過去数十年で世界の食肉生産量は急増していますが、肉の摂取量が増えると2型糖尿病のリスクが上がるという指摘があります。世界中に住む約200万人のデータを分析した新たな研究では、ハムなどの加工肉や赤身肉を食べると2型糖尿病のリスクが高まる可能性が示唆されました。

Meat consumption and incident type 2 diabetes: an individual-participant federated meta-analysis of 1·97 million adults with 100 000 incident cases from 31 cohorts in 20 countries - The Lancet Diabetes & Endocrinology

https://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(24)00179-7/fulltext



Red and processed meat consumption associated with higher type 2 diabetes risk | University of Cambridge

https://www.cam.ac.uk/research/news/red-and-processed-meat-consumption-associated-with-higher-type-2-diabetes-risk

Two slices of ham a day can raise type 2 diabetes risk by 15%, research suggests | Diabetes | The Guardian

https://www.theguardian.com/society/article/2024/aug/20/two-slices-of-ham-a-day-can-raise-type-2-diabetes-risk-by-15-research-suggests

2型糖尿病は失明や腎不全、心臓発作、脳卒中、下肢の切断といった深刻な事態を引き起こす病気であり、世界中で4億人以上が患っているとされています。2型糖尿病のリスクを下げる方法としては、健康的な体重を維持して適度に運動することに加え、食生活の改善が挙げられます。

これまでの研究で、加工肉や未加工の赤身肉の摂取量が多い人は2型糖尿病のリスクが高いことが報告されていましたが、結果にはばらつきがありました。また、ニワトリやアヒルといった家きんの肉は赤身肉の代替品とよく見なされますが、家きんの食肉消費量と2型糖尿病のリスクの関連性を調べた研究はそれほど多くないそうです。

そこでケンブリッジ大学の研究者が率いるチームは、EUが資金提供する2型糖尿病と肥満の研究プロジェクト・InterConnectを通じて、世界20カ国で実施された31件の研究で収集されたデータを分析しました。データにはヨーロッパや北アメリカだけでなく、南アメリカ、中東、東南アジア、西太平洋に住む197万人の成人が含まれていたとのこと。



今回の研究ではそれぞれの論文で発表された研究結果を統合するのではなく、個々の被験者のデータを分析するアプローチを用いることで、エビデンスのベースを大幅に拡大しました。実際、分析に用いられた31件の研究のうち18件では、肉の消費と2型糖尿病のリスクの関連性についての知見が発表されていなかったそうです。

被験者の年齢・性別・健康関連行動・エネルギー摂取量・ボディマス指数(BMI)などの要素を考慮して分析した結果、1日50gの加工肉(ハムのスライス2枚に相当)を摂取する人は、今後10年間で2型糖尿病を発症するリスクが15%高いことがわかりました。また、1日100gの赤身肉を摂取し続けることは、2型糖尿病のリスクが10%高いことと関連していました。

一方で、1日100gの家きんの肉を消費した人は2型糖尿病のリスクが8%高くなりましたが、この関連性はさまざまなシナリオで検証すると弱まったと報告されています。

論文の共著者でありケンブリッジ大学医学研究評議会疫学ユニットのニタ・フォロウヒ教授は、「私たちの研究は、加工肉や未加工の赤身肉を食べることと将来的な2型糖尿病リスクの高さとの関連について、これまでで最も包括的な証拠を提供するものです。これは、人々の2型糖尿病を減らすために、加工肉と未加工の赤身肉の消費量を制限するように奨励することを支持しています」と述べました。