「男女4人のドライブ旅行」で自分だけが蚊帳の外に…旅行から帰ったあと「3人とは完全に縁を切った」
仲の良い友人グループでの旅行は、実に楽しいイベントだが、ちょっとした思い違いから地獄的な状況へと変わってしまうこともあるようで……。
自動車のディーラーとして勤務している浦田勇真さん(仮名・30歳)にとって、それは、思い出すのも辛い体験だという。
◆同僚と飲んでいるときに出会った「ふたり組の女性」
「あまりにも辛い体験をすると、記憶がなくなると言いますが、自分にとってはまさにそんな体験でした。話すことができるようになったのは割と最近のことなんです」
前職で勤務していたころ、蒲田さんは仲の良い同僚とよく飲み歩いていた。
「それこそ毎週のように飲みに行っていて、多い時は週に2、3回行くほどでした。ある時に行った店で、隣の席に座っていたふたり組の女性と仲良くなったんです。ふたりは2つ下で、ノリが良くて意気投合した形でした。何度か4人で飲みに行っているうちに仲も深まって、みんなで旅行に行こうという話になったんです」
◆車のなかで探し物をしていると…
蒲田さんは、そのうちのひとりの女性、綾香さん(仮名)に惹かれていたという。
「話も合うし、ルックスも好みのど真ん中で、ここまで好きになったのは、中学生時代の初恋以来という感じでした。向こうも『話していると楽しい』と言ってくれていて、付き合えるのではと思っていたんです。同僚とも相談して、旅行の日は彼女の誕生日に近かったので、プレゼントを渡すつもりで買って持って行くことにしました」
そうして旅行当日を迎えることに。
「気軽に冗談を言い合えるような仲なので、行きの車内はめちゃ盛り上がりました。観光地を巡るのも楽しくて、まさかあんなことになるとは思ってもいませんでした……」
夜に予約していたホテルに到着。荷物を部屋に運び込んだ時に、あることに気がついた。
「コンタクトがないことに気づいたんです。車に乗っていた時に、目をこすってたりしていたので、その時に外れて落ちたんだと思いました。部屋は駐車場の真上だったので、スマートキーで部屋から開けて、鍵は机に置いて車に向かいました。そうして座っていた3列目のシートを探していると、運転席のドアがいきなり開いたんです。『なんで空いてるんだ?』と言いながら乗ってきたのは同僚でした」
◆同僚が「ネタとして面白くね?」と…
浦田さんは声をかけようとしたが、言葉を飲み込んだ。
「綾香ちゃんも乗ってきたんです。ふたりはコンビニに買い出しに行くらしかったんですが、すごくフレンドリーな様子で、いつものふたりとは違う雰囲気でした。それで、声を掛けられなかったんですが……ひどく後悔することになりました」
ふたりは浦田さんの胸を抉るような、こんな会話を始めたのだという。
「ねえ、本当に浦田くん、私に渡すプレゼント持ってきたの?」
「ガチで持ってきてる。やっぱり、○○(某ブランド)の香水だって」
「私が欲しいって言ってたら良いけどさ、何も聞かずに香水って微妙すぎでしょ? 香織に話したらドン引きしてたよ」
「でも、蒲田のヤツめちゃくちゃ自信持ってたぞ。絶対よろこぶって」
「こわっ。私のこと分かった気でいられるのガチで無理なんだけど」
「もしかしたら、この旅行中に告られるかも」
「付き合うとかありえないんだけど。告られたら、うちらが付き合っていること言っていい?」
「ダメだって。蒲田と気まずくなる。それに、この状況ネタとして面白くね?」
◆その後は「記憶がほとんどない」
ふたりが笑い合う様子を聞いて、蒲田さんの心は冷たくなった。
「自分はその会話を聞きながら、3列目の足元でただ丸くなっていました。ふたりはすごく良い雰囲気で、コンビニについて降りる前には、キスもしていたようでした。もどってきた時に、後部座席のドアを開けられて、隠れているのがバレるのではないかと気が気じゃなかったです。結局、隠れていることはバレなかったんですが、この10分余りの出来事で完全に心が死にましたね」
メンツは敵ばかりだと思うと、その後の旅行は地獄だった。
「その日は飲みの予定があったんですが、断って早々に布団に入りました。でも、朝までほとんど眠れませんでした。良い感じだと思っていた好きな女性と、仲が良いと思っていた同僚を同時に失ったショックが大き過ぎて、その後の旅行のことはほとんど記憶にありません」
3人とは完全に縁を切った。同僚の顔を見るのも苦痛だったため、その後、浦田さんは転職したという。
<TEXT/和泉太郎>
―[奇妙な男女関係]―
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
自動車のディーラーとして勤務している浦田勇真さん(仮名・30歳)にとって、それは、思い出すのも辛い体験だという。
◆同僚と飲んでいるときに出会った「ふたり組の女性」
「あまりにも辛い体験をすると、記憶がなくなると言いますが、自分にとってはまさにそんな体験でした。話すことができるようになったのは割と最近のことなんです」
「それこそ毎週のように飲みに行っていて、多い時は週に2、3回行くほどでした。ある時に行った店で、隣の席に座っていたふたり組の女性と仲良くなったんです。ふたりは2つ下で、ノリが良くて意気投合した形でした。何度か4人で飲みに行っているうちに仲も深まって、みんなで旅行に行こうという話になったんです」
◆車のなかで探し物をしていると…
蒲田さんは、そのうちのひとりの女性、綾香さん(仮名)に惹かれていたという。
「話も合うし、ルックスも好みのど真ん中で、ここまで好きになったのは、中学生時代の初恋以来という感じでした。向こうも『話していると楽しい』と言ってくれていて、付き合えるのではと思っていたんです。同僚とも相談して、旅行の日は彼女の誕生日に近かったので、プレゼントを渡すつもりで買って持って行くことにしました」
そうして旅行当日を迎えることに。
「気軽に冗談を言い合えるような仲なので、行きの車内はめちゃ盛り上がりました。観光地を巡るのも楽しくて、まさかあんなことになるとは思ってもいませんでした……」
夜に予約していたホテルに到着。荷物を部屋に運び込んだ時に、あることに気がついた。
「コンタクトがないことに気づいたんです。車に乗っていた時に、目をこすってたりしていたので、その時に外れて落ちたんだと思いました。部屋は駐車場の真上だったので、スマートキーで部屋から開けて、鍵は机に置いて車に向かいました。そうして座っていた3列目のシートを探していると、運転席のドアがいきなり開いたんです。『なんで空いてるんだ?』と言いながら乗ってきたのは同僚でした」
◆同僚が「ネタとして面白くね?」と…
浦田さんは声をかけようとしたが、言葉を飲み込んだ。
「綾香ちゃんも乗ってきたんです。ふたりはコンビニに買い出しに行くらしかったんですが、すごくフレンドリーな様子で、いつものふたりとは違う雰囲気でした。それで、声を掛けられなかったんですが……ひどく後悔することになりました」
ふたりは浦田さんの胸を抉るような、こんな会話を始めたのだという。
「ねえ、本当に浦田くん、私に渡すプレゼント持ってきたの?」
「ガチで持ってきてる。やっぱり、○○(某ブランド)の香水だって」
「私が欲しいって言ってたら良いけどさ、何も聞かずに香水って微妙すぎでしょ? 香織に話したらドン引きしてたよ」
「でも、蒲田のヤツめちゃくちゃ自信持ってたぞ。絶対よろこぶって」
「こわっ。私のこと分かった気でいられるのガチで無理なんだけど」
「もしかしたら、この旅行中に告られるかも」
「付き合うとかありえないんだけど。告られたら、うちらが付き合っていること言っていい?」
「ダメだって。蒲田と気まずくなる。それに、この状況ネタとして面白くね?」
◆その後は「記憶がほとんどない」
ふたりが笑い合う様子を聞いて、蒲田さんの心は冷たくなった。
「自分はその会話を聞きながら、3列目の足元でただ丸くなっていました。ふたりはすごく良い雰囲気で、コンビニについて降りる前には、キスもしていたようでした。もどってきた時に、後部座席のドアを開けられて、隠れているのがバレるのではないかと気が気じゃなかったです。結局、隠れていることはバレなかったんですが、この10分余りの出来事で完全に心が死にましたね」
メンツは敵ばかりだと思うと、その後の旅行は地獄だった。
「その日は飲みの予定があったんですが、断って早々に布団に入りました。でも、朝までほとんど眠れませんでした。良い感じだと思っていた好きな女性と、仲が良いと思っていた同僚を同時に失ったショックが大き過ぎて、その後の旅行のことはほとんど記憶にありません」
3人とは完全に縁を切った。同僚の顔を見るのも苦痛だったため、その後、浦田さんは転職したという。
<TEXT/和泉太郎>
―[奇妙な男女関係]―
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め