りくりゅう 1年7カ月ぶり国内戦で魅せた首位発進 2年ぶりVへ「フリーで自分たちに勝つ」
「フィギュアスケート・NHK杯」(8日、国立代々木競技場第一体育館)
女子SPは第2戦優勝の坂本花織(24)=シスメックス=が今季世界最高の78・93点でトップに立った。ともに自己ベストを更新した千葉百音(木下アカデミー)が71・69点で2位、青木祐奈(MFアカデミー)は69・78点で3位。男子SPは鍵山優真(21)=オリエンタルバイオ・中京大=が105・70点で首位発進。三浦佳生(オリエンタルバイオ・明大)が自己最高の102・96点で2位、壷井達也(シスメックス)が85・02点で3位につけた。ペアSPは三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)が71・90点で1位。計6戦の総合成績で6位までがファイナル(12月、フランス・グルノーブル)に進む。
前後に並ぶ形でフィニッシュポーズを決めた“りくりゅう”は、悔しげな表情を浮かべて向かい合った。「ダブルした(3回転ジャンプが2回転になった)の?」。木原は見えていなかった部分を三浦に尋ねた。早速反省会を開いた2人だったが、SP首位は守った。三浦は「リカバリーできて良かった」と一定の手応えも示した。
黒の衣装に身を包み、最終滑走で登場。序盤のサイドバイサイドと呼ばれる同ジャンプを2人で跳ぶ技では、3回転トーループで三浦がバランスを崩したが、その後はまとめあげた。木原は「ベストな演技はできなかったけど、ミスを引きずることなくまとめきれたのは成長できた」と収穫を語った。
昨季は木原の腰椎分離症で、シーズン前半を欠場。日本での試合は約1年7カ月ぶりとなった。本番リンクに入ると、感動の光景が広がっていた。「たくさんの観客の皆さまが“りくりゅう”タオルを掲げてくださっていた。滑る前からすごく勇気をいただいて頑張れた」と木原。三浦も「滑ることができて本当にうれしい」と笑顔だった。
昨季苦しんだことで、手に入れたのは強い精神力と結束だった。「けがを経験したので少しのことでは折れなくなった」と木原。三浦も「けがをしたことでお互いよく話すようになって、お互いのコンディションをすごく理解するようになった。そういうところは本当に良かった」とうなずいた。
粘ったSPを終え、9日にフリーを迎える。計6戦の総合成績で6位までが進むGPファイナル(12月、フランス・グルノーブル)もかかるが「ファイナルは目指したいけど、あしたのフリーで自分たちに勝つ」と木原。冷静な切り替えで、2年ぶりの優勝を狙う。