中国のネットユーザーの間で最近話題となっている高速列車の電力消費量について、あるメディアが中国鉄道科学研究院集団・機車車両研究所のサブチーフエンジニアの黄金氏を取材した。

「1キロ当たり1万ワット」は本当か?

「中国の高速列車が1キロ走行するのに1万ワットの電力を消費している」という説は事実をすり替えている。現有の8両編成の「CRH380A」や「CRH380B」、「CR400AF」、「CR400BF」といった主力車両の出力(output power at wheel rim)は、それぞれ9360kW、9200kW、9750kW、1万140kWとなっている。一方、北京市と上海市を結ぶ「京滬高速鉄道」(往復2636キロ)が時速350キロで走行した場合の電力消費量テストデータによると、その電力消費量はそれぞれ5万6931ワット、6万1861ワット、5万1364ワット、5万5490ワットとなっている。これらを基に計算すると、1キロ当たりの平均電力消費量はそれぞれ21.6ワット、23.5ワット、19.5ワット、21.1ワットとなる。

このように、ネット上で流れている「中国の高速列車が1キロ走行するのに1万ワットの電力を消費している」という説は、実際には高速列車の出力に基づいて計算した1時間当たりの電力消費量で、1キロ当たりの電力消費量ではない。つまり、「時間」と「距離」をすり替えているということなのだ。

「日本の新幹線の方が電力消費量が少ない」は本当か

ネット上で流れている「日本の新幹線は中国の高速鉄道より電力消費量が少ない」という説も事実と異なる。日本の16両編成の500系の電力消費量は1キロ当たり43ワット、8両編成に換算した場合、約21.5ワットになる。一方、中国の高速列車は1キロ当たり約21.4ワット(上記の主力車両4タイプの1キロ当たりの電力消費量の平均値)となる。さらに、新幹線の最高時速は300キロであるのに対して、中国の高速列車は350キロであるため、中国の高速列車と日本の新幹線の1キロ当たりの平均電力消費量はほぼ同じということになる。

他の公共交通機関と比べても効率が高い中国の高速列車

その他の公共交通機関と比べても、エネルギー消費量という面で、中国の高速列車の強みは際立っている。中国の高速列車は1両当たりの定員数が多く、編成も長いため、1度に大勢の乗客を輸送することができる。このように運営の効率が高いため、乗客1人当たりのエネルギー消費量が少なくなり、全体の効率がさらに高まっている。統計データによると、中国の高速列車が乗客1人を100キロ輸送するのに必要なエネルギーは、飛行機に比べて82%、大型バスに比べて約50%少ない。さらに、中国は世界最大規模の高速鉄道ネットワークを誇り、その経済効果が際立っているため、エネルギー消費量削減にもつながっている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)