【異変】夏の記録的猛暑にカメムシ 秋に収穫期を迎える果物にダメージ増加(静岡)
旬を迎える静岡の名産品、三ヶ日みかんに次郎柿・・・ ことしは大量に発生したカメムシと記録的な暑さの“ダブルパンチ”でピンチに陥っています。現場を取材しました。
山の斜面にミカン畑が広がる浜松市浜名区三ヶ日町。温州ミカンのトップブランド「三ヶ日みかん」の産地に“異変”が起きています。
(西尾 拓哉 記者)
「こちらの農園は、広大な敷地に1500本ものミカンの木が植えられていますが、農園の中を見てみますと、傷んでしまったミカンも見受けられます。」
(カネカみかん狩り園 外山尉雄さん)
「カメムシがくると皮まで傷んでひどくなると落ちてしまう。普段は(木から)落ちないけれど、多少吸われても。ことしは多かったですね、落ちたのが」
Q。例年に比べてどのぐらい多い?「例年の2~3倍は落ちました。ミカンが色づくときにくるので、ミカン農家にとっては大敵です。」
ことし大量に発生しているカメムシの影響を受けています。
県によりますと、夏の高温やエサとなるヒノキの実が豊作だったことから、その数は何と例年の10倍。フェロモンを出して仲間を呼び寄せる習性があるため、被害が一気に広がりやすいのも特徴です。
気温が下がって、ようやくカメムシの発生は落ち着きましたが、黄色く色づく前のミカンの果汁を吸われ“変形”して売り物にならないミカンも多かったといいます。
さらに、もう一つ頭を悩ませているのが“長引く暑さ”です。
(カネカみかん狩り園 外山尉雄さん)
「色づきに一番影響しますね。ミカンに色がつくのですが、まだ青いのが多いです。紅葉と同じで、気温が低くならないと色が抜けないですね。三ヶ日町でも1~2週間は遅れていると思う。出荷が」
Q例年だと?「例年だと、もう最盛期ですけどね。まだこれから収穫するかなという感じですね」
気象台によりますと、今シーズン、浜松市で観測された夏日は平年の130日を大きく超える161日でした。
こちらの観光農園では、カメムシによる被害と、暑さによるミカンの日焼けや生育の遅れにより、収穫量は例年より2割ほど減る見込みだといいます。
猪鼻湖を臨みながら楽しめるミカン狩りは11月が最盛期ですが、来週は再び気温が高くなる見通しで生産者は気をもんでいます。
(カネカみかん狩り園 外山尉雄さん)
「やっぱり気温が下がってほしいですね。20~30年前と比べると雨が降ると雨がずっと続いたり、晴れが続くと日照りになったりね。農業には厳しい気候になりましたね」
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森町の名産品・次郎柿も“ダブルパンチ”の影響を受けています。
7日行われたのは、明治時代から続き、ことしで111回目となる、皇室に献上する次郎柿の梱包作業です。コクのある甘さがのったおいしいカキができましたが、生産者の太田知宏さんは“カメムシと暑さ”対策に追われた厳しいシーズンだったと振り返ります。
(生産者・太田知宏さん)
「ことしは日照りが強く、葉が落ちてしまったり、カキにとってはつらい1年だった。あとは、8月のカメムシなどの害虫がひどくて、きれいな柿が傷ついていくのが見ていて悲しかった」
太田さんの農園では、水の管理などを徹底したこともあって、カキは順調に生育。今のところ、例年並みの収穫量だということです。
(生産者・太田知宏さん)
「無事に数を揃えることができて安心の一言。11月に入り冷え込んできた。どんどん甘くなっていくと思う」
静岡の名産品を襲ったカメムシと暑さのダブルパンチ。ようやく気温は下がりつつありますが、生産者は頭を悩ませています。