高嶋:……450万円です。

――それはかなりの金額ですね。

高嶋:でも、出演すれば一撃で払えるってわかってたので迷いはなかったです。運よく有名メーカーで専属女優としてデビューすることができたので、お金はい〜っぱい(笑)。でも、すぐに病み期が来てしまって、何もかもが嫌になってメンタルコントロールができずに業界からはフェードアウトしてしまったんです。

――なるほど。姿を消してしまったのは、そういう理由があったのですか。

高嶋:その時期は、ずっと海外で放浪していました。それで確信したんですけど、私って追い込まれないと働かないんですよ!例えば美容整形にまた100万円かかるとか、ホストの売掛金が300万円あるとかだったら、頑張ろうって思えるんですけどね。でも、それがなかったら全く焦らない。というか、焦れない。そういう子なんですよ(笑)。

――目的がないのに働きたいとは思えない?

高嶋:私は子どもの頃からママに「勉強しろ!」って怒られながら育てられていたので、何かに追い立てられないと動けないクセがついているんでしょうね。高校も進学校だったし、就職先も体育会系……たぶん根っからの兵隊タイプなんですよ。そこから急に自由になったら、どうすればいいのかがわからなくなって、今みたいなダメ人間になっちゃったんだと思います(笑)。

――そういえば、ホス狂いからはもう抜け出しているのでしょうか?

高嶋:あ〜、3年くらい通っていたら最初の頃に比べて私の扱いが雑になってきたので、すっかり冷めちゃいました。担当ホストの態度で「コイツ、お金を使ってもらうのが当たり前になってるな」と感じてきた頃から、1ヶ月に1回、4万円くらいしか落とさなくなっています。正直、今は何十万円も払う価値はないと思っていますよ(笑)。

◆この仕事は好きというより「得意分野」

――2023年7月にはセクシー女優としての活動を再開していますね。

高嶋:一度セクシー女優を引退した友達から「復帰するんだけど、一緒に戻らない?」と誘われたんです。私も中途半端に辞めてしまっていたし、もったいなかったという感覚が残っていたので、とりあえずもう一回やってみようかな、と。

――復帰して一年ほど経ちますが、まだ辞めることは考えていない?

高嶋:まだやっていたいですね。この仕事が好きなのか? と言われると、ちょっとそれも違うんですけど。本音でいえば、“性”はあくまでも私にとっては「得意分野」なんですよ。喜ばれるテクニックや相手が求める言葉選びが自然とできる。もしかしたら、職人に近いのかもしれません。自分ができることをやって、お金を稼いでいきたいんです。もちろん、ビジネスのうえでもちゃんと気持ちを乗せて性的なサービスやパフォーマンスをしているつもりです。

――プライベートでの恋愛についてはどう考えていますか?

高嶋:恋愛をしたい気持ちもなくはないのですが、誰でもいいわけではないので難しいですね。もともと一人と長く付き合い続けてきたので、今も一人の相手をじっくり深掘りする方がいいと思っています。ただ、新たな出会いを見つけることができずにいる。この年齢になって、改めて知らない人に自己開示をすることは難しいと感じるようになりました。

――たとえばマッチングアプリを使っての出会いはどうですか?

高嶋:アプリだと、相手と本音を曝け出せるまでの関係性を築くのが面倒なんですよね。それに年を重ねれば重ねるほど、想いを伝えて拒否された場合の絶望と恐怖が増していってるんです。傷つけられたくない。そうなると結果、今は一人でイイかなってところに落ち着いちゃう。こじらせている自覚はあるんですよ。気軽に体の関係の人とかを何人もつくれる友達が羨ましく感じることもあります(笑)。

――美容整形については、今後大きな手術は考えているのでしょうか?

高嶋:次やるなら豊胸ですかね。現時点では、体の方は何もしていないんですけど、せっかくなら胸があった方がいいかなと思って。

――整形沼からは、まだ抜け出すことはなさそう?

高嶋:でも私が本当にしたいことは、現状維持なんです。上を目指しても、結局は理想にはなかなか追いつけないわけで、メンタルを崩しちゃうと思うんですよ。あくまでも自然に、今の状態を保ち続けていられれば十分満足です。

<取材・文・撮影/もちづき千代子>