(写真:Graphs/PIXTA)

企業間の関係性維持などを目的に保有されてきた政策保有株式。その政策保有株式が多いことが知られていたのが損害保険業界だ。

その規模は、2023年8月配信の「株持ち企業ランキング」で配信したとおりMS&ADインシュアランスグループホールディングスは貸借対照表の計上ベースで2兆8352億円、東京海上ホールディングスは2兆4560億円、SOMPOホールディングスは1兆3868億円と巨額になる。

特に相互に株式を持ち合う企業と強い関係性で結ばれていることが、適切な競争を妨げる一因になったとされ、金融庁が2023年末に発表した行政処分の中で、政策保有株式の売却を進めるように求めた。これをきっかけに、大手4社とも将来的にゼロを目指す方針を打ち出した。

1000億円以上の価値の政策保有株式も

果たして将来的にゼロを目指すとする保有先企業はどこなのか。東洋経済では全上場企業の政策保有株式を収集している。その中から損害保険大手4社が保有する日本の上場企業の上位30社の一覧を配信したい。リストは2023年6月に発表された有価証券報告書の開示ベースで、株数や時価総額は当時のもの。その後の株価上昇によって、保有価値が大きく増えている場合もある。


東洋経済新報社では、全上場会社の個別企業ごとの保有対象銘柄や銘柄数、貸借対照表計上額をまとめた「政策保有株式データ」を提供している

表の“相互保有”列が○となっている会社は、お互いの企業で株を持ち合っていることを示し、より関係性が強い企業であることがわかる。相互保有にあたる銘柄は、120社中68社だった。また、開示時点の価値で貸借対照表計上額が1000億円を超える銘柄が5社あり、いずれも相互保有先だった。

【2024年3月18日14時33分追記】表の“相互保有”列の一部に誤りがありましたので修正しました。

各社とも将来的な政策保有株の全売却を打ち出しているが、株式をすべて売り出すのか、純投資先として引き続き保有を続けるのか注目される。





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(田中 久貴 : 東洋経済データ事業局)