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●東京から日帰りで行ける秩父のわらじかつ発祥の店『安田屋』の魅力とは?

 2024年のゴールデンウィークも後半戦。特に遠出する予定はなく、東京から日帰りで行ける場所でサクッと美味しいものでも食べようかな、なんて考えている人も多いのでは?

 そこで今回は、都内から1時間ちょっとで行ける日帰り旅行の定番スポット・秩父の名物「わらじかつ丼」の名店をご紹介しましょう。

「わらじかつ丼」とは、薄くて巨大なとんかつがご飯の上にのった丼メシ。そのカツのビジュアルから、草鞋(わらじ)に例えられ、「丼からはみ出ている」「蓋が閉まらない」などの特徴があります。しかも卵でとじず、カツとタレだけというのもポイント。

 わらじかつ丼は、秩父に点在する蕎麦屋や道の駅など各所で食べられますが、初めてなら専門店に行ってみたいもの。発祥の店として有名なのは『安田屋』さん。

 本店の秩父店(小鹿野町)は山奥にあるので少しアスセスに難があるのですが、今回ご紹介する支店『安田屋 日野田店』は、西武鉄道・秩父駅から徒歩10分ほどで行ける、日帰り旅には最適な場所にあるんです。

『安田屋』のわらじかつ丼がウマいワケ

『安田屋 日野田店』。休日だと昼前に到着しても行列ができていることが多い

 入店すると、カウンターと小上がりの座敷があります。メニュー選びに迷うことはないと思います。なにしろ「わらじかつ丼」の「2枚入り」(1300円)か「1枚入り」(1080円)の2択ですから。ちなみに、どちらも味噌汁・お新香付きです。

店内風景

 ここで、多くの人はこう考えるでしょう。「ふーん、1枚と2枚の差は220円か……。ならせっかくだし2枚入りにしとくか」と。

 しかしこのわらじかつ、“わらじ”の愛称を持つだけあって、想像より巨大。2枚入りは意外とヘビーであり、後々ボディブローのように効いてくるのでご注意を。

これは2枚入り。フタがしまりません

 もし「2枚入り」を頼んだ場合、丼に2枚のカツが重なって出てくるので、まずは丼のフタをひっくり返して、その上に1枚のカツを載せておき、「1枚入り」と同じスタイルで食べていくのがスマートです。

フタにもう1枚のカツをのせた状態

 巨大なカツを1枚、フタに移動すると、両手に花ならぬ“両手にカツ状態”となり、目の前は一面茶色の海、といったビジュアルになりますが、揚げ物好きにとってはたまらない光景だと思います。

カツとご飯の接地面がまたウマい

 甘辛いタレにくぐらせた揚げたてのカツは、衣はカリッとしていながらも、肉質はあくまでしっとり。見た目より厚みがあり、1cmくらいはあるでしょう。そして、カツとご飯の接地面がまた美味しい。甘辛いタレと脂の甘みが渾然一体となってご飯に染みており、非常にギルティな旨さを醸しています。

 卓上には山椒と唐辛子が入った“カラシビ系”のスパイスが置いてあるので、途中でカツにふりかけて味変を楽しむのもまた楽しい。これがまた絶妙なアクセントになり、ご飯がすすみます。

 そうこうしているうちに、わらじかつとご飯を無事に食べ終えるわけですが、このあたりで思い出すはずです。フタの上にまったく同じカツがもう一枚控えていることを。

もう一枚のわらじかつは持ち帰りもOK

 とはいえ、丼にはもうご飯はほとんどない状態。ここで迫られるのは、(1)ご飯をおかわりする、(2)カツだけを食べる、の2択です。

 しかし、もし「ご飯をください」と頼むと、タイムループもののアニメのように、もう一度、何事もなかったかのように最初から“わらじかつ丼体験”を繰り返すことになるし、かといってカツだけを食べるのも何か違う気がしますよね。

 そもそも、もうけっこうお腹パンパンだよ……という人は、もう一つの選択肢「(3)お持ち帰り」を選びましょう。店員さんに言えば、快くテイクアウト用のプラケースをもらえるはず。

 テイクアウト用のプラケースをいただき、フタの上のカツを移動させれば、立派な“秩父土産”の完成。自宅でもカツを味わえますよ。

(撮影・文◎如雨露)

●SHOP INFO

店名:安田屋 日野田店

住:埼玉県秩父市日野田町1-6-9
TEL:0494-24-3188
営:11:30~17:00(16:30LO)
休:月