矢野経済研究所、国内の外食市場に関する調査、2023年度の外食市場規模は31兆2411億円とプラス成長
矢野経済研究所は、国内の外食産業の調査を行い、業態別の市況、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。2023年度の外食市場規模は31兆2411億円とプラス成長し、コロナ禍前を上回る水準にまで回復した。
2023年度の国内外食市場規模(持ち帰り弁当・総菜専門店等の中食業態を含む)は、末端売上高ベース(消費者支払金額ベース)で前年度比6.5%増の31兆2411億円と推計した。2023年は、コロナ禍における行動制限が求められなくなり、社会経済活動が回復に向かった。年間を通して外食需要の回復基調が継続したことで、市場規模はコロナ禍前を上回る水準にまで回復した。
業態別にみると、コロナ禍でも好調だったファストフードは、コロナ禍後もテイクアウトとデリバリーの定着などで好調を維持している。ファミリーレストランはコロナ禍で不採算店舗の整理を進めたとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などによって、客席設置のタブレット端末やスマートフォンを用いたセルフオーダー・会計システム、配膳ロボットの導入による省人化など、業務効率化を図ったことで店舗内での生産性が向上している。すし、うどん・そば店、中華レストラン・ラーメン店、カフェなどの専門性の高い業態についても回復している。一方で、居酒屋、パブ、ビアレストランは、宴会需要も戻りつつあり回復基調にあるものの、コロナ禍で店舗数自体が減少していることから、コロナ禍前の水準には達していない状況にある。
近年、原材料費や人件費、物流費などが上昇しており、参入企業各社は対応を迫られている。食材の変更や物流の見直しなどによるコスト削減に取り組んでいるが、それだけでは従来価格の維持が難しく、価格改定をせざるを得ない状況になっている。2021年後半から数々の外食チェーンが値上げに踏み切っているが、物価高騰が続くなかでコストを充分に吸収しきれず、年に1〜2回のペースで定期的に実施している企業も少なくない。一方で、値上げによる客離れを抑制すべく、単に商品価格の値上げを行うのではなく、品質の向上や改善にも取り組むことで、消費者の納得を得られる商品価格と品質のバランスをとるように努めている。そのほか、賃料や人件費の違いを踏まえて地域ごとに商品価格が異なる地域別価格制度を導入したり、人件費が日中に比べてもかさむ深夜営業のコストを補填するために深夜料金の導入を進める動きもある。
2024年度の外食市場は、コロナ禍から社会経済活動が復調したことから、2023年度と比較しても来店客数が増加することが見込まれる。また、価格改定などの施策によって客単価が上昇することが想定されることから、国内外食市場規模(持ち帰り弁当・総菜専門店等の中食業態を含む)は末端売上高ベース(消費者⽀払金額ベース)で、前年度比2.9%増の32兆1423億円を予測する。
[調査要綱]
調査期間:6月〜8月
調査対象:外食関連企業(主要チェーン、有力企業)
調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電子メールによるヒアリングならびに文献調査併用
[小売価格]16万5000円(税込)
矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp