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『ジュラシック』シリーズの集大成と言われた『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)では意外すぎる生物が人類を危機に陥れた。イナゴだ。これまでの『ジュラシック』映画では恐竜を前に畏怖する人間たちの姿が醍醐味であったが、同作では大量の巨大イナゴが強敵として立ちはだかった。

結果的にこの設定は批評家やファンの賛否を分けることになったが、いったいなぜイナゴがあれほどの大きな役目を担う必要があったのか。『ジュラシック・ワールド』第1作から監督復帰を果たしたコリン・トレボロウは、その背景を映画公開当時の米とのインタビューで語っていた。

この記事には、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のネタバレが含まれています。

この記事には、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のネタバレが含まれています。

(c) 2021 Universal Studios. All Rights Reserved. 『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』イナゴに込められた想いとは

前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2015)での出来事を経て、人間社会のいたるところで恐竜が暮らす世界となっていた『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』では、新たな脅威が訪れる。アメリカでは、凶暴化した巨大イナゴによる害虫被害が立て続けに報告されており、古植物学者のエリー・サトラー(ローラ・ダーン)によれば、このままでは世界的な飢饉が起きてしまうという。

実はこの巨大イナゴ、表向きは恐竜の保護を掲げながらも狡猾な方法で金儲けを企むバイオシン社が計画した「昆虫プロジェクト」によって誕生していたことが判明する。通常のイナゴに比べて繁殖力も危険性も増大した巨大イナゴを地球上に放ったバイオシン社は、唯一その被害を防ぐことができる種を開発するが、さっそくサトラーによってその思惑を見抜かれてしまう(今思えば、なんという詰めの甘さ!)。

巨大イナゴは蜂のように群をなし、人間たちをも襲う恐怖を劇中で見せたわけだが、この筋書きを考案したのは、本作で共同脚本を務めたコリン・トロボロウ監督とエミリー・カーマイケルだった。監督によれば、まず第一にイナゴの存在はローラ・ダーン演じるエリー・サトラーを復活させる上で重要だったのだという。

「率直に言えば、(イナゴは)私やエミリー・カーマイケルの望みから生まれたものです。エリー・サトラーの物語と彼女自身にエンジンになってもらうためです。彼女は古植物学者で、古代の植物や、生態学の歴史が人類を絶滅からどう守ってくれるのかを研究している人物です。私たちは彼女の専門分野に敬意を払いたかったのです。」

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もう一つ、トレボロウ監督がイナゴを通して表現したかったのが、環境に対する人為的な介入の恐怖を描くこと。「『ジュラシック』を恐竜だけにフォーカスさせることを継続させるよりも重要なことだと思いました」と語る監督は、これまで恐竜に焦点を当ててきた物語からあえて脱却したのだ。

「気候危機は極限の気温や暴風だけではなく、地球にとって欠かせない生物学の繊細なバランスを傾かせることもその一因なんだということを認識してもらう機会でもありました。今回の場合 ── 遺伝子学者や科学者と話したことでもありますが ── 遺伝子の力とその濫用が、世界的な大惨事を引き起こす可能性のあるシナリオでした。近所や大陸、キャラクターがたまたま居合わせた場所だけでなく世界の至るところへの大惨事を。」

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それにしてもなぜイナゴだったのか、この疑問は解消されていないように思えるが、「あのような虫たちは6,500万年の進化を生き延びてきました」とトレボロウ監督。『新たなる支配者』のラストでは、有名な科学者として知られたシャーロット・ロックウッドが、「地球は人類のもの?人類はもろい生命体システムの一部」というメッセージを遺すが、人類よりも前から存在していた昆虫(=イナゴ)を登場させることで、人為的介入の浅はかさを強調したかったのではないだろうか。

「私にとって、『ジュラシック・パーク』が伝えていた重要なことをこの映画で語れたと思っています」。トレボロウ監督は『新たなる支配者』での物語には、クローン技術によって恐竜たちを再現したことで起こる大惨事を描いた『ジュラシック』シリーズ第1作と共通するテーマがあると話す。「それは、恐ろしいほどの警告です。1993年に解き放たれた遺伝子の力が実世界のシナリオに及んでいるのですよ」。

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