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10月15日(火)は何の日か、知っていますか? 今日は高齢者のみなさんが待ちに待った「年金の振込日」です。この日を待ちわびたと心驚かせ、いつものように通帳に記帳したり、現金を引き出したり。しかし、ふと異変に気づき、肩を落としてしまう人も多いようです。

本日、10月15日は待ちに待った「年金支給日!」

年金は、原則年6回に分けて、偶数月の15日に支払われます。もし15日が土日や祝日の場合は、その直前の平日が支払日。また年金は原則後払い。本日、10月の振込みは8月、9月分。次の12月は10月、11月分が支払われます。

年金の支払い月と支払い対象月】

支払月「10月」→支払い対象「8月、9月」

支払月「12月」→支払い対象「10月、11月」

支払月「2月」→支払い対象「12月、1月」

支払月「4月」→支払い対象「2月、3月」

支払月「6月」→支払い対象「4月、5月」

支払月「8月」→支払い対象「6月、7月」

では、今どきの高齢者年金はどれくらいもらっているのでしょうか。厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、元会社員や公務員、老齢厚生年金受給者の平均受取額は、併給の老齢基礎年金も合わせて14万4,982円。これは原則65歳からの受け取り開始を、時期を早めることでそのぶん受取額が減額となる繰上げ受給者も含むもの。65歳以上の男性に限ると、16万7,388円で、65歳以上女性に限ると10万9,165円です。

また自営業や専業主婦などといった、老齢基礎年金受給者の平均受取額は5万6,428円。2022年度の老齢基礎年金の満額受給は年額77万7,800円。平均して年10万円、月8,000円ほど満額に届かずといったところ。

いずれにせよ、公的年金が生活のベースになっている多くの高齢者にとって、今日、10月15日は待ちに待った日なのです。

年金支給日に関して、苦々しい経験を思い出す小林修さん(仮名・66歳)。

――年金って、ある時、振込額が減るじゃない。あのときはワケがわからず、頭に来てしまった

年金月17万円…2ヵ月で約1.3万円の税金が天引きされる

老齢年金は雑所得。つまり課税対象。年金額に応じて、所得税と住民税が課せられます。基本的に年度当初時点で65歳であれば、9月までは納付書での支払い、10月からは天引き(特別徴収)が開始されます。たとえば、年金月17万円、年間204万円であれば、所得税は年2万3,000円ほど、住民税は5万6,000円ほどです。住民税は自治体によって変わりますが、月6,600円、2ヵ月分の振込みだと1.3万円ほどが天引きされるようになるわけです。

年金額面で月17万円ほどだった小林さん。年金が天引きされるようになるタイミングを知らず、いつものように記帳しに行ったら、「あれ、年金が減らされている!」と困惑、そして激怒してしまったといいます。

――あのときは、年金事務所の人に「ふざけるな!」と怒鳴り散らしてしまい……お恥ずかしい

ちなみに年金受取2年目も10月は鬼門です。受取2年目以降になると年間通じて天引きされるので、1年目のような衝撃はありません。しかし10月以降に「年金減額」に直面するケースがあります。年金からの天引きは、4月、6月、10月は仮徴収。そして10月、12月、2月は前年所得分に合わせた本徴収となります。このとき、所得が増えていた場合、当然、天引き額も増えるというわけです。

年金生活者の場合、年金自体はそう増えることはありませんが、たとえば不動産を売却した場合や、株式を売却した場合は合計所得が増え、当然、天引き額も増えます。

また年金が減額となるのは、働きながら「在職老齢年金」を受け取っている場合。年金+給与が上限(令和6年度は50万円)を超えると、その部分の年金は一部、または全額が支給停止となります。

ちなみに年金額から各種控除を行い、残った部分=所得に対して課税されますが、一定の額より少ないときは非課税となります。

複雑な年金制度。単に振込みひとつにしても「なぜ?」ということもいろいろ。そして「年金税金がかかる」ということも知らない人は意外に多く、「年金が減らされている!」と大騒ぎするシーンもよくみられます。年金から引かれる額をしっかりと把握しておかないと、老後の生活設計は大きく狂います。ある程度、手取り額を把握して、しっかりとシミュレーションをしておくと、老後の生活も安泰です。

[参考資料]

日本年金機構年金はいつ支払われますか。』

日本年金機構年金から税金が差し引かれています。どうしてですか。』

日本年金機構『老齢年金から税金が差し引かれていません。どうしてですか。』