CrossfaithとWARGASMが語る、「ネガティブをぶち壊すため」の共闘
5月15日、CrossfaithとイギリスのロックユニットWARGASM(ウォーガズム)によるコラボレーション楽曲「God Speed feat. WARGASM」が、各ストリーミングサイトにて配信スタートした。両者ともにプロディジー、スリップノットといったバンドから強い影響を受けており、かなり似た価値観を共有している。そんな彼らがこうやって出会ったのは必然だったのかもしれない。
【写真を見る】「God Speed feat. WARGASM」MVオフショット
今回の貴重な対談は、WARGASMが初の単独来日公演を果たした今年1月、ライブのリハーサル後に行われたもの。短い時間ではあったが、両者の出会いやお互いの魅力、そしてコラボ曲「God Speed feat. WARGASM」の制作秘話などについてたっぷり語ってもらった。彼らの話しぶりから、今回のコラボが実り多きものだったことが十分に伝わってくるはずだ。
―お互いのことはどうやって知ったんですか。
サム・マトロック(Vo&Gt) 俺はケンティッシュ・タウンのO2 Forumで、ベリー・トゥモローとやってたUKツアーでCrossfaithを観た。
Teru(Vo) 俺たち、ベリー・トゥモローとはめちゃめちゃ一緒にライブやってるよ。
サム ベリー・トゥモローのマネージャーと友達だったから観に行ったんだけど、そのときまで君らのことは知らなくて、ライブを観たあとに「なんじゃこりゃ!? あいつら、めっちゃいいじゃん!」って思ったのを覚えてるよ。
ミルキー・ウェイ(Vo&Ba) 私は2018年に日本に住んでた頃、原宿であったパーティでCrossfaithのHiro(元メンバー)と知り合って、最初は彼がCrossfaithにいるなんて知らなかったんだけど、話しているうちに「俺、Crossfaithのメンバーだよ」って言われて、「ファック! 私、Crossfaith大好きだよ!」って。
一同 あはは!
サム それでミルキーは俺にメールしてきたんだよな。
ミルキー そう。
Koie そうなんだ。
サム ミルキーが日本で働いてたときはまだWARGASMではなかったんだけど、俺らはオンラインでいろいろ話をしながらお互いどんな音楽が好きか探ってるところだったんだ。それで、ミルキーからその話を聞いて、「それ、俺がライブで観て、めっちゃいいと思ったバンドだよ!」って。
Koie 俺、君らが俺たちのことについて話してるのを『ヘドバン』っていう日本のメタル雑誌で読んだよ。
サム そう、そこでCrossfaithについてめっちゃしゃべったよ(笑)。
WARGASM:写真上から、サム・マトロック(Vo&Gt)、ミルキー・ウェイ(Vo&Ba)
―ミルキーさんはCrossfaithのどんなところに惹かれたんでしょうか。
ミルキー エレクトロニックとメタルをブレンドしているところが大好き。それは私たちもやろうとしてたことだから、大きなインスピレーションになったの。あと、見た目もいいよね。私は見た目もサウンドもいいバンドが好き。
サム Crossfaithは「Omen」のカバーをする前からプロディジーの要素を取り入れてたけど、俺たちも同じようなことをやろうとしてめちゃくちゃがんばってたんだ。もちろん、それはパクるということではなく、オマージュという意味でね。でも、Crossfaith以外にプロディジーのエネルギーを感じさせるバンドはいないよ。
Teru(Program, Vision) プロディジーのエッセンスを自分たちの音楽に取り入れるというのはものすごく難しいことで、俺たちも彼らの大ファンだからバンドとエレクトリックサウンドの融合を目指してたけど、WARGASMの「Do It So Good」を初めて聴いたときは正直、「うわ、先にやられた!」って。
Koie 言ってたよな(笑)。悔しかった。
ミルキー それは知らなかった!(笑)
サム スリップノットとプロディジーには同じようなエネルギーがあると俺は思ってる。
Teru ああ、俺も! 彼らはオリジナリティがあるよね。
サム たしかにそうだね。どの音楽にも彼らのようなエネルギーがあるべきだと思うよ。
「God Speed feat. WARGASM」誕生の背景
―そういう意味では、今回2組がコラボした「God Speed feat. WARGASM」には今お話していたようなフィーリングがありますよね。Crossfaithはなぜ今回こういった曲でWARGASMとコラボしたいと思ったんでしょうか。
Koie 音楽づくりに対するアティチュードが俺たちは似ていてそこにシンパシーを抱いたから、君たちと一緒に音を鳴らしたいと思ったんだ。
Teru 俺たちは嫌なことや悲しみを爆音がかき消してくれると信じていて、今の世の中ってすげえネガティブなニュースが多いから「God Speed feat. WARGASM」のようなエネルギーのある曲をWARGASMとつくりたかったんだ。
Koie 今回、WARGASMと一緒に曲をつくることでいつもと違う視点を持てたし、それによって新しい可能性を表現できた気がする。
サム 俺もそう思う。俺は君たちから「とにかくやろうぜ!」っていうDIYのエネルギーを感じる。時々、誰かがセットアップしたコラボがあるけど、それはあまりに企業的で、何人もの人を経由しないといけないだろ? でも、俺たちにはすでにつながりがあったし、間に人を挟まなくてもインスタとかのチャットでことが済む。それがいいところだと思う。
Teru プロディジーとかスリップノットとか、俺たちが同じDNAを持ってることはWARGASMの曲を初めて聴いたときにすぐわかったし、さっきはエヴァンゲリオンが好きっていうこともわかって、そこも共通してるよね。
サム いろんなことをシェアしてるよな。あと、スコッチも(笑)。
―(笑)WARGASMのふたりは「God Speed feat. WARGASM」のデモを聴いたとき、この曲にどう取り組もうと思いましたか?
ミルキー 「God Speed feat. WARGASM」はBABYMETALとのツアー先で初めて聴いたんだけど、不思議なもので、ツアー中ってライブに集中してるから創作に意識を向けるのが難しくて。だけど、「ツアーが終わったらこの曲をやれるんだ!」と思ったらすごく興奮したことを覚えてる。
Teru ツアー中に曲を書くことがすごくタフだというのは俺たちもよく知ってるから、今の話を聞いて、「本当にありがとう」って思う。
ミルキー ははは!
サム 俺は君らに付いていくのに必死だったよ。特にサビ前の部分を初めて聴いたときは、「これは難しいぞ……!」と思った。
Koie 本当に?
サム うん。サビ前からの流れに一貫性を持たせないといけないと思ったから、すごく難しいと思った。だからじっくり曲を聴いて、頭の中でいろいろ考えたよ。歌詞って最初から見えてるときもあるけど、書いてるうちにだんだん見えてくることもあって、今回はパズルをするような感じで言葉を組み立てていったんだ。ハードルは高かったけど、だからこそ興奮したよ。
Koie そのパートは君らがスクリームしたりすることを想像しながら書いたんだ。
サム たくさんクールな提案をしてくれてよかったよ。みんなに早く聴いてもらいたいな。
―この曲のリリックにはどんな感情を込めていますか?
Koie 抑えきれない欲望に抗わずに飛び込めよ、みたいな曲ですね。ソーシャルメディアに流れてるようなくだらないものとかネガティブなものは全部気にせず、自分のやりたいようにやれよっていう。
サム 「Doom Scrolling」っていう言葉を知ってる? X(Twitter)とかで気が滅入るようなものを見続けてしまう行為で、世界からは目を背けるべきではないけれど、時にはあまりにも悪いニュースが多すぎることがあるし、ソーシャルメディアは人を孤立したような気持ちにさせるだろう? この曲では、「そんなもん、クソ喰らえ!」って歌ってるんだよ。
Koie ギターを持ってスクリームしろってね(笑)。
ミルキー エネルギーがあってカタルシスが感じられるような歌詞だから、わざわざ難しい言葉で語らなくてもこの曲が持つエネルギーから感じられるものはたくさんあるんじゃないかな。
―「God Speed feat. WARGASM」は日本でMV撮影をしたそうですね。いかがでしたか?
サム&ミルキー ローーーング(笑)。
ミルキー すごく長い1日だったな。曲がハイエナジーでよかったよ。これがバラードだったら撮影の途中で寝ちゃってただろうし、この曲のエネルギーのおかげで1日を乗り切れたと思う。
Teru 聞きたいんだけど、最初のシーンを小さな公園で撮ったでしょ? そのとき「この撮影、大丈夫かな……?」って思わなかった?
Koie あっはっは! そうだね(笑)。
ミルキー そんなこと思わなかったよ! 私たちが撮影場所に行ったら日本の女子高生の制服があって、あれはいいサプライズだった(笑)。
Teru ふたりともめちゃめちゃ似合ってた!
ミルキー ああ、ありがとう!
Koie ふたりとも日本でのMV撮影を楽しんでくれてよかったよ。
サム 撮影スタッフが集まってきて、緑髪の人がディレクターだってわかった瞬間に、「あ、これは大丈夫だ」って思ったよ。こんな感じのスタッフがいるならいい作品になるだろうから、何も質問せずにやるべきことをやろうって。
Koie 彼は全部わかってるからね(笑)。
Photo by Daiki Miura
―MVはどんな世界観なんですか?
Koie 日本のアーティストと海外のアーティストがコラボするというコントラストもあるし、朝イチに小さな公園で撮ったちょっとキュートな瞬間も収めてたりして、おもしろいものになると思います。
サム 俺はすごくカラフルでエキサイティングな印象があるな。音楽にもエネルギーがあるし、目を引く場面がたくさんあると思う。
Koie さらにデジタル・グラフィックも追加されてるからね。
サム そうだった。なおさらすごくフレッシュで未来感のあるものになりそうだね。めちゃめちゃたくさんのカットを撮ったから、カット割りを細かくしないと全部詰め込めないかも。
Koie ジェットコースター的な展開にしないとね。
サム まさにそう。
Photo by Daiki Miura
音楽に宿るパンクのエネルギー
―WARGASMのおふたりは今、母国・イギリスの音楽シーンについてどういうところが面白いと感じていますか。
ミルキー ロンドンは今、ちょっと変な感じで、ネガティブな空気が流れてる。政府がすべてをめちゃくちゃにしてるし、みんなフラストレーションが溜まってる。すべての物がめちゃくちゃ高くなってるし、その点、日本は全然違うからリフレッシュになってるよ。もちろん、ここに住んでる人たちにとってはまた違うんだろうけど。
サム ほかの国のほうがよく見えるよね。隣の芝は青いってヤツだよ。
Koie UKのアーティストは常に政府について口にするのがいいし、本来はそれが普通だよね。でも、この国だと政府について物を言うミュージシャンはほんの少ししかいないんだ。なぜなら日本の音楽ファンがそういう話を聞きたがらないから。自分としてはそれが不思議なんだけど。俺たちは政治やネガティブな物事についてもっと発言すべきだと思う、ネガティブをぶち壊すためにね。
ミルキー UKはパンク発祥の地だし、UKのバンドにとってはパンクのエネルギーが自分たちの音楽に根付いているのは自然なことなんだよね。
Koie だから、ネガティブなことについて歌詞を書くとき、WARGASMの存在はいつも俺をインスパイアしてくれるんだよ。
サム UKが恵まれてると思うのは、日本でパフォーマンスするのももちろん好きだけど、UKの観客の前でパフォーマンスするのは本当に最高だっていうこと。みんなオシャレをしてくるし……まあ、ほとんど裸なんだけど(笑)、クラウドサーフやモッシュしたり暴力的に盛り上がるんだよ。世界に対してムカついてる人たちがお互いに傷つけ合うんじゃなくて、ライブに行って怒りを発散させる、それがすごくいいところだと思う。
Koie UKは俺たちの第二の故郷だよ。これまでUKには20回以上行ってるし、またそっちに行くのが待ちきれないね。
サム また戻って来る?
Koie もちろん!
ミルキー 私はまだCrossfaithのライブを観たことがないの。
Koie マジで!? 頼むよ!
ミルキー 前回ロンドンに来たときに行きたかったけど、ツアーか何かでいなかったのよ。
Koie 一緒にツアーしようよ!
サム そうだね、UKで一緒にやろうよ。お願い!
Koie UKと日本でね。
サム アメリカもいいかもね。でっかいバス借りてさ。
Teru ツアータイトルは「CROSSGASM」だね(笑)。
―一緒にツアーするなら「God Speed feat. WARGASM」がやれるじゃないですか。
Koie そこで初めて曲が完成する。
サム 俺たちがいない場合は誰がミルキーのパートをやるんだ?
ミルキー そうね。誰かがやらないと。
サム (Teruに向かって)君がやらないと(笑)。
Teru (甲高い声で歌う)
ミルキー めっちゃいいね!(笑)
Photo by Daiki Miura
―2組とも多様性のある音楽をやっていると思うんですけど、音楽だけではなく、アートやファッションなど様々なものから影響を受けていると思います。今、皆さんに一番インスピレーションを与えてくれるものは何ですか。
Teru 俺は自分の家でメンバーとレコードを聴きながら酒を飲んで、「この曲、ヤバいよなあ!」って言い合ったり、ハイになれる瞬間、ハイになれるトリガーを共有することを一番大切にしてる。
ミルキー あと、ブリトニー・スピアーズね。
Teru え? え? なんだって!?
ミルキー ブリトニー・スピアーズだよ! 彼女もインスピレーションの元よ!
Koie あっはっは! 君にとってはね!(笑)
ミルキー 彼女はみんなにインスピレーションを与える人だよ! 彼女は「自分以外のことは知ったこっちゃない」っていうアティチュードをもちながら、ミュージックとしてあそこまで成功したでしょ?
Koie ああ、なるほどね。
サム あと、ギターは入ってないけどメタルだと思ってるのはチャーリーXCX。
ミルキー そうだね、私はヘヴィなギターを鳴らさずにヘヴィミュージックをつくってる人たちにインスパイアされるなあ。もちろん、ギターが入ってるのも大好きだけど。
Koie 一番大事なのはアティチュードだよね。
ミルキー あとは、ギターソロね(笑)。
―では最後に、あなたたちの音楽に救われている人たち、ファンの人たちへ向けてメッセージをお願いします。
Koie 俺らとWARGASMの曲を聴いてぶっ飛んでもらえたら!
ミルキー 今からCrossfaithの世界征服ツアーに備えといてね!
Teru CROSSGASM、ね(笑)。
ミルキー そう、CROSSGASM!(笑)
サム ミルキーはもう君らのバンドに参加してるつもりで話をしてるよ。「WAR」のことも忘れんなよ、CROSSMILK(笑)。
Crossfaith:写真左から、Tatsuya (Dr) 、Koie (Vo)、Kazuki(Gt)、Daiki(Gt)、Teru(Program, Vision)
<INFORMATION>
『AЯK』
Crossfaith
ワーナーミュージック・ジャパン
6月26日発売
形態:CD/デジタル(ダウンロード&ストリーミング)
※「God Speed feat. WARGASM」「ZERO」「L.A.M.N feat. Bobby Wolfgang」含む全11曲収録
https://CrossfaithJP.lnk.to/ARKPu
CD情報:通常盤 (WPCL-13588) 3300円(税込)
<CD情報>
通常盤 (WPCL-13588) 3,300円(税込)
CD購入特典:
<店舗別オリジナル特典>
対象店舗にてご予約・ご購入いただいたお客様に先着で下記特典をプレゼント
Amazon.co.jp:メガジャケ
楽天ブックス:アクリルキーホルダー
セブンネットショッピング:アクリルカラビナ
全国CDショップ・ネットショッピングサイト共通特典:ピック
※特典はなくなり次第終了とさせていただきます
※特典の有無に関するお問い合わせは直接各店舗へご確認下さい
※特典ナシのカートもございますのでご注意ください
Crossfaith AЯK Japan Tour 2024
7.02 (火) - 神奈川, CLUB CITTA Guest Band:Paledusk
7.09 (火) - 山口, 周南RISING HALL Guest Band:Fear, and Loathing in Las Vegas
7.10 (水) - 広島, 広島クラブクアトロ Guest Band:Fear, and Loathing in Las Vegas
7.12 (金) - 岡山, 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
7.15 (月・祝) - 沖縄, 桜坂セントラル (One Man Show)
7.24 (水) - 岐阜, club-G Guest Band:DEXCORE
7.25 (木) - 愛知, 名古屋 ダイアモンドホール Guest Band:JILUKA
7.27 (土) - 静岡, SOUND SHOWER ark 清水
8.02 (金) - 群馬, 前橋 DYVER Guest Band:Before My Life Fails
8.06 (火) - 兵庫, Harbor Studio
8.07 (水) - 京都, KYOTO MUSE
8.09 (金) - 奈良, EVANS CASTLE HALL Guest Band:KNOSIS
8.15 (木) - 長野, 長野CLUB JUNK BOX Guest Band:ROTTENGRAFFTY
8.17 (土) - 新潟, 新潟LOTS Guest Band:ROTTENGRAFFTY
8.18 (日) - 石川, 金沢EIGHT HALL Guest Band:Age Factory
8.22 (木) - 青森, 青森Quarter
8.24 (土) - 宮城, 仙台Rensa Guest Band:Sable Hills
8.25 (日) - 福島, 郡山Hip Shot Japan Guest Band:Sable Hills
9.12 (木) - 北海道, CASINO DRIVE Guest Band:The BONEZ
9.13 (金) - 北海道, PENNY LANE24 Guest Band:The BONEZ
9.16 (月・祝) - 茨城, mito LIGHT HOUSE Guest Band:Prompts
9.20 (金) - 愛媛, 松山 WstudioRED
9.22 (日) - 福岡, DRUM LOGOS
9.23 (月・祝) - 熊本, 熊本B.9 V1
9.26 (木) - 大阪, 三国ヶ丘FUZZ (One Man Show)
9.27 (金) - 大阪, GORILLA HALL OSAKA
※その他の公演スケジュールについては以下をご参照ください
https://crossfaith.jp/schedule
Crossfaith Official Site https://crossfaith.jp/
Crossfaith Label Site (Warner Music Japan) https://wmg.jp/crossfaith/
X https://twitter.com/CrossfaithJapan
IG https://www.instagram.com/crossfaithjapan/
YouTube https://www.youtube.com/user/crossfaithofficial
TikTok https://www.tiktok.com/@CrossfaithJapan
WARGASM
Instagram:https://www.instagram.com/thisiswargasmuk/
X:https://twitter.com/thisiswargasmuk
海外公式サイト:https://www.wargasm.online/
日本公式サイト:https://www.universal-music.co.jp/wargasm/
今回の貴重な対談は、WARGASMが初の単独来日公演を果たした今年1月、ライブのリハーサル後に行われたもの。短い時間ではあったが、両者の出会いやお互いの魅力、そしてコラボ曲「God Speed feat. WARGASM」の制作秘話などについてたっぷり語ってもらった。彼らの話しぶりから、今回のコラボが実り多きものだったことが十分に伝わってくるはずだ。
―お互いのことはどうやって知ったんですか。
サム・マトロック(Vo&Gt) 俺はケンティッシュ・タウンのO2 Forumで、ベリー・トゥモローとやってたUKツアーでCrossfaithを観た。
Teru(Vo) 俺たち、ベリー・トゥモローとはめちゃめちゃ一緒にライブやってるよ。
サム ベリー・トゥモローのマネージャーと友達だったから観に行ったんだけど、そのときまで君らのことは知らなくて、ライブを観たあとに「なんじゃこりゃ!? あいつら、めっちゃいいじゃん!」って思ったのを覚えてるよ。
ミルキー・ウェイ(Vo&Ba) 私は2018年に日本に住んでた頃、原宿であったパーティでCrossfaithのHiro(元メンバー)と知り合って、最初は彼がCrossfaithにいるなんて知らなかったんだけど、話しているうちに「俺、Crossfaithのメンバーだよ」って言われて、「ファック! 私、Crossfaith大好きだよ!」って。
一同 あはは!
サム それでミルキーは俺にメールしてきたんだよな。
ミルキー そう。
Koie そうなんだ。
サム ミルキーが日本で働いてたときはまだWARGASMではなかったんだけど、俺らはオンラインでいろいろ話をしながらお互いどんな音楽が好きか探ってるところだったんだ。それで、ミルキーからその話を聞いて、「それ、俺がライブで観て、めっちゃいいと思ったバンドだよ!」って。
Koie 俺、君らが俺たちのことについて話してるのを『ヘドバン』っていう日本のメタル雑誌で読んだよ。
サム そう、そこでCrossfaithについてめっちゃしゃべったよ(笑)。
WARGASM:写真上から、サム・マトロック(Vo&Gt)、ミルキー・ウェイ(Vo&Ba)
―ミルキーさんはCrossfaithのどんなところに惹かれたんでしょうか。
ミルキー エレクトロニックとメタルをブレンドしているところが大好き。それは私たちもやろうとしてたことだから、大きなインスピレーションになったの。あと、見た目もいいよね。私は見た目もサウンドもいいバンドが好き。
サム Crossfaithは「Omen」のカバーをする前からプロディジーの要素を取り入れてたけど、俺たちも同じようなことをやろうとしてめちゃくちゃがんばってたんだ。もちろん、それはパクるということではなく、オマージュという意味でね。でも、Crossfaith以外にプロディジーのエネルギーを感じさせるバンドはいないよ。
Teru(Program, Vision) プロディジーのエッセンスを自分たちの音楽に取り入れるというのはものすごく難しいことで、俺たちも彼らの大ファンだからバンドとエレクトリックサウンドの融合を目指してたけど、WARGASMの「Do It So Good」を初めて聴いたときは正直、「うわ、先にやられた!」って。
Koie 言ってたよな(笑)。悔しかった。
ミルキー それは知らなかった!(笑)
サム スリップノットとプロディジーには同じようなエネルギーがあると俺は思ってる。
Teru ああ、俺も! 彼らはオリジナリティがあるよね。
サム たしかにそうだね。どの音楽にも彼らのようなエネルギーがあるべきだと思うよ。
「God Speed feat. WARGASM」誕生の背景
―そういう意味では、今回2組がコラボした「God Speed feat. WARGASM」には今お話していたようなフィーリングがありますよね。Crossfaithはなぜ今回こういった曲でWARGASMとコラボしたいと思ったんでしょうか。
Koie 音楽づくりに対するアティチュードが俺たちは似ていてそこにシンパシーを抱いたから、君たちと一緒に音を鳴らしたいと思ったんだ。
Teru 俺たちは嫌なことや悲しみを爆音がかき消してくれると信じていて、今の世の中ってすげえネガティブなニュースが多いから「God Speed feat. WARGASM」のようなエネルギーのある曲をWARGASMとつくりたかったんだ。
Koie 今回、WARGASMと一緒に曲をつくることでいつもと違う視点を持てたし、それによって新しい可能性を表現できた気がする。
サム 俺もそう思う。俺は君たちから「とにかくやろうぜ!」っていうDIYのエネルギーを感じる。時々、誰かがセットアップしたコラボがあるけど、それはあまりに企業的で、何人もの人を経由しないといけないだろ? でも、俺たちにはすでにつながりがあったし、間に人を挟まなくてもインスタとかのチャットでことが済む。それがいいところだと思う。
Teru プロディジーとかスリップノットとか、俺たちが同じDNAを持ってることはWARGASMの曲を初めて聴いたときにすぐわかったし、さっきはエヴァンゲリオンが好きっていうこともわかって、そこも共通してるよね。
サム いろんなことをシェアしてるよな。あと、スコッチも(笑)。
―(笑)WARGASMのふたりは「God Speed feat. WARGASM」のデモを聴いたとき、この曲にどう取り組もうと思いましたか?
ミルキー 「God Speed feat. WARGASM」はBABYMETALとのツアー先で初めて聴いたんだけど、不思議なもので、ツアー中ってライブに集中してるから創作に意識を向けるのが難しくて。だけど、「ツアーが終わったらこの曲をやれるんだ!」と思ったらすごく興奮したことを覚えてる。
Teru ツアー中に曲を書くことがすごくタフだというのは俺たちもよく知ってるから、今の話を聞いて、「本当にありがとう」って思う。
ミルキー ははは!
サム 俺は君らに付いていくのに必死だったよ。特にサビ前の部分を初めて聴いたときは、「これは難しいぞ……!」と思った。
Koie 本当に?
サム うん。サビ前からの流れに一貫性を持たせないといけないと思ったから、すごく難しいと思った。だからじっくり曲を聴いて、頭の中でいろいろ考えたよ。歌詞って最初から見えてるときもあるけど、書いてるうちにだんだん見えてくることもあって、今回はパズルをするような感じで言葉を組み立てていったんだ。ハードルは高かったけど、だからこそ興奮したよ。
Koie そのパートは君らがスクリームしたりすることを想像しながら書いたんだ。
サム たくさんクールな提案をしてくれてよかったよ。みんなに早く聴いてもらいたいな。
―この曲のリリックにはどんな感情を込めていますか?
Koie 抑えきれない欲望に抗わずに飛び込めよ、みたいな曲ですね。ソーシャルメディアに流れてるようなくだらないものとかネガティブなものは全部気にせず、自分のやりたいようにやれよっていう。
サム 「Doom Scrolling」っていう言葉を知ってる? X(Twitter)とかで気が滅入るようなものを見続けてしまう行為で、世界からは目を背けるべきではないけれど、時にはあまりにも悪いニュースが多すぎることがあるし、ソーシャルメディアは人を孤立したような気持ちにさせるだろう? この曲では、「そんなもん、クソ喰らえ!」って歌ってるんだよ。
Koie ギターを持ってスクリームしろってね(笑)。
ミルキー エネルギーがあってカタルシスが感じられるような歌詞だから、わざわざ難しい言葉で語らなくてもこの曲が持つエネルギーから感じられるものはたくさんあるんじゃないかな。
―「God Speed feat. WARGASM」は日本でMV撮影をしたそうですね。いかがでしたか?
サム&ミルキー ローーーング(笑)。
ミルキー すごく長い1日だったな。曲がハイエナジーでよかったよ。これがバラードだったら撮影の途中で寝ちゃってただろうし、この曲のエネルギーのおかげで1日を乗り切れたと思う。
Teru 聞きたいんだけど、最初のシーンを小さな公園で撮ったでしょ? そのとき「この撮影、大丈夫かな……?」って思わなかった?
Koie あっはっは! そうだね(笑)。
ミルキー そんなこと思わなかったよ! 私たちが撮影場所に行ったら日本の女子高生の制服があって、あれはいいサプライズだった(笑)。
Teru ふたりともめちゃめちゃ似合ってた!
ミルキー ああ、ありがとう!
Koie ふたりとも日本でのMV撮影を楽しんでくれてよかったよ。
サム 撮影スタッフが集まってきて、緑髪の人がディレクターだってわかった瞬間に、「あ、これは大丈夫だ」って思ったよ。こんな感じのスタッフがいるならいい作品になるだろうから、何も質問せずにやるべきことをやろうって。
Koie 彼は全部わかってるからね(笑)。
Photo by Daiki Miura
―MVはどんな世界観なんですか?
Koie 日本のアーティストと海外のアーティストがコラボするというコントラストもあるし、朝イチに小さな公園で撮ったちょっとキュートな瞬間も収めてたりして、おもしろいものになると思います。
サム 俺はすごくカラフルでエキサイティングな印象があるな。音楽にもエネルギーがあるし、目を引く場面がたくさんあると思う。
Koie さらにデジタル・グラフィックも追加されてるからね。
サム そうだった。なおさらすごくフレッシュで未来感のあるものになりそうだね。めちゃめちゃたくさんのカットを撮ったから、カット割りを細かくしないと全部詰め込めないかも。
Koie ジェットコースター的な展開にしないとね。
サム まさにそう。
Photo by Daiki Miura
音楽に宿るパンクのエネルギー
―WARGASMのおふたりは今、母国・イギリスの音楽シーンについてどういうところが面白いと感じていますか。
ミルキー ロンドンは今、ちょっと変な感じで、ネガティブな空気が流れてる。政府がすべてをめちゃくちゃにしてるし、みんなフラストレーションが溜まってる。すべての物がめちゃくちゃ高くなってるし、その点、日本は全然違うからリフレッシュになってるよ。もちろん、ここに住んでる人たちにとってはまた違うんだろうけど。
サム ほかの国のほうがよく見えるよね。隣の芝は青いってヤツだよ。
Koie UKのアーティストは常に政府について口にするのがいいし、本来はそれが普通だよね。でも、この国だと政府について物を言うミュージシャンはほんの少ししかいないんだ。なぜなら日本の音楽ファンがそういう話を聞きたがらないから。自分としてはそれが不思議なんだけど。俺たちは政治やネガティブな物事についてもっと発言すべきだと思う、ネガティブをぶち壊すためにね。
ミルキー UKはパンク発祥の地だし、UKのバンドにとってはパンクのエネルギーが自分たちの音楽に根付いているのは自然なことなんだよね。
Koie だから、ネガティブなことについて歌詞を書くとき、WARGASMの存在はいつも俺をインスパイアしてくれるんだよ。
サム UKが恵まれてると思うのは、日本でパフォーマンスするのももちろん好きだけど、UKの観客の前でパフォーマンスするのは本当に最高だっていうこと。みんなオシャレをしてくるし……まあ、ほとんど裸なんだけど(笑)、クラウドサーフやモッシュしたり暴力的に盛り上がるんだよ。世界に対してムカついてる人たちがお互いに傷つけ合うんじゃなくて、ライブに行って怒りを発散させる、それがすごくいいところだと思う。
Koie UKは俺たちの第二の故郷だよ。これまでUKには20回以上行ってるし、またそっちに行くのが待ちきれないね。
サム また戻って来る?
Koie もちろん!
ミルキー 私はまだCrossfaithのライブを観たことがないの。
Koie マジで!? 頼むよ!
ミルキー 前回ロンドンに来たときに行きたかったけど、ツアーか何かでいなかったのよ。
Koie 一緒にツアーしようよ!
サム そうだね、UKで一緒にやろうよ。お願い!
Koie UKと日本でね。
サム アメリカもいいかもね。でっかいバス借りてさ。
Teru ツアータイトルは「CROSSGASM」だね(笑)。
―一緒にツアーするなら「God Speed feat. WARGASM」がやれるじゃないですか。
Koie そこで初めて曲が完成する。
サム 俺たちがいない場合は誰がミルキーのパートをやるんだ?
ミルキー そうね。誰かがやらないと。
サム (Teruに向かって)君がやらないと(笑)。
Teru (甲高い声で歌う)
ミルキー めっちゃいいね!(笑)
Photo by Daiki Miura
―2組とも多様性のある音楽をやっていると思うんですけど、音楽だけではなく、アートやファッションなど様々なものから影響を受けていると思います。今、皆さんに一番インスピレーションを与えてくれるものは何ですか。
Teru 俺は自分の家でメンバーとレコードを聴きながら酒を飲んで、「この曲、ヤバいよなあ!」って言い合ったり、ハイになれる瞬間、ハイになれるトリガーを共有することを一番大切にしてる。
ミルキー あと、ブリトニー・スピアーズね。
Teru え? え? なんだって!?
ミルキー ブリトニー・スピアーズだよ! 彼女もインスピレーションの元よ!
Koie あっはっは! 君にとってはね!(笑)
ミルキー 彼女はみんなにインスピレーションを与える人だよ! 彼女は「自分以外のことは知ったこっちゃない」っていうアティチュードをもちながら、ミュージックとしてあそこまで成功したでしょ?
Koie ああ、なるほどね。
サム あと、ギターは入ってないけどメタルだと思ってるのはチャーリーXCX。
ミルキー そうだね、私はヘヴィなギターを鳴らさずにヘヴィミュージックをつくってる人たちにインスパイアされるなあ。もちろん、ギターが入ってるのも大好きだけど。
Koie 一番大事なのはアティチュードだよね。
ミルキー あとは、ギターソロね(笑)。
―では最後に、あなたたちの音楽に救われている人たち、ファンの人たちへ向けてメッセージをお願いします。
Koie 俺らとWARGASMの曲を聴いてぶっ飛んでもらえたら!
ミルキー 今からCrossfaithの世界征服ツアーに備えといてね!
Teru CROSSGASM、ね(笑)。
ミルキー そう、CROSSGASM!(笑)
サム ミルキーはもう君らのバンドに参加してるつもりで話をしてるよ。「WAR」のことも忘れんなよ、CROSSMILK(笑)。
Crossfaith:写真左から、Tatsuya (Dr) 、Koie (Vo)、Kazuki(Gt)、Daiki(Gt)、Teru(Program, Vision)
<INFORMATION>
『AЯK』
Crossfaith
ワーナーミュージック・ジャパン
6月26日発売
形態:CD/デジタル(ダウンロード&ストリーミング)
※「God Speed feat. WARGASM」「ZERO」「L.A.M.N feat. Bobby Wolfgang」含む全11曲収録
https://CrossfaithJP.lnk.to/ARKPu
CD情報:通常盤 (WPCL-13588) 3300円(税込)
<CD情報>
通常盤 (WPCL-13588) 3,300円(税込)
CD購入特典:
<店舗別オリジナル特典>
対象店舗にてご予約・ご購入いただいたお客様に先着で下記特典をプレゼント
Amazon.co.jp:メガジャケ
楽天ブックス:アクリルキーホルダー
セブンネットショッピング:アクリルカラビナ
全国CDショップ・ネットショッピングサイト共通特典:ピック
※特典はなくなり次第終了とさせていただきます
※特典の有無に関するお問い合わせは直接各店舗へご確認下さい
※特典ナシのカートもございますのでご注意ください
Crossfaith AЯK Japan Tour 2024
7.02 (火) - 神奈川, CLUB CITTA Guest Band:Paledusk
7.09 (火) - 山口, 周南RISING HALL Guest Band:Fear, and Loathing in Las Vegas
7.10 (水) - 広島, 広島クラブクアトロ Guest Band:Fear, and Loathing in Las Vegas
7.12 (金) - 岡山, 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
7.15 (月・祝) - 沖縄, 桜坂セントラル (One Man Show)
7.24 (水) - 岐阜, club-G Guest Band:DEXCORE
7.25 (木) - 愛知, 名古屋 ダイアモンドホール Guest Band:JILUKA
7.27 (土) - 静岡, SOUND SHOWER ark 清水
8.02 (金) - 群馬, 前橋 DYVER Guest Band:Before My Life Fails
8.06 (火) - 兵庫, Harbor Studio
8.07 (水) - 京都, KYOTO MUSE
8.09 (金) - 奈良, EVANS CASTLE HALL Guest Band:KNOSIS
8.15 (木) - 長野, 長野CLUB JUNK BOX Guest Band:ROTTENGRAFFTY
8.17 (土) - 新潟, 新潟LOTS Guest Band:ROTTENGRAFFTY
8.18 (日) - 石川, 金沢EIGHT HALL Guest Band:Age Factory
8.22 (木) - 青森, 青森Quarter
8.24 (土) - 宮城, 仙台Rensa Guest Band:Sable Hills
8.25 (日) - 福島, 郡山Hip Shot Japan Guest Band:Sable Hills
9.12 (木) - 北海道, CASINO DRIVE Guest Band:The BONEZ
9.13 (金) - 北海道, PENNY LANE24 Guest Band:The BONEZ
9.16 (月・祝) - 茨城, mito LIGHT HOUSE Guest Band:Prompts
9.20 (金) - 愛媛, 松山 WstudioRED
9.22 (日) - 福岡, DRUM LOGOS
9.23 (月・祝) - 熊本, 熊本B.9 V1
9.26 (木) - 大阪, 三国ヶ丘FUZZ (One Man Show)
9.27 (金) - 大阪, GORILLA HALL OSAKA
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