クルマの「座席ポジション」調整機能が超進化中!?  驚異の「調整パターン28種類」もある!? 最強の「快適ドライブ」追究したシートはどこが動いてくれるのか

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シート調整機能はどれくらいある?

 クルマのシート調整といえば、ひと昔前は「前後位置」と「リクライニング」が一般的でしたが、いまではシートの高さや傾きなども細かく調整できます。
 
 では、いったいどこまで進化しているのでしょうか。

運転席のイメージ

 クルマを運転するときはドライビングポジションが大切といわれます。からだに合ったドライビングポジションをつくることで疲労を感じることが少なくなり、安全に運転を楽しめるようになります。

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 たとえば、シートが合わずに、かかとを上げたままアクセルからブレーキに踏みかえる状況を考えてみます。

 このとき踏み替えにかかる時間は、かかとを適切につけた状態より0.1〜0.2秒長くなるといいます。これはわずかな差に見えますが、危険な事態では大きな差になります。

 人のからだは、無駄な力が抜けた状態でこそ早く正確に反応でき、また疲れにくくもなります。クルマの運転には、このように楽にコントロールできる状態が最適なため、できるだけリラックスした状態を保つドライビングポジションが理想とされています。

 そのため、シートの位置でいえば、「前後の調整」「背もたれのリクライニング」にとどまらず、「座面の高さ調整」などさまざまな機能を装備するクルマも増加傾向にあります。

 まず「前後の調整」ですが、座ったときにペダルがしっかりと踏み込め、かつ、肘を軽く曲げてハンドルを持てる位置にしましょう。

 それから「背もたれのリクライニング(傾き角度)」を、その位置でからだが背もたれから離れないように調整しましょう。

 それだけではありません。視界を広く確保するために、うつむき加減ではなく「目線が上がる」ことを意識して「座面の高さ」も調整できます。この機能を使うと、より無理なくハンドルとペダルを操作できるようにもなります。

 さらに、体型にフィットするように、「シートクッション前端だけ」を移動させる機能も一部のクルマにあります。シート前端の高さが調整できたり、張り出したり引っ込めたりして座面の長さそのものを調整できたりします。

 そして、「座面の傾き角度」を調整できる「チルト機能」を採用するモデルも多くあります。座面の傾きを調整すると腰への重量負担のかかり具合が変化し、適切な角度であれば疲れづらくなるといいます。

 最近のモデルでは「ランバーサポート機能」により、「背中から腰にかけての反りの隙間を埋める」ということもできます。とにかく「身体をシートにしっかりホールドすること」が大事で、それにより長時間の運転で疲れにくくなるようです。

 こうした調整機能に加え、一部上級モデルに搭載される電動シートはこの調節を無段階にできるので、快適性や利便性を向上させる装備として広く採用されています。

シート調整の進化はこれだけじゃない!

 このように、シート調整機能は進化が止まりません。

 なかでも、現在最も多く運転席のシート調整機能を持つクルマといえば、レクサスが挙げられるでしょう。

 同社のシート調整機能について、レクサスの担当者は次のように話します。

「(フロント)シートの調整機能ですが、機能が多い車種はレクサス『LS』で28Wayの調整機能を持っています」

 レクサス最上級セダンであるLS(現行モデル)の運転席シート調整は、28通りもの機能があり、世界最大です。きめ細かく調整できるため高いホールド性を確保することができます。

 具体的には、前後調整やリクライニング、ヘッドレストの上下や前後調整のほか「肩まわり」「サイド部分」、さらに世界初となる「ヒップ部分」なども調節でき、座面の前端部分を動かすことで座面の長さも変えられるといいます。

 また、電動シートを装備するモデルのなかには、メモリー機能を搭載することで、セットしたシート状態を記憶させることも可能です。

 多くの場合は、2から3パターンのセッティングを記憶させられるので、家族などでクルマを共有する場合、それぞれのシートパターンを記憶させる人が多いといいます。

 あるいは、「ドライブ用と休憩用」といったように、ひとりのユーザーが使う場合でも、シーン別に違ったパターンをセットする使い方もあるようです。

 さらに、このメモリーを「電子キーに登録できる」「顔認証でシートセッティングを呼び出せる」などというクルマもあったりします。

 一方で、細かくシート状態を調整できるようになったからこそ「どこか一か所を調整するとほかが合わない」など、調整自体が難しいというユーザーの声も聞かれます。

 そこで、自動でシート調整する機能が登場し、メルセデス・ベンツやマツダ車に搭載されています。

 この機能では、ドライバーの身長を入力すると体型などが「スキャン」されます。そのデータをもとに、運転席の前後やリクライニング、座面の高さのほか、ハンドルやドアミラーの角度なども自動的にセットされるというスグレモノです。

 その後、体格や好みに合わせて微調整することもでき、このような自動セッティングなら、誰でも適切なドライビングポジションがとれると期待されています。

※ ※ ※

 電動シートの普及とともに、シートの調整機能はより細かく、かつパーソナライズ化されて進化してきました。今後、自動運転が始まると車内での過ごし方も変わることから、運転席がさらにどのように進化するのか注目されます。