新iPhone「機種変更」に備えるデータ移行の段取り
最新のOSにアップデートすれば、新しいiPhoneを横に置くだけで自動的に「クイックスタート」でデータ移行できる(筆者撮影)
iPhone→iPhoneのデータ移行はとても簡単。とはいえ、年々移行の仕様が変更されている部分もあるし、どうすればいいの?と不安に思っている方もいるだろうから、あらためておさらいしておこう。
「クイックスタート」が、さらに進化して便利に
iPhoneのデータ移行は、とても簡単になっている。今は、ワイヤレスでの直接転送である「クイックスタート」が一番簡単。
他にも、iCloudやパソコンにバックアップを取って、そこから書き戻すという手段もある。それらの手段については後ほど述べるとして、まずは、一番簡単なクイックスタートについて説明しておこう。
まずは、下準備。
移行中はどちらのiPhoneも使えなくなるので、少なくとも数時間はiPhoneを使えなくても大丈夫なタイミングに移行しよう。移行後、アプリのダウンロードなどを行うので、セルラーの契約が無制限でないのなら、Wi-Fi環境のある場所で。また、移行の途中に電池が切れるようなことがあると、大きなトラブルの原因になるので、満充電にして、できれば電源に繋いだ状態で移行しよう。
また、言うまでもないが、移行元のiPhoneのデータ量が、移行先のiPhoneのストレージ容量より小さくないと移行できない。現在のiPhoneのデータ量を確認して、次のiPhoneを入手しよう。
何かのトラブルが発生する可能性もゼロではないので、その後のスケジュールがタイトでない余裕のある時間に行うというのも大切なポイントだ。
「クイックスタート」はiOS 12.4以降で利用できるが、移行元のiPhoneもなるべく最新に近いOSにしておいた方が移行でのトラブルは発生しにくいので、事前にアップデートしておこう。現在最新のiOS 17や、もうすぐ公開されるであろうiOS 18にアップデートできるのはiPhone XS/XR以降、iPhone SE2以降だ。
データは移行されるが、アプリなどは後でダウンロード
準備ができたら、新しいiPhoneと古いiPhone、両方の電源を入れて両者を近づける。すると、古いiPhoneが、新しい未設定のiPhoneが近くにあることを感知して「このアカウントを移行しますか?」というメッセージを表示する。
そこで「続ける」をタップすると、データ移行のプロセスが始まる。
新しいiPhoneに表示されるパターン認識コードをカメラで撮影することにより、移行元と移行先のiPhoneを特定する(筆者撮影)
新しいiPhoneには青いドットの集まったアニメーション(パターン認識コード)が表示されるので、それを古いiPhoneのカメラで捉える。これで、物理的にどのiPhoneからどのiPhoneに移行するのかを決定するというわけだ。
次に、「iPhoneから転送」を選ぶと、ワイヤレスでの直接データ転送が始まる。
移行方法として「iPhoneから転送」を選ぶ(筆者撮影)
筆者の環境では2時間ぐらいかかった。
しかし、ここで移行されるのは個人的なデータだけである。
アプリ自体や、ミュージックなど共通性のあるデータはその後、順次ウェブから自動でダウンロードされる。だから、しばらくは高速のWi-Fi接続環境下にいたほういがいい。うっかり出掛けると必要なアプリがダウンロード途中で、出先で待つ羽目になる。
転送が終わったら、転送元のiPhoneのデータを消去するかどうかを聞かれる。筆者は心配性なのでしばらくは残しておいて、新しいiPhoneが正常に動作することを数日確認してから古い方のデータを消すことにしている。
最新OSでは「LINEのデータ」などの移行もできる
通信の契約がeSIMなら「eSIMクイック転送」という仕組みで通信の契約も転送することができる。物理SIMなら差し替えて、必要であれば(格安SIMなどの場合)プロファイルを通信会社のサイトからダウンロードしてインストールする。
eSIMを使っている場合、通信の契約も転送できる(筆者撮影)
一時期は、「Apple Watchの連携」「SuicaやPASMO」「LINEのデータ」「プレイ中のゲームのデータ」などは、別途手作業で移行しなければならなかったのだが、最新OSでは、これらも自動的に移行されるので、ほぼ手間はかからない。
データ移行の仕組みはどんどん改善されているので、移行する際には、古い方のiPhoneもかならず可能な限り最新のOSにアップデートしてから作業を開始したい。
移行が終わったら、数日はiPhoneが過負荷な状態になることは知っておきたい。「新しいiPhoneを買ったのだけど、熱くなる」「新しいiPhoneはバッテリーの減りが速い」と愚痴を言う人が多いが、使い始めて数日は、直接移行しなかったアプリや、音楽、映像、クラウドにあるデータなどのダウンロードをしたり、データの整理をバックグラウンドで行っているようだ。少々、通信量が増えること、本体が熱くなりがちであること、バッテリーの減りが速くなることは知っておきたい。数日経つと本来の性能を発揮できるようになるはずだ。
一時的に無料でiCloudの容量を利用可能
iCloudバックアップや、パソコンのバックアップからのリストアも可能だが、最新の「クイックスタート」が一番便利。ことに、SuicaやPASMOのデータや、Apple Watchとの接続などのデータも一緒に移行できるようになってからは、「クイックスタート」の利便性が大きく向上した。
また、前のiPhoneを手放してから次のiPhoneを入手するような場合には、契約しているiCloud容量が足りなくても一時的に移行のための追加のiCloud容量を無料で使うことができるというのも知っておこう。ただし、バックアップが保持される期間は21日間で、それが過ぎると削除されてしまうのでご注意を(Appleサポートに復元期間の延長を申請することもできる)。
(村上 タクタ : 編集者・ライター)