晩秋も防災対策を忘れずに…ハザードマップの確認やマイ・タイムラインの作成、風邪やインフルエンザなど感染症対策への備えもしておこう

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秋の深まりとともに台風シーズンも徐々に終わりに向かうが、まだ油断は出来ない。季節問わず、自然災害に対する備えは非常に重要だ。大雨、強風など様々な災害が発生しやすく、事前の準備が被害を軽減する鍵となる。

ハザードマップで災害リスクと避難場所の確認

まず、自宅周辺にどのような自然災害のリスクがあるのかを事前に知っておくために、ハザードマップを確認しよう。ハザードマップは、住んでいる自治体のホームページや窓口で入手することができる。また、国が公開している「ハザードマップポータルサイト」もあるので、日常的にアクセスできるよう準備しておくのも良さそうだ。

そこには、洪水や土砂災害、津波、地震などの自然災害のリスクが示されている。日頃から確認しておくことで、防災対策や避難計画を立てるときに非常に役立つ。

たとえば、台風の接近によって大雨となり、河川の増水や土砂災害が起こり得る。自宅が浸水するリスクが高いエリアにある場合は、早めの避難が必要になる。また、土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定されているような場所では地盤が緩み、急激な土砂崩れが発生する危険性が高まるため、早めの避難を検討する必要性がある。

家族や地域との連携を図ろう

高齢者や小さな子どもがいる家庭では、災害が発生した際の対応を事前に話し合い、役割分担をしておくと良さそうだ。

災害時には迅速な避難行動が求められる。平時から、避難場所や避難所を家族や同居者と共有し、実際に避難する場合のルートを確認しておくと、非常時にも混乱は最小限に抑えられ、スムーズに避難することができそうだ。

実際に避難するときは、家族や友人と連絡を取り合い、どこに避難するのかを明確に伝えることも大切である。通信手段が限られる場合を考慮し、災害用伝言板の利用方法を確認しておくと安心だ。

また、自治体が主催する防災訓練に参加することで、地域の防災体制や避難所の位置、災害時の情報伝達手段について理解を深めることができる。近隣住民とも普段からコミュニケーションを取り合い、助け合いの体制を築いておくことが、いざというときに役立ちそうである。

マイ・タイムラインを作成してみよう

災害時の避難行動を計画する際に一助となるのが、マイ・タイムラインの作成だ。マイ・タイムラインとは、大雨や台風などの災害から自分自身と家族を守るために、あらかじめ時系列で整理した避難行動計画である。

先述のハザードマップを用いて、様々な災害リスクを知り、どのような避難行動が必要か、また、どういうタイミングで避難することが良いのかを自ら考え、さらには、家族と一緒に日常的に考えるものだ。いざというときに慌てることがないよう、避難に備えた行動を一人ひとりがあらかじめ決めておくことができる。

国土交通省のホームページでもマイ・タイムラインの作成方法が紹介されている。また、東京都のホームページには「手書きで作るマイ・タイムライン」があり、風水害からの避難に必要な知識を習得しながら、家族で話し合って、マイ・タイムラインシートを作成することができ、適切な避難行動を事前に整理できるようになっている。

気象情報をこまめにチェックする習慣を

普段から、気象情報へのアンテナを張っておくことも重要である。気象庁や民間の気象予報サービスが提供する情報を日常的に確認する習慣をつけよう。また、気象アプリやウェブサイトを活用し、警報や注意報などをすぐに受け取ることができるようにしておくのがおすすめだ。

そして、台風情報が発表されたときはもちろんのこと、「大気の状態が非常に不安定」といったキーワードが天気予報で伝えられたときは、豪雨や雷雨、竜巻などの突風のおそれもあり、注意したい。

線状降水帯に関する情報には、「線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ」と「顕著な大雨に関する気象情報」がある。

線状降水帯による大雨の正確な予測は非常に難しく、「線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ」が発表されたからといって、必ずしも線状降水帯が発生するとは限らないが、大雨になる可能性が高いため、注意・警戒したい。

一方、「顕著な大雨に関する情報」とは、大雨による災害発生の危険度が急激に高まる中で、「線状降水帯」というキーワードを使って解説。危険な場所にいる方は、市町村からの避難情報に従い、直ちに適切に避難行動をとる必要がある。

線状降水帯が発生している場合、短時間で危険なほどの雨量となる。このため、すでに土砂災害や洪水による災害発生の危険度が急激に高まっており、屋外への避難行動自体が危険である場合がある。

その際は家の中でも、崖や川から離れたできるだけ高い所で身を守るようにしよう。ただし、土石流が想定される箇所においては、危険な区域の外へ退避する、もしくは堅牢な建物の高層階に避難することが大切になる。

秋冬の災害への備え 寒さ対策必須!

災害への備えとして、家の周囲などの安全確認を行っておこう。冬場でも非常に発達した低気圧の影響などで暴風が吹くこともある。暴風警報や暴風雪警報が発表される可能性がある場合は、飛ばされそうなものはしっかり固定しておくと安心だ。

また、停電や断水に備えて非常用の備蓄品を準備しておこう。特に、秋から冬にかけては気温が下がるため、電力が止まると暖房器具が使えなくなり、室内が急速に冷え込むことがある。

電気を使わない暖房手段として、石油ストーブやガスストーブを準備しておくと良さそうだ。ただし、これらを使用する際は換気を十分に行い、一酸化炭素中毒に注意する必要がある。また、厚手の衣類や毛布、寝袋、カイロ(使用期限を確認しておこう)を用意しておくと、停電中でも寒さをしのぐことができる。

風邪やインフルエンザなど感染症対策も忘れずに

秋以降はインフルエンザや風邪、さらには近年の新型コロナウイルスの流行シーズンでもある。秋冬の防災対策は気象災害や寒さ対策に加え、感染症対策も考慮する必要がある。避難所に行く場合や、多くの人と接触する場面では、感染症対策をしっかり行おう。

避難所では、多くの人が集まるため、感染リスクが高まる。避難袋には、マスクやアルコール消毒液、体温計なども入れておくと良さそうだ。

また、災害時には体調を崩しやすくなるため、日頃から免疫力を高めるための健康管理も重要である。バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけることが、感染症に対する抵抗力をつけることに繋がりそうだ。

自然災害による不測の事態に備える

日本は災害大国であり、予測が難しい自然災害にも備えることも重要だ。例えば、急な大雨や地震、津波などが発生した場合でも、冷静に対応できるように日頃から防災意識を高めておくことが大切である。

家の中でも安全な場所を確認しておくことも忘れてはいけない。地震に備えて、倒れやすい家具などは固定しておくなどの対策もしておこう。また、もし家の中にいるときに地震が発生したら、倒れそうな家具や家電製品がない場所に避難することだ。平時から安全そうな場所を確認しておくことが大切である。実際、どこで災害に遭うか分からないが、様々な想定や備えをしておくことで、自分や周りの人の命を少しでも守る行動をとりたい。
【執筆:日本気象協会】