固まった背中や下半身が気持ちよ〜くゆるむ…運動科学者が今でも欠かさず行う体操「ルースニング」とは何か
引き続き、筋トレ効果を高めるため、鍛える前後に継続的に行いたい体操・ストレッチを高岡英夫氏の著書『レフ筋トレ 最高に動ける体をつくる』より紹介する。「一日中パソコン作業で、肩や背中がガチガチ」「営業で歩き続けて足が棒のよう」というビジネスパーソンにもおすすめしたいお手軽で超効果的なな運動だ。
【前編】鍛える前に「ゆるめる」! 筋トレ効果も身体の調子もグーンと上がる「お手軽ストレッチ&体操」9選
ヒップジョイント ルースニング
(1)ウナ踵乗芯法
左足の「ウナ」で右足の踵の上の端を踏むようなつもりで左足を上下動させます。右踵を貫き美しいシルバーの地芯を突き通すようなイメージで行いましょう。「地、地、地、地」と言いながら行うと効果的です。反対の足も同様に行います。
ウナとは「脛骨直下点」のことで、読んで字のごとく、脛骨(すねの骨)からまっすぐ下ろした線が足底と交わる点です。足裏から見ると、足の幅の内側から2対3の場所にあり、おおむね(1)のイラストの位置です。
(2)仙骨まわり擦緩法
腰(仙骨から腰椎にかけての部分)を、「ここだよ」と言いながら擦ります。とくに仙骨は、左右それぞれの指4本を使ってていねいに擦りましょう。固まって反りかえった腰が、ゆるみときほぐれるように、そして反りがなくなっていくように行ってください。
(3)仙骨まわり揺解法
仙骨まわり擦緩法を行い、仙骨から腰椎にかけての固まった反りが減り、仙骨まわりがニュートラルなポジションになってくる感じがしたら、仙骨から腰椎、およびその周辺の筋肉を「ほぐれるように」「モゾモゾ」と言いながらゆすって、ときほぐしていきます。
(4)把由足転子回解法(はゆうそくてんしかいかいほう)
最初にCPSで立ちます。右足を軸足とし、左足は約90度開いて両足の間を指3本ほど離しましょう。左足の指先を床から1〜2mm上げ、左踵を中心に回軸運動をします。
次に左手でL字手法をつくって左大転子をつかみ、右手で中指突出法をつくって左転子を突擦します。転子をハッキリクッキリさせるように左脚の回軸運動を続けたあと、反対の脚も同様に行いましょう。
なお、CPS とは「クローズド・パラレル・スタンス(Closed Parallel Stance)」の頭文字をとった略称で、(4)のイラストのように、つま先を自分の真正面に向け、左右の足の内側を走るライン(内法)がぴったり重なるように両足を閉じる立ち方です。
(5)腰モゾ
あお向けに寝て全身の力を抜きます。両手両足を腰幅程度に開き、両膝は90度に曲げます。「モゾモゾ」と言いながら、腰を床にこすりつけるように左右に動かし、腰をときほぐしゆるめます。立った状態で壁に腰をこすりつけて行うやり方もあります。
(6)股関節まわり伸緩法A
大臀筋や外旋筋などのストレッチです。写真(6)ーAの姿勢をとり、体幹をゆっくり前傾させながら右大臀筋を伸ばします。体重をかけすぎないよう注意しましょう。反対側も同様に行います。
股関節まわり伸緩法B
外転筋群のストレッチです。写真(6)ーBのような姿勢でゆっくりと体幹を右に捻り、右外転筋群を伸ばします。無理に捻りすぎないようにしてください。反対側も同様に行います。
股関節まわり伸緩法C
股関節前面筋群のストレッチ。写真(6)ーCのような姿勢で右股関節前面筋群をゆっくり伸ばします。腰を反らしたり、股関節の前面を無理に伸ばしすぎないように注意して反対側も同様に行います。
ショルダーブレイド ルースニング
(1)肩脊広緩法(けんせきこうかんほう)
肩甲骨を使って右腕をプラーンと前方に振り上げ、両腕を胸の前でクロスさせ、左肘の内側で右上腕をふわっと受け止めます。左手の指で右肩関節をつかみ、右腕を伸ばしながら、背骨と右肩甲骨の間が広がるように、身体をまず左へ20度、次に右へ20度傾けます。反対の腕も同様に行います。
(2)肩脊挟解法(けんせききょうかいほう)
両腕を後方に振りながら腰に回し、右手で左手首をふわっとつかみ取ります。左手の甲を右の手の平にのせ両肘を伸ばしながら、肩関節と肩甲骨まわりを「モゾモゾ」と言いながら動かしてときほぐしましょう。体幹は反らさないように注意深く行ってください。左右の手を入れ替えて同様に行います。
(3)肩甲モゾ
左右の肩甲骨を「モゾモゾ」と言いながら上下左右に動かす運動です。左右の肩甲骨の間を広げたり狭めたり、外回転、内回転させたりと、さまざまな方向に動かし、次に片方ずつ同じ動きを行い、最後に再び左右2つの肩甲骨を、今度は互い違いに別方向に動かします。
バックボーン ルースニング
(1)壁柱角脊椎通し(へきちゅうかくせきついとおし)
壁や柱の角に背骨の右側1〜1.5cmあたりの部分(右脊側)を当て、寄りかかります。踵は角から20cmほど離し、その状態で身体を脊椎3個ぶんほど上下させましょう。4〜5回行ったら当てる位置を徐々に下げていきつつ、こすりゆるめていきます。左脊側も同様に行います。
リブ ルースニング
(1)肋骨擦緩法
右手で左側の肋骨を擦ります。鎖骨のすぐ下から胸骨の際、大胸筋、大胸筋を越して脇までをていねいに擦りほぐしましょう。皮膚から始まり脂肪層、筋肉とゆるみを深めていき、肋骨と肋骨の間も指先の腹で擦ります。右側の肋骨も同様に行ってください。
(2)肋骨揺解法
右の鎖骨を上にあげると奥に肋骨の1番があります。そこを左人差し指と中指で擦り、胸椎1番につながっているのを感じながら、前後・左右・上下・斜めにモゾモゾゆすり、ときほぐします。右側を肋骨10番まで1段ずつ同様に擦り、ゆすってときほぐしたら、左側の肋骨も同様に行います。
(3)背合揺緩法(はいごうようかんほう)
身長が同じくらいの人と背中合わせに立ち、「モゾモゾ」と言いながらお互いに背中をゆすって擦り合わせ、ほぐし合います。背中を上、中、下の3段に分けて上段から順に行いましょう。できる人は、さらに背骨の左右でも分けて6分割で行うとより効果的です。
(4)肩包体手擦はがし(けんぽうたいしゅさつはがし)
右手をヘラ手(親指を除いた4本指の爪を一直線にそろうように立てた手)にして左脇から入れ、肋骨の上に乗っている肩包体(肩関節、肩甲骨、鎖骨とそのまわりの筋肉からなる部分)を、上へ向かってはがすように擦っていきます。肩包体を上下にゆすりながら行うのがコツです。右脇も同様に行います。
(5)肋体肩包体ずらし(ろくたいけんぽうたいずらし)
「ゆるゆる、ズルズル」と言いながら、肋体(肋骨)と肩包体を、左右に互い違いになるようにずらします。肋体が左へ行くときは肩包体が右へ移動する、といった具合です。次に前後に互い違いになるよう、肋体と肩包体をずらしましょう。