『さよならマエストロ』津田寛治、西田敏行との“サシ飲み”シーンに感激「夢みたいな時間でした」
現在放送中のTBS系日曜劇場『さよならマエストロ〜父と私のアパッシオナート〜』(毎週日曜21:00〜)で晴見フィルハーモニーのコンサートマスターでバイオリン奏者・近藤益夫を演じている津田寛治が本作出演について語った。
『さよならマエストロ』近藤益夫役の津田寛治
本作は、“ある事件”で家族も音楽も失った天才指揮者・夏目俊平(西島秀俊)と、音楽への情熱を失ってしまった俊平の娘・響(芦田愛菜)が、地方オーケストラを通して失った情熱を取り戻し、親子の絆と人生を再生させていくヒューマンドラマ。
解散目前の晴見フィルハーモニーが、本拠地あおぞらホールで行う最後のコンサートが描かれた6話では、バイオリニストでコンマスの近藤(津田寛治)が指揮者としてラストの演奏を飾ったシーンが大きな見どころとなった。
――これまで演じてきて近藤というキャラクターにどんな思いをお持ちですか。
近藤って人間臭いなと思いますね。ただ音楽好きのいい人というわけではなく、ちゃんと人生を背負って生きているというか。建設会社の社長という仕事にもすごく誇りを持っているし、家庭では奥さんに弱くて娘にも顎で使われているけれど、家族も大事にしている。そして“家族”と“仕事”という男にとって大切な2つのものの中にバイオリンというのがすごく“ひねった”状態で入っているのがすごくリアルだなと思います。
僕の中の設定として、きっと近藤が社長を務める建設会社は、親から受け継いだものなんじゃないかというのがあって。会社を一代で築いた父親がその経済力を誇示するために息子にバイオリンを習わせて、でも近藤はそれを一度は「やりたくない!」と投げ出したんじゃないかなと思うんですよ。そこで一旦グレて(笑)。でも、“道を外れそうになっていた自分をバイオリンと晴海フィルが救ってくれた”ようなところが彼にはあるんじゃないかと思いながら演じています。
――家族というと近藤の妻役がLiLiCoさん、娘役がおじゃすさんだというのも話題になりました。
僕も撮影の前日くらいに知ったのでびっくりしました(笑)。LiLiCoさんとは別の作品で共演したこともありますし、俳優とインタビュアーとしてもご一緒することもあったので気恥ずかしくもありましたが、現場ではLiLiCoさん節全開で楽しそうにやられていたのでうれしかったです。おじゃすさんも、普段TikTokとかで見るようなピンクのウィッグのまま娘役をやられていて、この家族の感じは一体何だろうっていう(笑)。でも、そうだよな、近藤はこういう奥さんが好きで、こういう娘のことも良しとして大切にしているんだなというところも感じて、また一つ近藤という役が深まったように思いました。
――晴見フィルの撮影現場の雰囲気はいかがですか。
キャラクターみんなが光っている、役者として本当にありがたい台本がある上で、ディレクターさんたちが本当に愛情深くそれぞれの役をすごく大事にして演出してくださっているのを感じます。自分の中から無意識にふわっと出たものを拾ってくれて、「近藤さんだったらここはこうしますね」と積極的に生かしてくれることもあってうれしいです。
演奏シーンでのキャストの団結感もほかの現場にはない感じです。みんなそれぞれ一人でレッスンや自主練をした上で集まっているので、「楽器は違えどみんな戦っている」というリスペクトがお互いに対してあるんです。変に打ち解けてダラダラするのではなく、敬意を持って相手に接しているところが、ほかの現場とは発するエネルギーが違うなと思います。
あとはオーケストラの団員役で、音楽家や音大の方々が参加されているんですが、その方々にも助けられていて。役者とは違って“爪痕を残そう”みたいなことを思っていない感じがすごく素敵なんですよ。“ここにある大きな幸せ”の一部になろうとしている感じというか。僕がちょっとしたアドリブを入れても優しく受け入れてくれますし、例えば西島さんがすごくいいセリフを言うと、みなさん本当にボロボロと泣かれていたりもして。芝居しているという感覚ではなく、西島さんのお芝居で物語の中にちゃんと入ってらっしゃるんだなというのもグッときますし、勉強にもなりますね。
――近藤が念願の指揮者を務めた6話の裏話もお聞かせください。
音楽大学の指揮科の教員の方が振って下さっているお手本動画を見たときに、めちゃくちゃ感動したんですよ。ゴツゴツしているけどアパッシオナートがあって、指揮に対する情熱が近藤の情熱そのものだなと。一見とっ散らかっているようだけど、「あおぞらホールも最後だし、もう晴見フィルも終わりなんだ」という近藤の思いがそこにありましたし、台本を熟読して振ってくださっているんだなというのが分かりました。完全コピーするくらいの気持ちでいたんですが、いざ始めたらそんなのおこがましいくらい難しくて。なので先生に何回かレッスンを受けさせていただいて作っていきました。
――7話以降、この近藤のダイナミックな指揮がSNSで話題を呼び、晴見フィルをいい方向に導いていくような描写もあります。
そうなんですよ、だから結構プレッシャーで(笑)。「血管が切れそうになった!」みたいに指揮について振り返るシーンを、実際には指揮を振る前に撮影していたりもしたので、本番でその通りにやらなきゃいけないとも思いましたし、とにかくプレッシャーがすごかったです。
――終盤の見どころも教えてください。
7話は“うたカフェ二朗”のマスター・小村(西田敏行)にスポットが当たる回で、西田さんが初めて楽器を演奏するシーンもあるんですが、そこでのお芝居が見どころだと思います。個人的には、8話の西田さんと近藤がサシ飲みするシーンが本当に幸せで、夢みたいな時間でした。西田さんって歌もお上手で音楽家と似たスピリットをお持ちで、ピリピリせずにとにかく現場をみんなで楽しくしよう! という方なんです。そんな空気の中でセリフもどんどん変わっていったり、劇的なことが起こったりもして。だから物語の全体においても、西田さんのお芝居は大きな見どころだと思います。
さらに9話は台本を号泣しながら読んだ記憶があります。僕、このドラマには悪い人が出てこない分、我が子を無意識に傷つけてしまうという点で、実はマエストロ(西島)って一番悪い人なのでは? と思っていて。そのことを志帆(石田ゆり子)は分かっていて、子どものことをちゃんと考えたんだなと思うんです。だからそういう中で娘の響が9話で放つ言葉というのに、僕は涙が出ましたね。あとは演奏シーンもどんどん佳境に入っていて、最終回はとんでもなく大変な演奏が待っているので楽しみにしていてほしいです。僕も頑張ります!
(C)TBS
『さよならマエストロ』近藤益夫役の津田寛治
本作は、“ある事件”で家族も音楽も失った天才指揮者・夏目俊平(西島秀俊)と、音楽への情熱を失ってしまった俊平の娘・響(芦田愛菜)が、地方オーケストラを通して失った情熱を取り戻し、親子の絆と人生を再生させていくヒューマンドラマ。
――これまで演じてきて近藤というキャラクターにどんな思いをお持ちですか。
近藤って人間臭いなと思いますね。ただ音楽好きのいい人というわけではなく、ちゃんと人生を背負って生きているというか。建設会社の社長という仕事にもすごく誇りを持っているし、家庭では奥さんに弱くて娘にも顎で使われているけれど、家族も大事にしている。そして“家族”と“仕事”という男にとって大切な2つのものの中にバイオリンというのがすごく“ひねった”状態で入っているのがすごくリアルだなと思います。
僕の中の設定として、きっと近藤が社長を務める建設会社は、親から受け継いだものなんじゃないかというのがあって。会社を一代で築いた父親がその経済力を誇示するために息子にバイオリンを習わせて、でも近藤はそれを一度は「やりたくない!」と投げ出したんじゃないかなと思うんですよ。そこで一旦グレて(笑)。でも、“道を外れそうになっていた自分をバイオリンと晴海フィルが救ってくれた”ようなところが彼にはあるんじゃないかと思いながら演じています。
――家族というと近藤の妻役がLiLiCoさん、娘役がおじゃすさんだというのも話題になりました。
僕も撮影の前日くらいに知ったのでびっくりしました(笑)。LiLiCoさんとは別の作品で共演したこともありますし、俳優とインタビュアーとしてもご一緒することもあったので気恥ずかしくもありましたが、現場ではLiLiCoさん節全開で楽しそうにやられていたのでうれしかったです。おじゃすさんも、普段TikTokとかで見るようなピンクのウィッグのまま娘役をやられていて、この家族の感じは一体何だろうっていう(笑)。でも、そうだよな、近藤はこういう奥さんが好きで、こういう娘のことも良しとして大切にしているんだなというところも感じて、また一つ近藤という役が深まったように思いました。
――晴見フィルの撮影現場の雰囲気はいかがですか。
キャラクターみんなが光っている、役者として本当にありがたい台本がある上で、ディレクターさんたちが本当に愛情深くそれぞれの役をすごく大事にして演出してくださっているのを感じます。自分の中から無意識にふわっと出たものを拾ってくれて、「近藤さんだったらここはこうしますね」と積極的に生かしてくれることもあってうれしいです。
演奏シーンでのキャストの団結感もほかの現場にはない感じです。みんなそれぞれ一人でレッスンや自主練をした上で集まっているので、「楽器は違えどみんな戦っている」というリスペクトがお互いに対してあるんです。変に打ち解けてダラダラするのではなく、敬意を持って相手に接しているところが、ほかの現場とは発するエネルギーが違うなと思います。
あとはオーケストラの団員役で、音楽家や音大の方々が参加されているんですが、その方々にも助けられていて。役者とは違って“爪痕を残そう”みたいなことを思っていない感じがすごく素敵なんですよ。“ここにある大きな幸せ”の一部になろうとしている感じというか。僕がちょっとしたアドリブを入れても優しく受け入れてくれますし、例えば西島さんがすごくいいセリフを言うと、みなさん本当にボロボロと泣かれていたりもして。芝居しているという感覚ではなく、西島さんのお芝居で物語の中にちゃんと入ってらっしゃるんだなというのもグッときますし、勉強にもなりますね。
――近藤が念願の指揮者を務めた6話の裏話もお聞かせください。
音楽大学の指揮科の教員の方が振って下さっているお手本動画を見たときに、めちゃくちゃ感動したんですよ。ゴツゴツしているけどアパッシオナートがあって、指揮に対する情熱が近藤の情熱そのものだなと。一見とっ散らかっているようだけど、「あおぞらホールも最後だし、もう晴見フィルも終わりなんだ」という近藤の思いがそこにありましたし、台本を熟読して振ってくださっているんだなというのが分かりました。完全コピーするくらいの気持ちでいたんですが、いざ始めたらそんなのおこがましいくらい難しくて。なので先生に何回かレッスンを受けさせていただいて作っていきました。
――7話以降、この近藤のダイナミックな指揮がSNSで話題を呼び、晴見フィルをいい方向に導いていくような描写もあります。
そうなんですよ、だから結構プレッシャーで(笑)。「血管が切れそうになった!」みたいに指揮について振り返るシーンを、実際には指揮を振る前に撮影していたりもしたので、本番でその通りにやらなきゃいけないとも思いましたし、とにかくプレッシャーがすごかったです。
――終盤の見どころも教えてください。
7話は“うたカフェ二朗”のマスター・小村(西田敏行)にスポットが当たる回で、西田さんが初めて楽器を演奏するシーンもあるんですが、そこでのお芝居が見どころだと思います。個人的には、8話の西田さんと近藤がサシ飲みするシーンが本当に幸せで、夢みたいな時間でした。西田さんって歌もお上手で音楽家と似たスピリットをお持ちで、ピリピリせずにとにかく現場をみんなで楽しくしよう! という方なんです。そんな空気の中でセリフもどんどん変わっていったり、劇的なことが起こったりもして。だから物語の全体においても、西田さんのお芝居は大きな見どころだと思います。
さらに9話は台本を号泣しながら読んだ記憶があります。僕、このドラマには悪い人が出てこない分、我が子を無意識に傷つけてしまうという点で、実はマエストロ(西島)って一番悪い人なのでは? と思っていて。そのことを志帆(石田ゆり子)は分かっていて、子どものことをちゃんと考えたんだなと思うんです。だからそういう中で娘の響が9話で放つ言葉というのに、僕は涙が出ましたね。あとは演奏シーンもどんどん佳境に入っていて、最終回はとんでもなく大変な演奏が待っているので楽しみにしていてほしいです。僕も頑張ります!
(C)TBS