2024年5月28日ごろから、主にAdblock Plusのユーザーの間で、動画が一瞬で終了するなどして正常に視聴できない問題が報告されるようになりました。すべての広告ブロッカーで同様の問題が起きているわけではないことから、単なるYouTube広告ブロッカーの不具合との見方もあるほか、YouTube広告ブロッカー対策とは無関係な変更が原因の可能性があるとの声明を発表しています。

YouTube videos skipping to the end for adblocker users

https://9to5google.com/2024/05/28/youtube-skipping-to-end-adblockers/

Ad blocker users say YouTube videos are now skipping to the end

https://www.bleepingcomputer.com/news/google/ad-blocker-users-say-youtube-videos-are-now-skipping-to-the-end/

YouTube has now begun skipping videos altogether for users with ad blockers

https://www.androidpolice.com/youtube-videos-skip-to-end-if-you-use-an-ad-blocker/#update-2024-05-28-11-47-est-by-dallas-thomas

この問題が発生するとどうなるのかは、以下のムービーを再生するとよくわかります。



動画の撮影者は、まずシークバーをクリックして動画を途中から再生させようとします。



ところが、動画が再生されることなく終了画面が表示されました。また、画面を更新して再読み込みしても、動画のオープニングが1秒ほど流れてから同様に動画が終了するだけです。



続いて、Adblock Plusの拡張機能を切ります。



すると、動画が正常に再生されました。



掲示板型ソーシャルニュースサイト・Redditには、広告ブロッカーを使っているとミュートになり、音量スライダーを操作しても即座にミュートに戻るとの報告もあります。Adblock Plusでの問題はChromeとFirefoxの両方で起きているほか、OperaGXのような広告ブロック機能が組み込まれたブラウザのユーザーからも不具合が報告されているとのこと。

YouTubeは、2023年半ばから広告ブロッカーをオフにしなければ動画を視聴できなくする対策を行っており、これにより警告が3回表示されるか、広告ブロッカーを使用したまま3回動画を視聴するとそれ以上動画が再生されないようになりました。

さらに、2023年11月には広告ブロッカーをインストールしたブラウザでの読み込みを意図的に遅延させる措置が講じられたほか、2024年4月からは広告ブロック機能が組み込まれたサードパーティーアプリも禁止されています。

YouTubeが「広告ブロッカー」の取り締まりを強化しサードパーティーアプリも禁止に - GIGAZINE



YouTube広告ブロッカーへの圧力を強めていることから、多くのユーザーは「動画が即終了するのは、広告ブロッカーの取り締まりのためにYouTubeが意図的に引き起こした問題」だと推測しましたが、不具合が起きない広告ブロッカーやブラウザもあるため、単なるエラーと指摘する人もいるとのこと。

その後YouTubeは、IT系ニュースサイトの9to5Googleへの声明で、広告ブロッカーの使用は利用規約違反であると改めて強調しつつ、今回の問題はYouTubeがパフォーマンス改善を目的に行った変更が原因の可能性があり、広告ブロッカー対策とは無関係であると説明しました。声明の内容は次の通り。

広告ブロッカーはYouTubeの利用規約に違反するため、以前から、お気に入りのクリエイターをサポートするために、YouTube広告を許可するか、広告なしのYouTube Premiumを試すよう呼びかけてきました。しかし、それとは無関係に、パフォーマンスと信頼性を向上させるための取り組みも行っており、これが広告ブロッカーユーザーに最適な視聴体験を提供していない可能性があります」

9to5Googleは「YouTubeの変更が広告ブロッカーと干渉してこのような結果をもたらした可能性が高いと思われますが、YouTubeはそれが事実かどうかについて直接言及していません。ごく少数ですが、広告ブロッカーを使っていないのにこの問題が起きたと主張するユーザーもいます」と述べました。