部活の遠征バス 料金2倍で利用激減… 業者への依頼は「ほぼ0」 中古バスを買うチームも
5月の事故で、死者や大勢のけが人を出した部活動の“遠征バス”の実情。料金高騰で、遠征バスの確保はいまや全国共通の課題となっています。
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5月6日、福島県の高速道路で高校の男子ソフトテニス部の部員を乗せたマイクロバスが衝突。生徒一人が死亡、20人が重症や軽傷の大事故となりました。
この事故をめぐっては、コストを下げるために貸し切りバスではなくレンタカーが使われ、運転手もプロではなく事故を繰り返していた人物で、適正チェックもずさんだったなど様々な実態が明らかに。
“遠征用バス”を所有する私立の学校 教員は講習も受けられる環境
(大同大学大同高校 戸倉隆校長)
「これは部活動を中心に、遠征の時などに生徒が乗って移動する際に使っています。学園で買ったものです」
ソフトテニス部やハンドボール部などの強豪校として知られる、名古屋の大同大学大同高校。マイクロバス2台・大型バス1台を学校で所有し、ほぼ毎週稼働しています。
運転は、委託業者から派遣されたプロのドライバーが中心ですが、手配できない場合は教員が行うこともあります。その際にも…
(戸倉校長)
「運転免許試験場に行って実地の講習を受ける安全運転講習と、学校に自動車学校の方を呼んで学科について説明をいただく講習があって、運転免許試験場に行った教員がマイクロバスについては運転できる」
安全運行のため、時間と手間を惜しまず学校をあげて取り組んでいます。
(戸倉校長)
「全国スタンダードや愛知県スタンダードがないので、各学校が生徒たちの活動の応援と安全を保証するような形で、ルールを作っているのが現状」
貸切バスの依頼に変化 例年利用が多い秋も「ほぼ0」に
ここでは、車両も運転手も余裕をもって用意できていますが、公立を中心に多くの学校は事情が違います。
(江南観光社 加藤徳弥代表)
「いろんな学校があって、結構利用していただける部活動は名札をずっと取っておいて」
愛知県江南市にあるバス会社「江南観光社あいみんバス」。マイクロバス5台を運行していて、3年ほど前までは、秋になると地元の公立中高の部活などからの貸し切り依頼が1日10件に上ることもありましたが、今は状況が全く違うといいます。
(加藤代表)
「ぶっちゃけた話、学校がない。依頼がない。去年の秋は、ほぼ0です。唯一あったのが9月25日に2台、26日に1台あっただけです」
秋は新人戦があるため、バスの需要が高いはずですが、今はほぼゼロに。その理由は…
(加藤代表)
「学校は運賃が高くなったので、バスを使わない形にシフトしていると思う。保護者の送迎や公共交通機関で行く」
国の制度改正でバス料金は「2倍」に
国は2023年、これまで曖昧だったバス料金の下限を大幅に引き上げ、過度な値下げができないように制度を改正。
さらに、去年も料金を改定。運転手の人手不足による人件費アップも伴い、貸し切り運行の料金は以前の倍に跳ね上がりました。
例えば今年3月の地元公立高校の遠征では、走行距離約100キロ・走行時間約11時間で料金は9万1300円。しかし、以前は…
(加藤代表)
「(3年前までは)4万円から5万円くらいでやっていたと思う」
「レンタカーとどっちが安い?」学校からの問い合わせも
また、5月の事故を連想させる、こんな相談を学校から受けることも。
(加藤代表)
「『レンタカーとどっちが安いですか』という質問はあります。正直にレンタカーではマイクロ1台で約2万円から3万円くらいだと伝える」
レンタカーの方が安い事を伝えると、貸し切りバスの依頼はやめてしまうことが多いと言います。
このバス会社では、減ってしまった学校遠征の穴を埋めるため、企業の送迎を増やして対応しています。
自前でバスを購入する「野球チーム」も
バス利用に悩むのは学校だけではありません。中学生ら約40人が所属する硬式野球チーム「名古屋西リトルシニア」。県内外問わず、強豪チームとの練習試合を大切にするチームは去年、遠征のため中古のマイクロバスを約350万円で購入しました。
(名古屋西リトルシニア 西尾雄太監督)
「購入して所持した方が、維持費を含めたとしてもチーム的には(費用が抑えられて)助かる。急遽遠征も入ってくるので、レンタカーはなかなか手配がつかない。その辺りも含めて、チームでバスを持っていた方がいい」
バスを点検・運転するのは保護者たち
この日は、そのバスで遠征に向かいます。出発前のバスの点検も運転も、保護者たちです。
(整備・運転担当 選手の父親)
「自動車屋さんで働いているので、乗りながら『調子悪くないかな』『違和感ないかな』と思いながら、気をつけながら運転しています」
(運転担当 選手の父親)
「普段大型トラックの運転手をしているので、安全には常に心がけている。一緒に行く監督もバスを運転できるので、運転できる人は絶対助手席に乗ってナビをしてくれたり」
チームで運行管理 保護者は「安心して送り出せる」
保護者の中に資格を持った人が偶然そろっていて、運行が適正にできています。
(選手の母親)
「整備会社に勤めている方が、定期的にエンジンかけたりオイル交換をしたり、整備をきっちりしてくれているので、運転する方も知っている方 親御さんや監督がしてくれているので、安心して『いってらっしゃい』といつも送り出せる」
(選手の母親)
「(心配は)0ではないですけど、ほかの方の運転でもらい事故という可能性もあるので、そこはちょっと心配ですけど、遠征先で遠方のチームと戦う機会は大切だと思うので、そこはチームを信頼しています」
運転手の労働環境や安全のために料金などの制度が変わる中、現場ではバスの利用が厳しくなっている現実。
子どもたちの成長をサポートするため、保護者や学校の試行錯誤が続いています。
