佐野海舟容疑者 ドイツ移籍破談でも違約金なし…出身校は“痛手”の可能性、五輪サポートメンバーの弟にもとばっちり
性的暴行の疑いで逮捕された佐野海舟(写真・アフロ)
7月17日朝、サッカー日本代表の佐野海舟容疑者を含む3人の男性が、30代の女性に対する性的暴行の疑いで、警視庁に逮捕されたと報じられた。報道によると14日午前4時ごろ、佐野容疑者は知人の20代の男性2人とともに東京都文京区湯島のホテルで性的暴行を加えたとされ、3人は14日に即日逮捕されたという。
佐野容疑者といえば、7月にJリーグ・鹿島アントラーズからドイツ1部リーグのマインツへの移籍が発表されたばかり。ドイツでのプレーは実現しないだろうと目されている。日本で実績を残した選手であり、移籍金は4億3000万円に上るとも報じられた。その大型移籍がふいになってしまったわけだ。しかし意外にも、佐野容疑者本人がマインツに支払わねばならない違約金は発生しない見込みだという。サッカー記者が語る。
「移籍契約は成立しているものの、佐野容疑者はまだマインツに合流しているわけではありません。もし本格的に練習に参加していたり、試合に出ていたりした場合には違約金が発生したかもしれませんが、今回はおそらく発生しないでしょう。
ちなみに、佐野容疑者は今月中にもドイツに渡る予定だったといわれていますから、『違約金発生にはギリギリ間に合った』というタイミングだったと思われます」
佐野容疑者が一銭も払わずに済む可能性の一方で、何ら落ち度のない団体らが「もらうはずだったお金」を手放さざるを得ない可能性もあるという。そのお金というのが、FIFAの規約に設定されている「連帯貢献金」だ。
これは、移籍金を得た元所属クラブから、その選手が12歳から23歳まで過ごした各クラブ(学校も含む)へ分配されるお金のこと。「クラブが選手を育ててくれたおかげで利益を上げたので、一部そのお返しをする」という意味合いを持つという。つまり、海外クラブへの移籍は、選手を育成したクラブに報いることでもあるのだ。ちなみに連帯貢献金は、Jリーグから海外のクラブに移籍した場合に適用され、国内移籍では発生しない。具体的には、12歳から15歳の時まで所属していたクラブに移籍金の0.25%×在籍年数分(最大4年=最大で1%)、16歳〜23歳までは移籍金の0.5%×在籍年数分(最大8年=最大で4%)が支払われる。佐野容疑者の逮捕で移籍が白紙になれば、連帯貢献金をもらえるはずだったチームが泣くことになる。
「佐野容疑者は岡山のFCヴィパルテを経て、米子北高校からFC町田、鹿島でプレーしていたので、連帯貢献金がヴィパルテ、米子北高、FC町田に支払われるはずだったんです。今回の件で移籍は消滅するでしょうから、お金も入ってきません」(サッカー専門紙記者)
さらに、意外な人物が痛手を被る可能性があるという。
「佐野は、おそらくプロ選手としての道は閉ざされるでしょう。前所属のFC町田、鹿島も『どういう教育をしていたのか』と叩かれる可能性があります。こうしたクラブは被害者といえるかもしれませんが、『当たり前の“身体検査”はしたのか』と追及されても仕方がない。
さらに、事件でとばっちりを受けたのがオランダのNECでプレーする弟の航大です。彼はパリ五輪に臨む日本代表のバックアップメンバーの一人。18人の中にけが人が出れば代わりに登録されますが、もしそうなったとしても平常心でプレーできるかどうか心配です」(同前)
後先考えぬ行動が、多くの人を傷つけている。