「非常識すぎる着こなし」に猛批判…?「外交問題に発展するおそれも」石破茂首相のファッションを人気スタイリストが徹底検証
「だらし内閣」「みっとも内閣」――。石破新内閣の発足後、ネット上に飛び交ったのは首相の身だしなみを揶揄する言葉だった。
石破茂首相は11日、国会で第103代首相に指名されたことを受けて第2次新内閣を発足させた。モーニング姿の閣僚たちが恒例である官邸での記念撮影を行ったが、その集合写真が再び話題を呼んでいる。というのも10月1日、第1次内閣が発足した際の首相の着こなしがあまりに非常識なものだったからだ。
石破政権への期待度が下がってしまった
モーニングは格式高い場における男性の正装として、細部にわたって厳密な着用マナーがある。ところが石破首相の場合はサイズが合っていないせいか、ズボンはずり下がってシワが寄り、裾が余ってだぶついていた。その上、眼鏡はブランドロゴのシールがついたままのダミーレンズだったことも発覚。緊張感のない表情や立ち姿も含めて、頼りなく、だらしなく見えると批判の声が上がった。
安倍晋三元首相のスタイリングを務めたイメージスタイリストの岡本章吾氏は、その時の印象をこう振り返る。
「衣装のサイズ感や着用マナーなど色々と気になる点がありましたが、何より姿勢や表情も含め、全体的に覇気がなく見えてしまったのが一番の問題に感じます。石破政権に任せれば日本が活力を取り戻せる、国力が復活する――あの写真を見た国民がそうと感じられず、今後の期待度が下がってしまった。政策以前に、ファッションや立ち居振る舞いでそのように受け止められてしまうのは非常にもったいないことだと思います」
今回の集合写真では前回の反省を生かしたのだろう、石破首相のパンツの裾はサイズぴったりで、しっかりとセンタープレスも入っていた。
アメリカ大統領選で生まれたイメージコンサルタント
アメリカやヨーロッパでは、政治家や企業経営者、士業など、外見の印象が重要な仕事に就く者は「イメージコンサルタント」を雇うことが多い。
1960年のアメリカ大統領選挙を機に生まれた職業で、クライアントにふさわしい服装や髪型に始まり、姿勢や歩き方、話し方など立ち居振る舞いに至るまでアドバイスを行う。当時、大統領選に出馬したケネディはほぼ無名の存在だったが、こうしたコンサルタントの助言を得て、テレビ討論会で巧みなイメージ戦略を行い、国民からの支持を得て選挙戦を勝ち抜いた。日本でも2000年代初頭から導入されはじめ、ここ10年ぐらいで急速に普及しているという。
「最近は記者会見やメディア出演時などのタイミングで依頼される方が増えました。昔から『外見で人を判断するな』という言葉がありますが、とはいえ最初は見た目でしか判断できません。服装や立ち居振る舞い、声色や話し方を見れば、その人の性格や経歴、人生観は何となく推測できるものです。
決してお洒落になる必要はありませんが、人の上に立つ方は服装でマイナスの印象を作らないことも大切です。いまの石破首相は、どんなに素晴らしい政策をお持ちだとしても、それ以外のところで評価されてしまう恐れがある。
以前のインタビューでスーツは作業着だと言われていました。服装や着こなしで印象やイメージ、そして相手の感情は変わります。国の代表でもあるお立場なので、作業着でなく戦闘着との認識をぜひとももっていただきたいです」
ファッションマナーが外交問題に発展するおそれも
問題なのは内閣発足時のモーニング姿だけではない。石破首相のファッションがゆくゆくは外交問題に発展する恐れもある、と岡本氏は指摘する。
「特に、欧米のエグゼクティブ層はファッションマナーに厳しい視点を持っています。自国内にさまざまな民族や宗教を抱え、複雑な背景を持つ人が混在しているため、自身の衣装や振る舞いがどう見られるかということに常に注意を払っている。政治家は個別にスタイリストを付けている方も多いです。日本ではあまり意識されませんが、ヨーロッパ、特にイギリスでは、幼少期からドレスコードやファッションマナーを家庭で身につける文化があります」
実際、イギリスではことあるごとに政治家のファッションや着こなしが注目を浴びる。大手紙のテレグラフ紙やガーディアン紙はしばしば政治家のファッションマナーをチェックする記事を掲載し、そのセンスを厳しく観察している。決してお洒落かどうか、高級なものを着ているかどうかを見ているのではなく、本人の思想や生き方を衣服によって表現する知性や品格があるのかを問うているのだ。
では、石破首相の場合、どのようなスタイリングに変えれば一国のトップにふさわしいファッションになるのだろうか。
「スーツは柄物を避けて、基本的にはネイビーかグレーの無地がいいでしょう。少し光沢があり、高級感のある生地を選ぶと、品があり誠実な雰囲気になります。
サイズ感も重要です。首相は恰幅が良いので、既製品をそのまま着用されるとジャケットに加えスラックスの裾が太く長くなり、全体的に緩い雰囲気が生まれてしまう。スラックスの裾幅は少し狭く、丈感は床から2センチほど短くするとバランスよく見えます。適度なゆとりを持たせつつ、程よくスタイリッシュさを取り入れるのがポイントです」
安倍晋三元首相の巧みなイメージ戦略
ネイビーやグレーとひと口に言っても、色のトーンで受ける印象は異なる。
「石破さんの場合はネイビーやチャコールグレーなどの色合いをお勧めしたい。濃いグレーは外交時に貫禄を示したいときに有効です。ネイビーは欧米の首脳たちの定番で、誠実さや知的さを打ち出す色になります。また世界中で最も好感度の高い色です。
ちなみに、安倍晋三元首相も紺のスーツをよく着用されていましたが、一般的なネイビーより、あえてもう一段明るい色をお召しになっていました。国際社会の場で会談や記念撮影をする際に、普通の色味だと周りに埋もれてしまう。人の目を惹き、強い印象を残すためにワントーン明るいものを選ばれていたのです。
無地がふさわしい理由は、スーツの柄により印象が異なるからです。ストライプ柄はビジネスライクな印象が強くなりますし、一方でチェック柄はカジュアルすぎる。国際スタンダードとしては、柄物は取り入れないほうがいいですね」
スーツに合わせるシャツのセレクトも重要だ。
「ストライプなど柄物のシャツをお召しになっているのを見かけますが、ネクタイの合わせも難しくなりますし、基本的には無地を選んでいただきたい。上質な素材の白かサックスブルーが適しています。白はクリーンで潔白なイメージを強調できますし、サックスブルーは海外の富裕層も好む色。ビジネスシーンでも推奨される、国際スタンダードとなる2色です。
サイズ感は、スーツの袖からシャツが1〜1.5センチ見える程度が望ましいですね。いまお見受けする限りでは、スーツの袖が長くシャツが見えない時が多く野暮ったく、だらしない印象を与えがちです。ここを意識するだけでも雰囲気は変わります」
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【つづきを読む】「石破さんのヘンなネクタイ選びのせいでトランプに悪印象を与えるおそれも」…世界では常識、人気スタイリストが解説する「石破ファッションの問題点」
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