元JAXA宇宙飛行士・山崎直子が語るISS生活と新開発の『宇宙シャワー』の可能性
元JAXA宇宙飛行士の山崎直子氏が、都内で行われた「ミラブルテクノロジーによる医療・宇宙分野の記者発表会」に出席した。国際宇宙ステーション(ISS)での生活環境の課題や新たな衛生管理の可能性について語った。

発表会では、シャワーヘッド「ミラブル」を展開するサイエンス社と、ISSの日本実験棟「きぼう」の運用を担当する有人宇宙システム社が進める共同研究の成果も報告された。両社は、宇宙空間で衛生的な生活を実現するため、立位型シャワー設備である「宇宙シャワー」の開発を進めており、2030年の実用化を目標に掲げている。

水資源が限られる宇宙空間では、シャワーを浴びられないことが、宇宙飛行士にとって長年の課題だった。新たに開発される「宇宙シャワー」は、ミラブルの特殊技術を活用し、少量の水で高い洗浄効果を実現できるよう設計されている。

山崎氏はISSでの生活環境について「宇宙船内は飛行機の中と同じで、24時間エアコンが稼働し、湿度は10%から20%に満たない極度の乾燥状態です」と解説した。また、「身体は乾燥を補おうとして皮脂を過剰に分泌し、乾きつつ脂ぎっている状態になります」と、特殊な環境下での身体の変化についても言及している。

さらに、山崎氏は「これまで宇宙ステーションは実験棟として捉えられてきたため、生活の質に対する配慮は十分ではありませんでした。掃除やトイレの後に手を洗うことができず、殺菌用アルコールティッシュはエアコンフィルターに負荷をかけ、引火の危険もあるため、使用できません。なので、少ない水量で清潔を保てる技術開発は、宇宙での生活改善に大きく貢献するでしょう」と語り、今回の取り組みに期待を寄せた。

▲ 元JAXA宇宙飛行士の山崎直子氏