筑波大附属小の二次選考に合格しても、最後はガラガラ抽選!?試験に挑んだ家族が見た国立小受験の現実
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今回お届けするのは、都内国立小のなかでも最難関校として知られる、筑波大学附属小学校に挑んだ親子の受験体験記だ。
特筆すべきは夫婦ともに小学校受験の経験はないということ。
しかも、対策を始めたのは受験本番のわずか1年前だ。
さらに受験勉強を始めた当初、夫は我が子の小学校受験に反対していたという。
そんな一家の結末はいかに…。
取材・文/風間文子
最後の合否は、くじ引きで決まる
その日は朝から冷え込み、終日、灰色の空が広がる天気だった。
昨年12月半ば。東京都文京区にある筑波大学附属小学校の講堂には、同校の第2次選考に合格した子どもらの保護者が集められていた。
学校関係者の1人がマイクを片手に口を開くと、堂内はしんと静まり返る。
「ここにいる人たちは皆さん、合格です。しかし定員がありますので、残念ながら皆さんを合格させることができません。なので、これからくじを引いていただきます」
講堂の前方には、八角形の木製の箱にハンドルがついた1台のガラガラ抽選器が置いてあり、保護者らの食い入るような視線が集まった。
例年、男女合わせて4,000人近くの受験者が受験する同校に入学するためには、3つの関門を突破する必要がある。
まずは第1次選考である抽選に合格すること。そこで男女それぞれ50%程度の受験者が即、不合格となる。
一方、運良く最初の関門を通過できた合格者を次に待ち構えるのが、ペーパー試験や運動テスト、行動観察といった第2次選考だ。
この2つ目の関門を突破できる受験者数は、第1次選考を通過した者のうち10%程度と極めて少ない。
そして最後に待ち構えているのが、冒頭で触れたガラガラによる抽選だ。
「この年、女子の場合は90名が第2次選考に合格しましたが、第3次選考の抽選で合格できるのは64名。最後の最後で約3人に1人が落ちるというわけです」
そう語るのは、今回取材に協力してくれた武藤明美さん(33歳、仮名)。彼女の長女が同校を受験し、第3次選考の抽選に挑んだ1人だ。
最後の抽選は男女別々に行われ、まずは保護者代表3人がガラガラの箱の中へ入れる玉を確認するという。
「玉には1から順に数字が記されていて、第3次選考に参加した保護者の数、プラス1個分の玉が箱の中に入っているんです。この日の抽選に出席した女子の保護者数は89人だったので、玉の数字は90番までありました。
次に保護者全員が1人ずつ前に出て、ガラガラを回していきます。このときに出た玉の数字が、自分の番号になります。
そして最後の1玉が残ったガラガラを学校関係者が回し、出てきた玉に書かれている数字ですべてが決まります。出た玉の数字の、次の数字からが合格です」(明美さん)
張り詰めた空気のなか、最後にガラガラから転がり落ちた玉の数字は9だった。
女子の定員は64名で、最後に出た玉の数字は9。つまり10から74までの番号が書かれた玉を引いた家庭が合格ということになり、75から90、それから1から8までの番号の玉を引いた家庭は残念ながら不合格ということになる。
最後の玉が掲げられると会場は一気にざわついた。間もなく、自らの膝に突っ伏し、むせび泣く保護者の姿が見られた。
つい先ほどまで我が子の合格が目の前にあったのに、ガラガラを1度回すだけで、運命は天国と地獄に分かれる。
「これは何の番号ですか?誰か教えてください、この番号は何なんですか!?」
不合格となった保護者は会場からの退席を求められるなか、現実を受け入れられず、意味不明なことを叫び出す母親もいたという。
これが受験者数日本一といわれ、国立大付属小学校のなかでも特に人気の高い筑波大学附属小学校のお受験だ。
では、今回取材に協力してくれた明美さん一家の合否はどうだったのだろうか。
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