楽天とOpenAIは2023年8月に「最新AI技術によるサービス開発における協業」を発表しています。新たに、「楽天がAIを活用して実現したシステム」や「楽天がOpenAIのAIを用いて開発を検討しているシステム」を解説する記事がOpenAI公式ブログに掲載されました。

Rakuten Pairs Data with AI to Unlock Customer Insights and Value | OpenAI

https://openai.com/index/rakuten/

楽天はChatGPT-4の企業向けプラン「ChatGPT Enterprise」のリリース以前からGPT-3.5を用いた社内チャットボットを稼働するなど、OpenAIのAI技術を積極的に業務に活用していました。その後、2023年8月にはOpenAIとの協業を発表し、2023年11月には企業活動の支援を目的としたAIプラットフォーム「Rakuten AI for Business」を発表しました。

楽天は楽天市場や楽天証券など70種以上のオンラインサービスを展開しており、世界中に18億人以上のユーザーを抱えています。このため、楽天には膨大な取引データや行動データが蓄積されているほか、PDFファイルやWordファイルなどの社内文書も大量に保存されています。これらのデータには構造化されていないものも数多く含まれていますが、外部情報をAIモデルに取り込んで回答精度を向上させる「RAG(検索拡張生成)」やコード生成機能「Code Interpreter」を活用することでデータから価値を創造しているとのこと。

楽天は、RAGを用いて「社内ナレッジベースの情報をもとに回答を生成できるAIシステム」を構築。これにより、ユーザーからの問い合わせに返答するまでの時間を大幅に短縮できました。また、楽天市場で販売されている各製品のレビューから重要なトピックを抽出して「レビューの要約」を表示するシステムも開発されています。

さらに、楽天に蓄積されている市場分析データや販売動向データをAIに取り込むことで、小売業者や企業に対して実用的な洞察を提供することも可能になりました。



OpenAIは「カメラやマイクを用いて周囲の音声や視覚要素を分析し、リアルタイムで応答を返す」というAI機能を開発しています。楽天はこの機能にも興味を示しており、「音声データしか残っていない社内会議データをAIに入力し、会議のアクションアイテムや多言語翻訳版を作成する」「会話型AIエクスペリエンスをユーザーに提供し、ユーザーとの会話内容をもとにニーズを分析する」といったシステムの構築を検討しています。

なお、楽天とOpenAIは2024年2月に通信業界向けAIツールの開発を発表しています。また、2024年4月16日(火)にはOpenAIブラッド・ライトキャップCOOと楽天のティン・ツァイCAIDO(Chief AI & Data Officer)が「生成AIの次に来るもの」と題したトークイベントを実施しています。トークイベントの内容は、以下のムービーで確認できます。

楽天 × OpenAI:生成AIの次に来るもの - YouTube