PDFに書き込みをするには? - iPhoneユーザーのためのMacのトリセツ
○A:Macの「プレビュー」アプリで書き込めます。iPhoneやiPadと連係する方法もあります
本連載の前回記事では、iPhoneのカメラで書類をスキャンすると、MacでPDFファイルとして使えることを紹介しました。また、MacやiPhoneのアプリで作った書類をPDFファイルとして保存する方法は、以前の記事で紹介しています。
PDFには、コンピュータやスマホのユーザーはたいてい対応アプリを持っていて開くことができる、レイアウトが崩れない、基本的には内容を編集できない、などのメリットがあるので、書類を誰かに渡したいときによく使われます。また、自分の資料としてとっておくのにも便利です(PDFファイルの編集については、本記事末尾の【今回の余談】で補足します)。
○Macの「プレビュー」アプリを使う
受け渡しや資料の保管に便利なPDFですが、さらにメモなどを直接書き込むこともできます。試してみましょう。
Macの「プレビュー」アプリでPDFを開きます。鉛筆のアイコンをクリックします
上部にマークアップツールバーが表示されます。図形を描くには、「シェイプ」ツールをクリックし、使いたい図形をクリックします
図形の周囲に小さな点がついているのは、この図形が選択されている状態です。選択されていなければ、図形をクリックして選択します。「枠のカラー」ツールをクリックし、好みの色をクリックすると、線の色を変えられます
「シェイプのスタイル」ツールをクリックすると、線の太さを変えられます
図形の周囲の点をドラッグすると、大きさや形を変えられます。図形自体をドラッグすると移動できます
文字を入力してメモを書き込みたいときは、「テキスト」ツールをクリックします。するとテキストのオブジェクトが作成されるので、クリックしてからメモを入力します
テキストオブジェクトを選択し、「テキストスタイル」ツールをクリックすると、フォントなどを変えられます
図形やテキストを削除したい場合は、クリックして選択してから、キーボードのdeleteキーを押します
○フリーハンドで書き込める?
上述のように、図形やテキストはMacで簡単に、きれいに書き込めるのですが、図解や手書きのメモなどをフリーハンドで書くのはちょっと難しい気がします。
「描画」ツールをクリックして選択し、トラックパッドのドラッグ操作で描きます
上の図のように、ドラッグした通りに描かれます。ただし、このツールは感圧トラックパッドを使用している場合にしか表示されません。また、トラックパッドのドラッグで描いているので、なかなか思い通りには描けないかもしれません。
感圧トラックパッドを使用していない場合や好みによっては、「スケッチ」ツールを使います。
「スケッチ」ツールをクリックして選択します。ドラッグして描くのは先ほどの「描画」ツールと同じなのですが……
たとえば上の図のような形を描いた場合、描き終わると同時に矢印の図形に変換されます
同様に、少しだけ曲がった線を描くと直線に、何となく丸く描くと円の図形に変換されます。大きく曲がった線を描いた場合は、以下のような図形になります。
線の両端とカーブの部分に点が付きます。点をドラッグして線の長さやカーブの曲がり具合を変えられます
このように、「スケッチ」ツールを使うと手書きのガタガタした線ではなく図形に変換されるのできれいな仕上がりになりますが、その反面、フリーハンドで自由に描く感覚ではありません。
○画像にも書き込める
ここまではPDFファイルについて解説してきましたが、画像ファイルをMacの「プレビュー」アプリで開いて、同様に書き込むこともできます。
画像ファイルにも、PDFファイルと同様に書き込めます
ただし画像ファイルに書き込んだ場合、そのファイルを保存して閉じた後は、再度開いて書き込みの修正や削除をすることはできません。
PDFファイルの場合は、保存して閉じ、再度「プレビュー」アプリで開けば、図形やテキストオブジェクトをクリックして選択し、編集したり削除したりすることができます。しかし逆に、書き込んだファイルをほかの人に渡すときなど、書き込みを変更できないようにしたい場合もあります。その場合は、書き込んだ後、「プリント」メニューから新しいPDFファイルを作成します。
「ファイル」メニューの「プリント」を選択するとこのダイアログが開きます。下部の「PDF」をクリックし、「PDFとして保存」を選択します。この次のダイアログでファイル名と保存場所を指定して保存します
○iPhoneやiPadで書き込む
iPhoneやiPadなら指先やApple Pencilなどのペンで画面に直接触れて書けるので、Macのトラックパッドなどを使うよりも書き込みやすいかもしれません。
Mac上にあるPDFや画像のファイルをAirDropなどで送ったりiCloud Driveで共有したりした後、iPhoneやiPadの「ファイル」アプリなど、書き込みのできるアプリで開いて書き込みます。
iPhoneの「ファイル」アプリでPDFを表示しています。右下にある鉛筆のアイコンをタップします
下部にマークアップツールが表示されます。ツールや色を選び、指先で書き込みます。終わったら右上の「完了」をタップします
実は、Macに保存されているPDFや画像にiPhoneやiPadから書き込みができる「連係マークアップ」という機能があります。以下に手順を紹介しますが、本稿執筆の2024年8月現在、書いたものが消えたりずれたりするなど、動作が不安定になることがあるようです。
連係マークアップは、Macの「クイックルック」のウインドウから始めます。クイックルックとは、アプリを起動して書類を開くことなく、書類の内容をすぐに見ることのできる便利な機能です。
MacでPDFか画像のファイルをクリックして選択し、スペースバーを押します。するとクイックルックのウインドウが開きます。鉛筆のアイコンをクリックします
鉛筆と小さい矢印のツールをクリックします。すると連係マークアップ機能を使えるデバイスが表示されるので、使うデバイスを選択します
選択したデバイス(この図はiPhoneの横向き画面)に書類とマークアップツールが表示されます。指先で書き込みます。書き込みが終わったら右上の「完了」をタップします
Macのクイックルックでも、右上の「完了」をクリックします
【今回の余談】
PDFファイルそのものの編集について補足します。PDFは専用アプリがあれば編集できます。専用アプリでも編集できないように、PDFファイルを保存するときにパスワードをかけることもできます。また、何かの申込書などフォーム形式で作成されたPDFファイルであれば、Macの「プレビュー」アプリでフォームのフィールド(入力欄)に入力することもできます。
それでは次回も、よろしくお願いします。
小山香織 ライター、インタビュアー、翻訳者、トレーナー。Apple 製品やビジネス系アプリケーションなどに関する著書多数。近著に『iPadマスターブック 2024-2025 iPadOS 17対応』(マイナビ出版)。マイナビニュースでは連載「iPhoneユーザーのためのMacのトリセツ」のほか、インタビューや取材記事を執筆。 この著者の記事一覧はこちら
本連載の前回記事では、iPhoneのカメラで書類をスキャンすると、MacでPDFファイルとして使えることを紹介しました。また、MacやiPhoneのアプリで作った書類をPDFファイルとして保存する方法は、以前の記事で紹介しています。
PDFには、コンピュータやスマホのユーザーはたいてい対応アプリを持っていて開くことができる、レイアウトが崩れない、基本的には内容を編集できない、などのメリットがあるので、書類を誰かに渡したいときによく使われます。また、自分の資料としてとっておくのにも便利です(PDFファイルの編集については、本記事末尾の【今回の余談】で補足します)。
受け渡しや資料の保管に便利なPDFですが、さらにメモなどを直接書き込むこともできます。試してみましょう。
Macの「プレビュー」アプリでPDFを開きます。鉛筆のアイコンをクリックします
上部にマークアップツールバーが表示されます。図形を描くには、「シェイプ」ツールをクリックし、使いたい図形をクリックします
図形の周囲に小さな点がついているのは、この図形が選択されている状態です。選択されていなければ、図形をクリックして選択します。「枠のカラー」ツールをクリックし、好みの色をクリックすると、線の色を変えられます
「シェイプのスタイル」ツールをクリックすると、線の太さを変えられます
図形の周囲の点をドラッグすると、大きさや形を変えられます。図形自体をドラッグすると移動できます
文字を入力してメモを書き込みたいときは、「テキスト」ツールをクリックします。するとテキストのオブジェクトが作成されるので、クリックしてからメモを入力します
テキストオブジェクトを選択し、「テキストスタイル」ツールをクリックすると、フォントなどを変えられます
図形やテキストを削除したい場合は、クリックして選択してから、キーボードのdeleteキーを押します
○フリーハンドで書き込める?
上述のように、図形やテキストはMacで簡単に、きれいに書き込めるのですが、図解や手書きのメモなどをフリーハンドで書くのはちょっと難しい気がします。
「描画」ツールをクリックして選択し、トラックパッドのドラッグ操作で描きます
上の図のように、ドラッグした通りに描かれます。ただし、このツールは感圧トラックパッドを使用している場合にしか表示されません。また、トラックパッドのドラッグで描いているので、なかなか思い通りには描けないかもしれません。
感圧トラックパッドを使用していない場合や好みによっては、「スケッチ」ツールを使います。
「スケッチ」ツールをクリックして選択します。ドラッグして描くのは先ほどの「描画」ツールと同じなのですが……
たとえば上の図のような形を描いた場合、描き終わると同時に矢印の図形に変換されます
同様に、少しだけ曲がった線を描くと直線に、何となく丸く描くと円の図形に変換されます。大きく曲がった線を描いた場合は、以下のような図形になります。
線の両端とカーブの部分に点が付きます。点をドラッグして線の長さやカーブの曲がり具合を変えられます
このように、「スケッチ」ツールを使うと手書きのガタガタした線ではなく図形に変換されるのできれいな仕上がりになりますが、その反面、フリーハンドで自由に描く感覚ではありません。
○画像にも書き込める
ここまではPDFファイルについて解説してきましたが、画像ファイルをMacの「プレビュー」アプリで開いて、同様に書き込むこともできます。
画像ファイルにも、PDFファイルと同様に書き込めます
ただし画像ファイルに書き込んだ場合、そのファイルを保存して閉じた後は、再度開いて書き込みの修正や削除をすることはできません。
PDFファイルの場合は、保存して閉じ、再度「プレビュー」アプリで開けば、図形やテキストオブジェクトをクリックして選択し、編集したり削除したりすることができます。しかし逆に、書き込んだファイルをほかの人に渡すときなど、書き込みを変更できないようにしたい場合もあります。その場合は、書き込んだ後、「プリント」メニューから新しいPDFファイルを作成します。
「ファイル」メニューの「プリント」を選択するとこのダイアログが開きます。下部の「PDF」をクリックし、「PDFとして保存」を選択します。この次のダイアログでファイル名と保存場所を指定して保存します
○iPhoneやiPadで書き込む
iPhoneやiPadなら指先やApple Pencilなどのペンで画面に直接触れて書けるので、Macのトラックパッドなどを使うよりも書き込みやすいかもしれません。
Mac上にあるPDFや画像のファイルをAirDropなどで送ったりiCloud Driveで共有したりした後、iPhoneやiPadの「ファイル」アプリなど、書き込みのできるアプリで開いて書き込みます。
iPhoneの「ファイル」アプリでPDFを表示しています。右下にある鉛筆のアイコンをタップします
下部にマークアップツールが表示されます。ツールや色を選び、指先で書き込みます。終わったら右上の「完了」をタップします
実は、Macに保存されているPDFや画像にiPhoneやiPadから書き込みができる「連係マークアップ」という機能があります。以下に手順を紹介しますが、本稿執筆の2024年8月現在、書いたものが消えたりずれたりするなど、動作が不安定になることがあるようです。
連係マークアップは、Macの「クイックルック」のウインドウから始めます。クイックルックとは、アプリを起動して書類を開くことなく、書類の内容をすぐに見ることのできる便利な機能です。
MacでPDFか画像のファイルをクリックして選択し、スペースバーを押します。するとクイックルックのウインドウが開きます。鉛筆のアイコンをクリックします
鉛筆と小さい矢印のツールをクリックします。すると連係マークアップ機能を使えるデバイスが表示されるので、使うデバイスを選択します
選択したデバイス(この図はiPhoneの横向き画面)に書類とマークアップツールが表示されます。指先で書き込みます。書き込みが終わったら右上の「完了」をタップします
Macのクイックルックでも、右上の「完了」をクリックします
【今回の余談】
PDFファイルそのものの編集について補足します。PDFは専用アプリがあれば編集できます。専用アプリでも編集できないように、PDFファイルを保存するときにパスワードをかけることもできます。また、何かの申込書などフォーム形式で作成されたPDFファイルであれば、Macの「プレビュー」アプリでフォームのフィールド(入力欄)に入力することもできます。
それでは次回も、よろしくお願いします。
小山香織 ライター、インタビュアー、翻訳者、トレーナー。Apple 製品やビジネス系アプリケーションなどに関する著書多数。近著に『iPadマスターブック 2024-2025 iPadOS 17対応』(マイナビ出版)。マイナビニュースでは連載「iPhoneユーザーのためのMacのトリセツ」のほか、インタビューや取材記事を執筆。 この著者の記事一覧はこちら