本連載の前回記事では、ファイルの「情報」ウインドウから設定できる「ひな形」を取り上げました。似た書類を何度も作成する場合に、共通の内容やレイアウトをあらかじめひな形にしておけば、既存の書類を上書きしてしまうことなく、白紙の状態から作成する手間を省くことができます。

今回はひな形と同様の用途で使える「Pages」の機能、テンプレートを紹介します。「Pages」のテンプレートは、MacとiPhoneで共有できて便利です。本記事では「Pages」で解説しますが、表計算アプリの「Numbers」でも同様の使い方ができます。

○Macの「Pages」でテンプレートを保存し、使用する

「情報」ウインドウから設定できる「ひな形」はmacOSの機能ですが、ワープロアプリの「Pages」にはアプリの機能として「テンプレート」があります。前回記事と同様に、定例会議のたびに作成する議事録を例として紹介していきます。

毎回共通する内容やレイアウトの書類を作成し、「ファイル」メニューの「テンプレートとして保存」を選択します

「テンプレートセレクタに追加」をクリックします。ここで「保存」をクリックした場合の使い方は後述します

テンプレートの名前を入力し、右下の「作成」をクリックします

この後、このテンプレートをもとにした新規書類が自動で開きますが、今は使わないなら閉じてかまいません。

次に議事録を作成するときに、「Pages」を起動して「ファイル」メニューの「新規」を選択します。すると「テンプレートセレクタ」が開きます。

テンプレートセレクタです。いちばん下までスクロールするか、左側にあるサイドバーの「マイテンプレート」をクリックします。自分で作成したテンプレートをクリックして選択し、「作成」をクリックします

テンプレートをもとにした新規書類が作成されます。この後、白紙の新規書類と同様に保存し、編集していきます

なお、先ほど「テンプレートセレクタに追加」をクリックしたダイアログで「保存」をクリックした場合は、通常のファイルと同様に名前と保存場所を決めて保存します。保存すると、通常のファイルと同じようにアイコンで表示されます。

テンプレートセレクタに表示するよりはアイコンをダブルクリックして作成を開始したいとか、このテンプレートをほかの人に渡したいといった場合には、このようにして保存します。

○iPhoneの「Pages」でもテンプレートを作成できる

iPhoneの「Pages」でもテンプレートを作成できます。

iPhoneの「Pages」です。テンプレートにしたい内容を入力したら、右上の「…」をタップし、「書き出し」をタップします

次に表示されるメニューでいちばん下にスクロールし、「Pagesテンプレート」をタップします

「テンプレートセレクタに追加」をタップします

保存したテンプレートを長く押し、メニューが表示されたら「名称変更」をタップします。この後、名前を入力して変更します

iPhoneの「Pages」でテンプレートから新規書類を作成するには、以下のように操作します。

「Pages」で書類が開いていれば、左上の「＜」をタップします

上部で新しく作る書類の保存場所を確認、選択してから、「＋」または「新規作成」をタップします。次に下部の「テンプレートを選択」をタップします

テンプレートセレクタが開きます。使いたいテンプレートをタップすると、そのテンプレートをもとにした新規書類が作成されます

○MacとiPhoneでテンプレートを共有

このようにしてMacまたはiPhoneで作ったテンプレートは、もう一方のデバイスのテンプレートセレクタにも表示され、使うことができます。

この使い方をするには、両方のデバイスが同じApple IDでiCloudにサインインし、iCloud Driveを有効にして「Pages」をオンにしていることが必要です。

Macから、設定を確認します。

Macでは「システム設定」を開きます。自分の名前の部分をクリックし、「iCloud」をクリックします

「iCloud Drive」をクリックします

iCloud Driveがオンになっていることを 確認します。また「iCloud Driveに同期しているアプリケーション」をクリックし、次の画面で「Pages」をオンにします。その後、右下の「完了」をクリックします

1つ前の画面に戻ります。「その他のアプリを表示」をクリックし、次の画面で「Pages」をオンにします

iPhoneでも確認しましょう。

iPhoneで「設定」を開き、自分の名前の部分をタップします。次の画面で「iCloud」をタップします

Macの「システム設定」と同様に、「iCloud Drive」と「すべてを表示」をそれぞれタップして「Pages」をオンにします

これでテンプレートが共有されます。以下の図はMacの「Pages」のテンプレートセレクタですが、iPhoneでも同様です。

Macで作成したテンプレートも、iPhoneで作成したテンプレートも表示されています

よく見ると、iPhoneで作成したテンプレートの名前の右端に、雲のアイコンが付いています。これは、iCloud Drive上にテンプレートがあり、このMacにまだダウンロードされていないことを意味しています。このテンプレートを初めて使うときにダウンロードされ、次回からは雲のアイコンは表示されません。

【今回の余談】

テンプレートセレクタに自分で保存したテンプレートを削除するには、Macではテンプレートセレクタでテンプレートを副ボタンでクリック（右クリック）、iPhoneではテンプレートを長く押し、メニューが表示されたら「削除」をクリックまたはタップします。

それでは次回も、よろしくお願いします。