【高校野球】名門校が震え上がる「波乱」を防ぐために…山梨学院・吉田監督が清峰時代に得た「鉄則」
◇第108回全国高校野球選手権山梨大会2回戦 山梨学院4―0巨摩(2026年7月12日 山日YBS)
第108回全国高校野球選手権山梨大会の2回戦が行われ、4季連続の甲子園出場を狙う山梨学院は4―0で巨摩を下し、準々決勝に駒を進めた。
名門には名門のプレッシャーがある。県下一の戦力を誇れば甲子園出場は最低ラインとされ「失うもの」を抱えながらの戦いになる。そんな精神状態だからこそ、時に波乱の展開は生まれる。
この日の山梨学院は嫌なムードが続いた。
初回に1点、2回に2点を奪うも、その後は無得点が続き、6回まで3―0と事前予想に反したロースコアゲームとなった。ただ、ナインに焦りはない。固い守備には隙がなく、無失策で4―0の勝利を演出した。失点の匂いはなく「波乱」の可能性を感じさせなかった。
試合後の取材。吉田洸二監督に波乱の展開は頭をよぎらなかったか、聞いた。
「ボールが緩い投手を相手にする時は選手も指導者も“点が取れる”と錯覚しがちなんです。もうウチが一番苦手なタイプっていうのは試合前から分かっていたので“とにかく点をやらない”と決めました。(先攻・後攻を決める)ジャンケンで勝って、後攻め(後攻)を取ってとにかくしっかり守ろうと。点をやらないっていう選択をしました」
巨摩の先発投手が遅球を操るタイプと知った時点で守りの野球に切り替えていたという。まるでサッカー日本代表の森保ジャパンが武器にした「水漏れを防ぐ守備」だ。清峰(長崎)の指揮官時代に味わった苦い経験が、早めの対応につながった。
「僕はね、清峰の時に“絶対に負けないだろう”って相手に負けたんですよ。その試合は初回の守備から5者連続三振を奪ったところからスタート。そのくらい力の差はあった。でも負けたんですよ」
「そこから絶対に勝てると思う相手でも選手を出し惜しみせず“これで負けたらしょうがない”と思える、その日のベストメンバーを選ぶことにしたんです。もちろん疲労を考慮する投手は違う考え方をしなければなりませんが、常にベスト。それが私の教訓なんです」
圧倒的に力量差のある相手と対する時は控え選手に出番を与えたくもなる。ただ、その気の緩みこそが「波乱」の源。それが清峰&山梨学院を甲子園優勝に導いた名将の結論だった。(アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)

