「造船業協力」をピンポイントで強調したトランプ氏、韓国を対中牽制の前哨基地とみなす可能性
米国大統領選挙で勝利したドナルド・トランプ氏が7日、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領との初めての電話会談で、造船業をピンポイントで指定して協力を要請したのは、中国の「海洋崛起」を念頭に置いた布石と読める。
トランプ氏の言及は米中覇権競争の舞台であるインド太平洋地域で、米国が中国の海軍力におされているという危機意識が反映された可能性がある。米国戦略国際問題研究所は6月に公開した報告書「超国家的脅威プロジェクト」で、中国の戦艦(234隻)が米海軍の219隻よりも多いと評価した。そのうえで「日本・韓国のような同盟が中国の“数の優位”を克服するために有利」と助言した。
さしあたり、船舶補修・修理・整備(MRO)分野は両国間協力の余地が大きい。米国の立場で、艦艇を外国造船所で建造するのは法的制限があって難しいが、MRO分野では韓国の支援が必要だ。
米海軍は2025年テスト事業で外国造船所に艦艇の修理を任せる計画を立てたが、韓国を優先順位に挙げている。カルロス・デル・トロ海軍長官が2月に訪韓してHD現代重工業とハンファオーシャンを視察した。
先月30日に開かれた第56回韓米安保協議会議(SCM)でもMRO協力が初めて話し合われた。共同声明は「両国長官は艦艇のMROサービス実行に向けて、最近米海軍が大韓民国造船所と締結した契約を高く評価した」と明示した。共同声明が言及した契約とは、8月に韓国造船業として初めてハンファオーシャンが米海軍補給艦ウォリー・シラーの補給所整備事業を受注したことを意味する。韓国軍関係者は「例えば、米空母が韓国でMROを受けて、インド太平洋はもちろん欧州の作戦を展開する姿を米海軍は思い描いている」と説明した。
HD現代重工業は2022年韓国企業として初めて海外MRO事業を開始した。ハンファオーシャンは6月、米国フィリー造船所の株式を100%買収した。韓国造船会社による初の米国造船所買収だ。
一方、この日2社の株価はそれぞれ15.13%、21.76%急騰した。