松本人志 文春訴訟終結に芸能界復帰への思いとその覚悟 記者の視点
昨年12月発行の「週刊文春」による、女性に性的行為を強要したとの報道で名誉を毀損(きそん)されたとし、発行元の文藝春秋などに5億5000万円の慰謝料を求めていたダウンタウン・松本人志(61)が8日、訴えを取り下げた。これにより今訴訟は、初めから裁判所に係属せず、訴え自体がなかったものという扱いとなる。松本は同日、代理人弁護士を通じて声明を発表。自身との会合に参加した女性に対し謝罪したが、性加害の有無については「物的証拠はない」などとする従来の主張を繰り返すにとどめた。
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松本は活動休止を発表した1月8日に「事実無根なので闘いまーす」と文春側との闘いに一歩も引かぬ姿勢を見せていた。そこから10カ月。訴訟を終結させたのは、「芸能界復帰への思い」が1番にあったからだろう。
7月に一時期は投稿が止まっていたXの「復活宣言」をした際には、さまぁ〜ずの三村マサカズが「普通に飲みましょう」と反応するなど、芸人や芸能界の仲間が続々と反応。芸能界にとってもショックな出来事だったが松本の復帰を待ち望む声は後を絶たなかった。
一方で、松本は女性たちとの酒席を認めた上で「参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」と謝罪した。松本にも言い分はあるにせよ、被害を訴えた女性が「不快な思い」をしたことは確かで、そこに向き合う必要があることは言うまでもない。
一連の出来事で、松本に対して「見る目」が変わる人がいるのは間違いないだろう。その上で、大幅なイメージダウンを承知で訴訟を取り下げ、芸能界への早期復帰を志すことを選んだ。裁判の開始直前、「一日も早く、お笑いをしたいです」とつぶやいた“笑いのカリスマ”が、どのような形で新たな出発を迎えるのか。その覚悟を見守りたい。(デイリースポーツ・松尾舜)