二人三脚

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 東京地検特捜部が捜査に乗り出した自民党の広瀬めぐみ参院議員が国から公設秘書の給与を騙し取った問題。今年3月に「週刊新潮」がいち早く報じていたが、ようやくメディアの報道等でその詐取の全容が報じられつつある。そもそも政治家としての資質が皆無と言っていい広瀬氏を、国政に送り出したのは誰なのか。

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広瀬氏の名前が政界で取り沙汰されたのは

 広瀬めぐみ参院議員が最初に注目されたのは、「エッフェル騒動」だった。

 昨年7月に当時、自民党女性局長だった松川るい参院議員ら、全国の女性局に属する議員らで3泊5日のパリでの研修を行った。その場で、エッフェル塔をバックに記念撮影するなどし、ネット上で大炎上。国会でも問題になった。

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 この視察に広瀬議員も参加していたのだ。

「騒動の直後、昨年9月に行われた岩手県知事選では広瀬さんへの批判が高まり、選挙戦では表に出ないようにしていました」(地元政界関係者)

 さらに、今年の2月には「週刊新潮」が広瀬氏とサックス奏者との“赤ベンツ不倫”を報じた。極めつきが今回の秘書給与詐取問題で、こちらも「週刊新潮」が3月に2週にわたって報じている。

 つまり、22年7月の初当選からわずか2年で「エッフェル騒動」「赤ベンツ不倫」「秘書給与詐取」という不祥事の“トリプルスリー”を達成したというわけだ。これでは一体何のために国政に来たのか、自民党内からも呆れる声が聞こえてくる。

 そもそも、広瀬氏を政界に招いたのは誰なのか。

 盛岡市出身の広瀬氏の実家は旅館を経営しており、本人は地元盛岡の高校から上智大学に進んだ。弁護士となる夫と結婚し、自身も司法試験に合格。その後は都内に法律事務所を構え、家事事件を担当することが多かったという。

 その広瀬氏の名前が政界で取り沙汰されたのは、21年の11月のことだった。

“勝てる候補”が求められていた

 地元記者が言う。

「岩手県はかねて立憲民主党の“小沢一郎王国”として知られています。それまで自民党は小沢さんに全く歯が立たなかったわけですが、21年10月の選挙で自民党の3回生だった藤原崇さんが初めて小沢さんから小選挙区で議席を奪い、歴史的勝利を挙げました。参院でも自民党の公認候補が30年近く勝てていない中で、“勝てる候補”が求められていたんです」

 そこで白羽の矢が立ったのが広瀬氏だった。広瀬氏を推した一人はいまも県連会長を務める当の藤原崇衆院議員とされる。

 その藤原氏も脛に傷を持つ議員である。総理大臣への登竜門とされる青年局長に23年に抜擢されるも、同年11月、自民党和歌山県連が主催した青年局の会合で女性ダンサーによるダンスショーを含めた懇親会が行われ、今年に入り、その中身が「過激すぎる」として問題になった。しかも、言い訳として自民党側が「多様性」を持ち出したことでさらなる炎上を招いた。藤原氏もこの懇親会に出席しており、今年3月に青年局長を辞任する事態に発展している。

 時を戻すと、21年11月27日、藤原氏をトップとする県連が広瀬氏を擁立する方針を固めた。

「広瀬さんはその時の記者会見で“女性が働きやすい環境を作っていきたい”と語っていましたし、藤原さんも“即戦力だ”と強く推していました。実際には、広瀬さんは当初政界入りに難色を示したそうなんですが、県連が強く推したと言われています」(同)

「議論を経て決定をいたしました」

 かくして参院選への出馬を決めた広瀬氏。参院選の直前には藤原氏が地元メディアのインタビューに答えている。それによれば、

「参院選は岩手のために役立つ議員は誰か、それが問われる選挙になる。党公認の広瀬めぐみ氏は弁護士で法律をつくる立場として即戦力。岩手は人口減で特に若い女性が流出し、課題解消には女性の視点が必要だ。東北で女性国会議員がいないのは岩手だけ。多様な立場から議論し、良い方向に『岩手を変える』と強調したい」(22年6月26日岩手日報社)

 と、広瀬氏を激賞し、実際の選挙戦では同じ岩手の鈴木俊一財務大臣とともに藤原氏が奔走。30年ぶりの岩手選挙区の勝利に大きく貢献した。

 当の藤原氏は広瀬氏をなぜ推薦したのか。藤原事務所に聞くと、

「候補者選考にあたり、人選については、県連関係者だけではなく、関係団体を含め幅広く推薦を依頼しました。その被推薦者の中に、広瀬氏がおりました」
 
 さらに、

「候補者選考は、選考チームによる議論を経て決定をいたしました。したがいまして、当該メンバーがどの様な考え方で推したかについて、当職(注・藤原氏のこと)としては分かりません。県連会長として、面談の上、打診を行ったことはありますが、『勝てる候補』という点をもって説得をしたということはありません」

 という回答があった。

 国民の税金を食い物にした“赤ベンツ不倫”議員と政界に引き込んだ前青年局長。どちらも国民への説明責任があることには違いあるまい。

デイリー新潮編集部