車の屋根に「ルーフキャリア」“載せっぱなし”で車検に通る? アウトドア感がカッコいい“便利アイテム”の良し悪しは?
ルーフキャリアのメリット・デメリット
車内に載せたくない汚れた荷物や、長尺の趣味の道具などを積めるほか、アウトドアに似合うということもあり、近年「ルーフキャリア」が人気です。
純正オプションでも用意されていますが、種類が豊富な社外品を装着する人も多くいます。
そんな人気のルーフキャリアですが、注意しなければならないこともあるといいます。ルーフキャリアのメリット・デメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。
まず、ルーフキャリアを装着すると全高が変わるので、装着したままでは車検に通らないのではないかと考える人がいるかもしれません。
【画像】「えっ…!」 これがオープンカーの「ルーフキャリア」です! 画像を見る(30枚以上)
結論から言えば、市販されているルーフキャリアはほとんどが法律に適合したものなので、装着したままでも車検に通すことが可能です。
なぜ車検がOKかというと、ルーフキャリアは保安基準で指定される自動車部品(以下、指定部品)の一種ですが、簡易な取り付け方法や固定的取り付け方法による装着だから、というのが答え。
「保安基準第18条(車枠及び車体について)」で規定されている「外部突起物規定」が2016年の改正で新車登録前の車両にのみ適用となり、車両購入後に後付けするルーフキャリアは該当しないというわけです。
さらに指定部品は「一定範囲内であれば、構造等変更などの届出を簡素化」という通達が1995年11月に施行され、市販されているルーフキャリアはたいていがこの基準を満たしていることから、装着したままでも車検時に構造変更を申請する必要がありません。
一方で、付随するボルトやナット、接着剤、または溶接やリベットで装着される場合は走行中の落下の危険性が低いため問題ありませんが、蝶ネジはまだしもクリップのみで固定しただけでは保安基準でNGとなる可能性もあります。
このため、しっかり固定できていれば問題ないということです。
ルーフキャリアは社外品であっても合法的に装着できるとあって、アウトドアブームが継続している現在、人気の装備になっているのです。
特に、現在主流となっているSUVやミニバンでは、居住空間とラゲッジスペースが同じ空間に存在するため、人が乗るスペースと濡れた物や汚れものを分けることができるのがルーフキャリアの最大のメリット。
また高さのある荷物を載せるときや多人数乗車で居住空間を犠牲にしたくないといった場合などにも有効です。
ただし注意点もいくつかあります。
まず、キャリアのベース部分となる「ベースキャリア(ルーフキャリアを取り付けるための専用レール)」を装着する場合、積載重量などによってはボディに傷が付いたりへこんでしまうことがあります。
SUVなどで頑丈なルーフレールが装備されている車両なら問題ないのですが、セダンやコンパクトカーなどでは、窓枠やルーフに直接取り付けるタイプのものが多くあります。
そのため取り付け部分に保護シールなどで傷対策をしておく、メーカー推奨以上の重量物を積載しないなどの配慮が必要です。
また、ルーフキャリアに荷物を積載するとその分全高が高くなるため、いつも使っている駐車場や高さ制限のある場所などでは干渉する可能性があります。
特にルーフボックスや自転車用ラックなどは高さがあるので、全高には十分注意する必要があります。
ルーフキャリアを実際に使ってる人の見解は?
実際にルーフキャリアを使っている人に話を聞いてみました。
ミニ「クロスオーバー」にルーフキャリアとルーフボックスを同時に搭載しているSさん(50代男性)は、もともと小さいクルマを好んで乗っているといいます。
そして、現在のキャンプブーム以前から趣味として楽しんでいるとのことで、大量の荷物や道具、汚れ物・濡れた物なども積載することがあるため、ルーフボックスを使っているそうです。
「ルーフボックスはあまり高さがなく、薄いものしか積載できなかったので、ルーフキャリアと併用しています。
ただ、そうするとどうしても幅がはみ出てしまうので、ルーフキャリアを自作して、半分の大きさにしてルーフに載せました」
使ってみて気づいたのが、「ルーフキャリアを搭載する位置が重要」ということだとSさんはいいます。
「大抵の方はルーフキャリアをルーフの中央に配置していますが、左右どちらかにオフセットさせたほうが、荷物の積み下ろしがしやすいんです。
重量バランスを気にする人がいるかもしれませんが、ミニ クロスオーバーの場合は車高が低いこともあって、一般的な走行ではほとんど気になりません」
高速道路などでは多少風切り音が加わりますが、やはりキャンプの荷物を持ち運ぶにはラゲッジスペースの容量だけでは不十分。テントやチェアーなどかさ張る物もルーフキャリアやルーフボックスで積載できるメリットは大きいそうです。
では、実際に使ったからこそ分かった注意点はあるのでしょうか。
「多くの方と同じく、そもそもルーフキャリアは一度装着したら滅多に外さないので、一番の悩みは洗車しにくいことです。洗車機が使えませんし、素材の違うものを組み合わせているので、耐候性も違います。きれいにしたつもりでも掃除し忘れるのが難点です。
想像以上に上に高さが出るため、場所によっては上部の接触に注意が必要になります。オートキャンプ場では低い樹木も多いので、木枝などで荷物やキャリアに傷をつけないように配慮する必要があります」(ルーフキャリアを愛用するSさん)
また積載物はかさ張ったとしても重量がないものにする、クルマの全長を超えるような長尺物は控える、貴重なものは鍵をかけるなどのセキュリティ対策も忘れずにしたほうが良いとのことでした。
「アウトドア感の演出はもちろんですが、使ってみると非常に実用的な装備だと思います。
クルマのサイズ的に無理だと諦めていた物も積めますし、車内が荷物でパンパンになってしまうこともないので多人数乗車もしやすく、メリットのほうが大きいと思います」(ルーフキャリアを愛用するSさん)
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ルーフキャリアは実用性の高い装備で、キャンプだけでなく、普段は配送に頼むような大きい買い物もそのまま持って帰れたり、またそのときにシートを倒すといったアレンジをしないで済むなどのメリットは多そうです。