ノーベル平和賞受賞決定を受け、日本原水爆被害者団体協議会（日本被団協）が１２日、東京都内で記者会見した。

　代表委員を務める田中熙巳さん（９２）は核兵器について「存在させてはいけない」と力を込め、「核なき世界」の実現を改めて強く訴えた。

　会見冒頭、田中さんは「本当かとあまり喜びはわいてこなかったが、けさになったらやっぱり本当なんだとうれしくなった」と振り返った。授賞理由について、被爆者の証言が重要な役割を果たしているとしたノルウェー・ノーベル賞委員会に「素晴らしい判断をしてくださった」と感謝した。

　石破茂首相から１２日昼にあったお祝いの電話で、現実的な対応に核抑止力が必要との考えを示されたと明かし、「論外だ。冗談じゃない」「存在させてはいけないんだ」と強調。直接の面会の申し出もあったといい、「徹底的に議論して説得したい」と述べた。

　核廃絶について「人類の課題だ。その中で被団協がどう役割を果たせるかだ」と今後の活動への思いを語り、「国民全体の問題で、将来を考えれば皆さんは被害者候補だ」と指摘した。

　会見には田中さんのほか役員３人が登壇し、オンラインでも代表委員ら３人が参加。会見は弾んだ声で始まったが、今後の活動などについて語ると徐々に熱を帯び、１時間半を超えた。会場には海外メディアを含む約１００人が集まった。

　この日は、日本被団協の木戸季市事務局長（８４）も岐阜市内で記者会見。「もらえると思っていなかったので、とにかく驚き、喜んでいる。一夜明け、多くの人が『おめでとう』と言ってくれた」と笑顔で話した。

　その上で「（核兵器を廃止しない）権力者を許している責任を、国民一人ひとりが考えないといけない」と訴えた。