LinkedInはMicrosoftが所有する世界最大級のビジネス特化型SNSであり、記事作成時点のユーザー数は全世界で10億人を超えています。そんなLinkedInが、ユーザーから同意を得ることなく、勝手にユーザーデータを生成AIのトレーニングに使っていたことが判明しました。

LinkedInでコンテンツの作成に使用される生成AIモデルのトレーニングに、LinkedInがお客様のデータを使用するかどうかを制御する | LinkedInヘルプ

https://www.linkedin.com/help/linkedin/answer/a6278444



LinkedIn Is Quietly Training AI on Your Data-Here's How to Stop It | PCMag

https://www.pcmag.com/news/linkedin-is-quietly-training-ai-on-your-data-heres-how-to-stop-it

How to stop LinkedIn from training AI on your data | Ars Technica

https://arstechnica.com/tech-policy/2024/09/how-to-stop-linkedin-from-training-ai-on-your-data/

LinkedInは2024年9月中旬に、ひっそりと「LinkedInでコンテンツの作成に使用される生成AIモデルのトレーニングに、LinkedInがお客様のデータを使用するかどうかを制御する」というヘルプページを公開しました。

このページには、LinkedInがライティングアシスタントなどの機能に生成AIを利用しており、LinkedInやその関連会社が開発した生成AIのトレーニングにユーザーデータを使用していると記されています。LinkedInが使用するデータには、ユーザーのプロフィールや投稿したコンテンツなどが含まれており、ユーザーはデータの使用を許可するかどうか制御できるとされています。ここで記されている「関連会社」は、Microsoftが所有する企業を指しているとのこと。



この設定はコンテンツの生成に使用されるAIのトレーニングに限定されたものであり、LinkedInのパーソナライズやセキュリティ、信頼性、不正防止を目的として使用されるモデルなど、その他の目的で使用されるAIの開発には適用されません。また、生成AIのトレーニングにユーザーデータを使用しなくても、AIがコンテンツを生成する時にデータが使用される場合があるとのことです。



ユーザーデータをAIトレーニングに使用するかどうかは、ユーザーの「設定」画面から「データプライバシー」を選択し、「生成AI改善のためのデータ」を開くと選択できます。この項目はデフォルトでオンになっているため、多くのユーザーは自分が気付かないうちにデータをAIのトレーニングに使われていたとみられます。

海外メディアのArs Technicaの問い合わせに対し、LinkedInの広報担当者は「人々はオプトアウトを選択できますが、LinkedInを使用するのは仕事や人脈作りが目的であり、生成AIは私たちがプロフェッショナルの変化を支援する方法の一部なのです」とコメント。生成AIによるユーザーデータの使用がデフォルトでオンになっていることは、すべてのユーザーに利益をもたらすと主張しました。

LinkedInはヘルプページのQ&Aで、「オプトアウトすると、以後LinkedInおよびその関連会社によってモデルのトレーニングに個人データやLinkedInのコンテンツが使用されなくなりますが、すでに実施済みのトレーニングには影響しません」と述べています。なお、記事作成時点でEUや欧州経済領域(EEA)、スイスに住んでいるユーザーのデータは、生成AIのトレーニングに使用されていないとのことです。



テクノロジー系メディアのPCMagは、このページが公開されてから1週間近くが経過した9月18日の時点でも、LinkedInのページ規約やユーザー契約、プライバシーポリシー、著作権ポリシーなどに「AI」または「人工知能」という文言は含まれていなかったことを指摘しています。

この件がさまざまなメディアで報じられた後、LinkedInはサービス規約の更新を発表して、プライバシーポリシーに生成AIのトレーニングに関する文言を追加したことを報告しました。

LinkedInサービス規約更新のお知らせ

https://jp.linkedin.com/blog/member/trust-and-safety/updates-to-our-terms-of-service-2024