テーマに沿った作品や建築が並びます。実在する名建築や名画が、空想上の美術館の展示室として再配置されることで、「なぜこの作品がここに置かれるのか」「星のイメージとどう響き合うのか」を考えながら読み進められます。美術史に詳しくなくても、物語の入口から作品に近づけるのが大きな魅力です。
「展示室」の楽しみ方と、これまで登場した作品たち
それでは、これまで連載で登場した3つの展示室を覗いてみましょう。どの作品が登場するのかだけでなく、それぞれがどんな入口になっているのかもご覧ください。
著者撮影
第1回で登場するのは、イタリア・ミラノを代表する大聖堂、ドゥオーモです。望月さんが実際に訪れて心を奪われたというこの建築は、空想美術館の外観のモデル。その壮麗な姿、そして望月さんが美術館のホールに配置する意外な展示物が、これから始まる美術館めぐりへの期待を高めてくれます。
《サン=ベルナール峠を越えるボナパルト》――「太陽の間」を彩るナポレオンの肖像画
Jacques-Louis David, Public domain, via Wikimedia Commons
第2回の展示室「太陽の間」で来館者を迎えるのは、ジャック=ルイ・ダヴィッドによる《サン=ベルナール峠を越えるボナパルト》です。荒々しい山道を進むナポレオンの姿は、英雄像がどのようにつくられていくのかを考えさせる一枚。連載ではこの作品を入口に、ナポレオンとルーブル美術館の関わりへと視野が広がっていきます。
スクロヴェーニ礼拝堂 ――「月の間」に広がるジョットの壁画世界
Rastaman3000, CC BY-SA 3.0
第3回に登場するのは、イタリア・パドヴァにあるスクロヴェーニ礼拝堂です。内部を満たすジョットの壁画は、西洋美術史の大きな転換点として語られる重要な作品群。連載では、この礼拝堂をモデルにした展示室「月の間」が登場し、青く輝く天井や物語性豊かな壁画世界を通して、中世からルネサンスへ向かう芸術の流れを体感できます。
『望月麻衣の空想美術館』には、西洋美術史を彩る建築や傑作が、展示室をめぐる物語の中で次々と登場します。これから先の展示室では、どのような作品や物語が待っているのでしょうか? 現在発売中のNHKテキスト『ラジオビジネス英語』7月号・8月号では、第4の展示室「水星の間」、第5の展示室「金星の間」を訪れています。ぜひ空想美術館の旅をお楽しみください。
第1回から第3回まではNHK出版「本がひらく」で無料公開中です。まずはミラノのドゥオーモから始まる空想美術館の入口をのぞいてみてください。気になる展示室が一つでもあれば、きっと次の扉も開きたくなるはずです。
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