できれば子どもの教育費は惜しみなく費用をかけたいと考える保護者も少なくないはず。ここでは、3人の子どもの教育費のピンチをさまざまな方法でやりくりした、みゆりさん(仮名)の5つの乗り越え術をファイナンシャルプランナー・畠中雅子さんからのアドバイスとともにご紹介します。

乗りきり術(1)児童手当は全額を専用口座に貯蓄

3人の子どもを持つみゆりさん。長女は25歳で社会人、二女は23歳の社会人、長男は19歳で大学在学中です。子どもが小さいときから、教育費に備えて学資保険に入り、児童手当やお年玉、家計の黒字分も貯めてきました。

教育費用の口座は普通預金(1)、金利が少し有利な預金(2)、定期預金(3)を3人分開設。

「お年玉やお祝いは(1)に、児童手当は(2)に預け、まとまると(3)に預け替えて確実に貯めました」(みゆりさん、以下同)

●畠中さんからのアドバイス

<子どもが高校生なら新NISAはNG>

「進学資金シミュレーター」を子どもと一緒にチェック! 教育費を新NISAで運用している人は、お金が必要な時期に相場がいいとは限らないと心得て。子どもが高校生になったら、いつ解約してもいい定期預金にシフトを。

乗りきり術(2)私立高校に通わせて、塾通いなしで大学受験に挑戦

3人とも私立高校へ進学。

「当時は無償化されていませんでしたが、国の就学支援金と県の補助金を使ってほぼ無償に。私立は受験のサポートも手厚く、塾に通わずにすみました」

●畠中さんからのアドバイス

<見学説明会で「学校内予備校」の有無を確認して>

私立高校は大学の推薦入試の指定校になっている高校も多く、推薦入学なら塾代や受験料は最低限でOK。受験する場合も、多くの学校で割安な予備校の出張授業が。見学説明会で確認を

乗りきり術(3)ママ友や学校から積極的に情報収集する

20代前半で出産したため、周囲には受験を経験している年上のママ友が多くいたみゆりさん。

「奨学金情報や受験の仕方など、わからないことはなんでも聞いて教わりました」

乗りきり術(4)子どもと費用や奨学金のことをしっかり話し合う

「予想以上の学費に、『大学は奨学金を借りてほしい』と早めに伝えました」

親が奨学金の情報を集め、卒業後は返済にも協力。ただし定年後は、残りを子ども自身で返してもらう約束に。

●畠中さんからのアドバイス

<「進学資金シミュレーター」を子どもと一緒にチェック!>

日本学生支援機構のウェブサイトでは、「いくら借りると返済がいつまでいくら」と試算が可能。進路が定まる高2の夏休みに資金計画を親子で話し合って。

乗りきり術(5)給付型や無利子の奨学金を併用

奨学金は返済不要の「給付型」、無利子の「第一種」を優先し、有利子の「第二種」と併用。

「いずれも所得制限や成績の条件が厳しいので、夫の扶養から外れないようにパート代を調整。子どもも勉強をがんばってくれたので、有利なものを組み合わせて利用できました」

<併用ポイント>

・供給条件を事前に確認:日本学生支援機構の奨学金は、給付型との併給は不可だったり、金額が調整されるものもある。事前に併給条件は必ずチェック!

・給付型は複数申請を:民間の奨学金にも給付型は多数あるものの、採用人数が少なく最難関。とにかくたくさん申請して、もらえる確率アップにつなげて。

●畠中さんからのアドバイス

<併用するなら返済計画表を必ず作成しましょう!>

奨学金の返済は、子どものライフプランに影響します。複数の奨学金を利用したら、計画的に返せるように、それぞれの返済額や返済開始〜完了年齢を書いた返済表を作成して、破綻を防いで。

<みゆり家の併用の内訳>

・長女:第一種、第二種のほか無利子の奨学金を併用
・二女:第一種、第二種、給付型奨学金、無利子の奨学金を併用
・長男:第一種、第二種の奨学金を併用

忘れがちな教育費をチェック

習い事や授業料のほかにも予想外の出費が! 見落としがちな教育費とは?

●月謝が安くても用具や発表会の費用に注意!

習い事は月謝がそれほど高くなくても注意が必要。

「長女のバレエは、シューズや衣装、発表会などでお金がかかり、12年間で約500万円の出費に」

●下宿なしでも定期代が思わぬ負担に

3人とも自宅通学で、意外にかさんだのが通学定期。

「とくに大学が遠かった二女は、年13万円にも。半年ごとの購入で、費用の捻出が大変でした」

●教材費のほかにパソコン代など雑費が必要!

3人とも入学と同時に、パソコンが必要に。

「長女は大学で舞台公演があるたびに2万円、3万円とお金が飛んでいき…想定外の出費が多かったです」

●免許の教習所代も大学在学中にかかる

自動車免許の取得は時間がかかるので、大学在学中に行うのが一般的。

「うちも、3人で83万円の出費。必要経費として、見積もっておくべきでした」