色とりどりの光の画像が千変万化する「デジタル掛け軸」を投射する催しが19日夜、熊本県荒尾市の荒尾干潟であった。市内外から約500人が訪れ、干潟の闇を彩る光のアートを楽しんだ。

 デジタル掛け軸は映像作家の長谷川章さん(76)が約30年前に考案。長谷川さんが描いた100万枚のデジタル画像が混じり合いながら微妙に移ろい、二度と同じ画像は出現しない。荒尾市では13年前から、世界文化遺産の旧三池炭鉱万田坑で計10回実施し、今回、初めて干潟に舞台を移した。

 この日はプロジェクターで堤防から砂浜、干潟まで広範囲にデジタル掛け軸を投射。その中を歩む来場者の体にも画像が映り、人と作品が一体化していた。福岡県大牟田市の会社役員福島賢一さん(59)は「よく夕日を眺めに来ているが、きょうは干潟の違った一面を見ることができた」と感激していた。

 (宮上良二)