頂き女子りりちゃん「差し入れNGリスト」に「ぷっくりシール」 どんな理屈?法務省に聞いた
「頂き女子りりちゃん」こと渡辺真衣被告が2024年7月11日、拘置所における「差し入れNGリスト」を、支援者を通じてXで紹介した。渡辺被告が挙げたもの中にはレターセットやシールといったものも。なぜこれが「NG」なのか、その理由に関心が寄せられている。差し入れのルールについて、「一般論として」法務省に話を聞いた。
「レターセットやシールがダメな理由ってなんだろね」
渡辺被告は4月22日、マニュアルを販売し自らも男性の好意に付けこみ計約1億5500万円を詐取した罪などで名古屋地裁で懲役9年、罰金800万円の実刑判決を受けた。なお渡辺被告の弁護人は5月1日、判決を不服として控訴。渡辺被告は拘置所に収容されている。
渡辺被告は、支援者が管理するXアカウント「りりちゃんはごくちゅうです」を通じて獄中記を発信している。拘置所の「差し入れNGリスト」として挙げられたのは、レターセット(封筒・便せん)、シール(シール式切手を除く)。書籍は1日3冊まで差し入れ可能だという。また、「ぷっくり」や「ぷにぷに」した立体的なシールの場合、手紙に張られて届いても回収されてしまうと明かされた。
投稿を受けて、Xでは「色々ルールがあるんですね」「もちろん理由があるから禁止なんだろうけど、レターセットやシールがダメな理由ってなんだろね」「NGとOKの基準がわからん」などと、差し入れの制限に関心が寄せられている。立体的なシールに関しては、例えば薬が隠されたり、何らかの事情で飲み込んだりするのを防ぐためかといった憶測も。
J-CASTニュースは、拘置所における未決拘禁者への差し入れのルールについて、法務省矯正局に7月16日に取材した。一般論としてのルールについて聞いたところ、同局担当者は最終的な基準は各刑事施設の定めるところになるだろうとしたうえで、その前提となる上位規定の法律や訓令を紹介。差し入れできる物品は「自弁・使用できる物品」と重なる部分があり、そこに「管理運営上の制限」が絡むという考え方を説明した。
刑事収容施設法上の物品の制限、管理運営上の制限の「二重の制限」
まず、差し入れが認められる物品は、刑務所や拘置所における運営等を規律する根拠法令の「刑事収容施設法」で定められている。
同法第46条では、差し入れ人に対して引き取りを求める、つまり差し入れを受け入れられない物品の項目が列挙されている。担当者によると、差し入れ物品自体が腐敗してしまうようなものであったり、保管が難しかったり、交付することで施設の規律・秩序を害するものなど。「大前提としてやはり施設内において、自弁・使用できるような物品とかに限定されていると。これが法律上の定めという大きな枠組みになります」という。
なお、刑事施設で自弁・使用できる物品は、「規律および秩序の維持であるとか管理運営上の支障が生じるといった場合を除いて、法務省令で定めるところによって許すものとされている」とも。法務省令に基づき、具体的な品名は、大臣訓令においてリスト化された「別表」が定められている。
差し入れに関してはほかにも。先のような物品に関する規定とは別の定めで、刑事施設の長による「管理運営上の制限」が法令上許されているという。例えば、差し入れの申請日時や数量、指定業者から購入する物品に制限をするなどだ。
結論として、「差し入れの制限という話になると、ひとつはさっき申し上げた物品としての側面の制限と、それに加えて管理運営上の制限といった、二重の制限のなかで考えられていくものとご理解いただくのがいい」と総括。上位規定を踏まえたうえで、各刑事施設で詳細な基準が定められているだろうとし、個別の事案は同局で把握していないとする。
レターセット、シールNGはなぜ?
レターセット、シールが差し入れ出来ない理由も尋ねた。「各施設における個別の事案の判断となってしまう」ため回答は難しいとするも、一般論としては下記のように説明した。
「今申し上げたような各種規定のなかにおいて、例えば、その形状が規律および秩序の観点から問題があるとか、あとは管理運営上の観点でいうと指定業者を介した物品ではなかったとか。その他、一定期間内の(数量)制限の可能性もあります」
いずれにせよ先述した各種規定との関係で差し入れられなかった可能性もあると見解を示した。
書籍の制限に関しても、「全国一律に1日1回3冊となっているものではない」と説明。管理運営上の制限の枠組みのなかで、各施設が実用に応じて定めているとする。無制限にすると受付事務に負担がかかり、検査や受付自体が困難になりうるといった事情が考えられる。