俳優ら約16万人で構成される労働組合の映画俳優組合-アメリカテレビラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)が、ゲーム部門で働く全ての組合員が2024年7月26日からストライキを実施することを宣言しました。このストライキの背景には、ゲーム業界における俳優による同意のないAIの使用があるとのことです。

SAG-AFTRA Members Who Work on Video Games Go on Strike | SAG-AFTRA

https://www.sagaftra.org/sag-aftra-members-who-work-video-games-go-strike



SAG-AFTRA performers call strike against major game studios over AI

https://www.gamedeveloper.com/production/sag-aftra-authorizes-video-game-actor-strike-over-ai

Video game performers to strike over AI concerns | AP News

https://apnews.com/article/sagaftra-video-game-performers-ai-strike-4f4c7d846040c24553dbc2604e5b6034

SAG-AFTRAは2022年10月から、Take 2 ProductionsやElectronic Arts、Activision Blizzard、Warner Bros. Gamesなどの大手ゲームスタジオと交渉を実施していました。SAG-AFTRAによると交渉の目的は、コスト削減を図るために俳優の同意やそのパフォーマンスに対する報酬なしに、一度雇用した俳優のアセットを利用してジェネレーティブAIでコンテンツを生成している状況を是正するためとのこと。

SAG-AFTRAのフラン・ドレッシャー会長は「私たちは、企業がAIを悪用して組合員に不利益を与えることを許す契約に同意するつもりはありません。Take 2 Productionsなどの企業が真剣に組合員との契約に取り組めば、私たちはゲームスタジオと共に働くことができます」と述べていました。

しかしSAG-AFTRAと大手ゲームスタジオとの交渉は決裂。インタラクティブ・メディア契約交渉委員会のサラ・エルマレ委員長は「約18カ月にわたる交渉の結果、雇用主である大手ゲームスタジオは公正で合理的なAI保護には興味が無く、むしろ俳優からの搾取に関心を持っていることが明らかになりました。私たちはこのパラダイムを拒否します」と語っています。



そしてSAG-AFTRAは組織のインタラクティブ・メディア契約に基づき、ゲーム部門で働く全ての組合員によるストライキ実施を承認。ストライキは現地時間2024年7月26日午前12時1分から開始されます。これによって、ゲームスタジオにはSAG-AFTRAと契約した俳優を声優、モーションキャプチャーのパフォーマンス、ゲーム内に登場させるなどの条件で採用する場合、SAG-AFTRAが提示する2種類の契約「Tiered-Budget Independent Interactive Media Agreement」「Interim Interactive Media Agreement」に署名する必要があります。

SAG-AFTRAによると、これらの契約には「組合員のための適切なAI保護」が含まれているとのことで、2500人以上の「ナレーションパフォーマーやモーションキャプチャーパフォーマー、スタントマン、スタントコーディネーター、歌手、ダンサー、人形遣い、バックグラウンドパフォーマー」が対象となっています。



エルマレ氏は「彼らが私たち組合員全員に最適な条件を提示する準備ができた場合、再度交渉を開始する予定です」と語りました。また、SAG-AFTRAの最高契約責任者であるレイ・ロドリゲス氏は「ストライキは最後の手段です。私たちは責任を持ってできる限りの時間を使い交渉に臨んできました。しかし、交渉が成立する可能性が失われてしまったため、ストライキを実行します」と述べています。