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総務省統計局が行った「令和3年 社会生活基本調査」によると、6歳未満の子どもを持つ世帯が家事や育児などに費やす時間は、夫が1.54時間、妻が7.28時間だったそう。そんななか、家事シェア研究家の三木智有さんは、家事育児をひとりに頼り切らない「チーム家事」というスタイルを広めるため活動しています。そこで今回は、三木さんの著書『家族全員自分で動く チーム家事 日本唯一の家事シェア研究家が導き出した』から、家庭生活をより良くする考え方を一部ご紹介します。

【書影】仕事・家事の両立をあきらめない「家事シェア」メソッド。三木智有『家族全員自分で動く チーム家事 日本唯一の家事シェア研究家が導き出した』

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家事スキルの差

家事のチーム化には、お互いの予定、連絡事項、育児のやり方や子どもの様子など、「情報」の共有が欠かせません。でももうひとつ、大きな溝を生む情報格差があります。それが家事スキルの差です。

家事のやり方は、夫婦と言えど全然違います。ですが、やり方なんて違っていてもよいはず。それなのに、なぜ夫婦で家事のやり方が違うことでモメてしまうのでしょうか。

家事のやり方が違って困るのは、家事の「結果」が変わるからです。

掃除をするときに、椅子をテーブルの上に上げて掃除機がけをするか、椅子をどかしながら掃除機がけをするかなんて、どっちだっていい。

ただ、テーブルの下もしっかり埃を吸い取る、という結果がズレてくると、そのプロセスでモメることになります。

子どもとのすれ違いも

子どもにお手伝いをお願いしたとき。テーブルを拭いてとお願いしたのに、まだ汚れていることがあります。

そこで「テーブル拭いてって言ったじゃん」と言っても、子どもは「拭いたよ!」と言うばかり。

「だから、ちゃんとキレイに拭いて」
「ちゃんとキレイに拭いた!」

こんな不毛なやり取りをした経験はありませんか?

これは、結果じゃなくて「拭く」という行為に意識が向いているために起こってしまうすれ違いです。

「やった」「できてない」というモメごと

同じようなことは、他にも色々なところで起こります。

「洗濯物をたたんでってお願いしたら、たたんだままその辺に置きっぱなし。しまっておいてくれるとか、それができなくても端っこにまとめておいてくれるとか、そのくらいは気を利かせてほしい」


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「雨が降ってきたから洗濯物取り込んでおいてって言ったら、ソファの上にぐっちゃぐちゃに取り込んでた。信じられない……」

「ゴミ捨てをお願いしたら、捨てるだけやって、ゴミ袋のセットはしてくれてない」

などなど。家事を頼むときは、「片付けて」「食器を洗って」「洗濯して」「衣類をたたんで」「買い物して」「夕飯をつくって」というように、「動作の指示」が多くなります。

これでは家事が終わった後の状態(結果)を共有できず、「やった」「できてない」というモメごとが起こってしまう。

家事のやり方にモヤモヤする原因

その一方で、家事へのこだわりが強い場合、結果だけじゃなく、そのプロセスまで同じでないと気がすまない人もいます。

そこまでの自覚がなくとも「何が悪いの?」と聞かれてもうまく答えられず、「なんか違う……」とモヤモヤしてしまう人は、このプロセスの違いに納得がいってない場合があるのです。

このように、家事のやり方にモヤモヤする原因は「結果の違い」と「プロセスの違い」のふたつがあるのです。

これらは両方とも「これが当たり前」「こうでなきゃおかしい」という思い込みによるすれ違いとも言えます。

そのやり方がたとえ専門家から学んだ正しい家事のやり方であったとしても、家事シェアにおける正解とは限らないので注意が必要です。

※本稿は、『家族全員自分で動く チーム家事 日本唯一の家事シェア研究家が導き出した』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。