【上田 恵子】「あんな機会はもう二度とないかも」知英(ジヨン)が語る、KARA”奇跡のステージ”の背景

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先日、日本での芸能活動を再開することを所属事務所のHPにて発表した知英(ジヨン)さん。韓国の事務所に所属しながら、日本の芸能事務所に業務提携という形で籍を置き、俳優としてソロアーティストして今後さまざまな活動をしていく予定だ。

そんな知英さんのこれまでの活躍を語るうえで欠かせないのは、KARAとしてのグループ活動。日本におけるK-POPブームの先駆けとして、紅白歌合戦にも出場するなど、日本中の注目を浴びた伝説のガールズグループだ。

インタビュー前編【15歳、初のオーディションで…知英(ジヨン)が語るKARAでのデビューと当時の葛藤】では、2008年に末っ子メンバーとしてKARAに加入することになったきっかけは、親戚のお姉さんの推薦によるものだったと明かしてくれた。後編では、デビュー15周年を迎えて再集結し、2024年8月に東京・大阪で9年ぶりに開催されたKARAのコンサートについて、そして故ク・ハラさんの声を収録した新曲について話を伺った。

ハラさんも一緒に、6人で歌った新曲を披露

2024年8月、東京と大阪で9年ぶりとなるKARAのコンサート『KARA THE 5th JAPAN TOUR 2024 “KARASIA”』が行われた。メンバーは知英さん、ギュリさん、スンヨンさん、ニコルさん、ヨンジさんの5人。このコンサートでは2019年にこの世を去ったメンバー、ク・ハラさんの歌声も披露された。

KARAの活動の中で、私たちは何かを決めるとき、必ずみんなで話し合って意見の多いほうを採用するんです。日本語だと……そう、“多数決”ですね! 2024年7月に発売した新曲を決めるときも、いくつかの候補がある中で、どの曲にするかについて多数決で決めました。その結果、『I DO I DO』が一番KARAらしい曲なんじゃないかということになり、採用されたのです。

もう1つ新曲として発表した『Hello』は、生前ハラさんがソロ曲としてレコーディングしていたもので、すごくいい曲なのでメンバー全員大好きだったんです。そこで私がKARAのステージをやるなら、ハラお姉さんの声を一緒に入れて歌うのはどうかな?』というアイデアを出し、メンバー全員で歌う『Hello』が完成しました。そして、コンサートで初披露することも決まりました。

大変だったのはそれからです。『Hello』をやるには、まずハラさんのご家族に許可を取らなくてはいけません。普通だったら、こういう連絡は事務所がします。でもスタッフさんに『事務所が連絡すると、どうしても“仕事”という感じになってしまう。メンバーの思いをきちんと伝えることが一番大切だし、何よりご家族もメンバーから連絡をもらうほうが嬉しいのではないか?』と言われ、なるほどと思いました。

メンバー全員で『誰が連絡する?』と話し合った末、ハラさんと一緒にKARAに加入し、お父さんとも交流がある私が電話をすることになったのです

ハラさんのお父さんに電話をすると…

故ク・ハラさんの曲を歌うための許可取りで、直接ご家族に電話をかけることになった知英さん。KARAというグループの、ビジネスを越えた絆を感じるエピソードだ。

「ハラさんのお父さんに電話をして、思いきって『アッパ(お父さん)、お久しぶりです!お願いがあるんです。日本でやるコンサートでハラさんの曲を“6人で”歌いたいんだけど、いいですか?』と尋ねました。

そうしたらお父さんが、『それは嬉しい、ぜひ歌ってあげてよ! 嬉しいなあ〜!』とすごく喜んでくださって。もともと私の父とハラさんのお父さんは仲が良くて、家族ぐるみで交流が続いていたのもありますが、快く了承してくださってホッとしました。

私たちもまさかコンサートで『Hello』を披露できるとは思っていなかったので、ハラさんの声を含めた6人で歌いながら、涙をこらえるのが大変でした。歌っている最中はずっと嬉しさと感動と……悲しい気持ちは今はもう落ち着いていますけど、『もしもオンニ(お姉さん)と一緒に歌えていたらどんな感じだったかな?オンニ、絶対に喜んでいるだろうな』と考えていました。

あんな機会は、もう二度とないかもしれない。本当に、すべてが奇跡みたいに上手く運んだステージだったと思います」

久しぶりに会ってもメンバーとは変わらない関係

メンバー5人でミーティングを重ねてコンサートを構成していくのは、とても楽しい作業だったと語る知英さん。メンバーの仲は良く、関係は以前と変わらず良好なのだそう。

「今も昔も、メンバーの雰囲気は全然変わりません。今回久しぶりに集まったときも、『昨日も一昨日も一緒だった?』というくらい自然な感じで、活動していなかった時期があったなんて信じられないくらいでした。ただ、やっぱり体力は10代の頃とは違うので、歌いながら踊るのは大変でしたね。ステージを降りた瞬間、裏では全員ハアハア言っていました(笑)。

打ち合わせのときは、リーダーのギュリさんが場をまとめてくれて、全員で平等に意見を出していくのが私たち流です。私はメンバーの誰かが意見を言うのを遠慮しているのかなと思ったときに、『こう言いたいんですよね?』と引き出す役割をすることもあります。

今回、個人的なことでいえば、ヨンジちゃんと一緒にコンサートをするのが初めてだったのですが、お姉さんばかりの中に同い年のヨンジちゃんがいてくれて、グループ内にお友達ができたようですごく嬉しかったです(笑)。

グループで何かを決めるときは多数決と先ほどお話ししましたが、それは『今日のご飯は何にする?』みたいに小さなことでもなんですよ(笑)。メンバーはみんな、誰かの意見を否定したり、自分の意見を押し通そうとはしません。

特にリーダーのギュリさんは、絶対に自分の考えを押し付けない人。一人一人の意見を尊重してくれます。だからこそ、みんながついていくし、今回のコンサートも上手くいったんじゃないかなと思っています」

知英(ジヨン/Jiyoung)

1994年1月18日生まれ。韓国出身。2008年、韓国にてKARAのメンバーとしてアーティスト活動をスタートさせる。2014年夏より、日本で俳優としての活動を開始。ドラマ 『地獄先生ぬ〜べ〜』『ヒガンバナ〜警視庁捜査七課』『連続ドラマW そして、生きる』、映画『暗殺教室 卒業編』『片想いスパイラル』、ミュージカル『スウィート・チャリティ』などの作品に出演。ソロアーティスト・JY としても活動。

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撮影/矢口亨 ヘアメイク/yumi(ThreePEACE) スタイリスト/CHAERAN KANG 取材・文/上田恵子

15歳、初のオーディションで…知英(ジヨン)が語るKARAでのデビューと当時の葛藤