「やたら美談に...」「なに武士道って」元放送作家、パリ五輪報道の弊害に苦言...阿部詩号泣も「感情の吐露くらい普通」
「SmaSTATION!!」(テレビ朝日系)や「ナニコレ珍百景」(同)などを手がけた元放送作家で、現在はYouTuberとしても活動する長谷川良品さんが、パリオリンピックをめぐるテレビ報道をめぐって私見を述べた。
「なぜか武士道のようなものを求めすぎなんですよね」
長谷川さんは2024年7月31日、Xで「やたら美談にしたてあげようとするテレビ報道のせいでスポーツ選手に対し清廉性や品行方正はもちろん、なぜか武士道のようなものを求めすぎなんですよね。てか、なに武士道って」とテレビ報道に苦言を呈した。
1日にはYouTubeで「阿部詩の号泣に賛否【テレビの五輪報道の弊害】過剰な美談と武士道精神を考える」と題した動画を投稿。その中で柔道女子52キロ級の試合で、2回戦敗退を喫した阿部詩選手(24)が試合後に号泣した件についても言及した。
日本時間28日に行われた2回戦で、詩選手は世界ランキング1位のディヨラ・ケルディヨロワ選手(ウズベキスタン代表)と対戦し、一本負け。試合後、コーチに支えられながら泣き叫ぶ姿を見せた。
「批判的な声があまりにも多く、正直驚いています。しかも著名人の中にも彼女に苦言を呈すコメントを出す方もいました」とし、東国原英夫氏が詩選手に苦言を呈したことに触れた。
東国原氏は29日、TBS系の情報番組に出演した際に「お叱りを受けるかもしれないけど。阿部詩さんが悔しいのは分かるけど、あの泣きってのはどうなのかなと思いました。柔道家として、武道家として、もうちょっと毅然としてほしかったなとは思います。そこにへたり込んでずっと泣いてるのはどうなのかなと。悔しいのは非常にわかったんですが」と辛口の意見を述べていた。
「スポーツ選手に対し過剰な清廉性や品行方正を求めるようになった気がしています」
この件に関して、長谷川さんは「東国原さんの中で柔道というのはスポーツではないんですよね。あくまでも柔道家、武道家として勝手にハードルがあげられてしまう。『選手』の代わりに『(柔道)家』がつくと崇高なものとして高貴さを求めてしまう方が一定数いる。『家』がつこうが『吉野家』(編注:牛丼チェーン)のようにカジュアルであっていいと思います」とした。
また、長谷川さんは詩選手の号泣に「賛否があっていい」とした上で、「私の場合は肯定的に受け止めました」と説明した。
「スポーツの祭典をやたら美談に仕立て上げようとするテレビ報道の影響もあってか、スポーツ選手に対し過剰な清廉性や品行方正を求めるようになった気がしています。感情の吐露くらい普通なのではないでしょうか」