幕張メッセで開催された「東京オートサロン2024」に往年の名車「R32スカイラインGT-R」が展示されました。ただ、この車体はクルマとしての基本性能を復活させたリビルド車なのだとか。レストアとは何が違うのでしょうか。

90年代生まれ、走行距離15万kmのクルマを展示したワケ

 2024年1月12日(金)から14日(土)まで、千葉県の幕張メッセで開催された「東京オートサロン2024」にて、日産サービスセンター株式会社が自社のサービス「車体リビルドパッケージ」を施した日産「スカイラインGT-R」を展示しました。

 日産サービスセンターは日産自動車が100%出資するグループ企業で、日産車の納車前整備(新車点検やディーラーオプションの装着など)や、一般事故車の板金・塗装などといった修理をおもな業務にしています。


「東京オートサロン2024」で、日産サービスセンターのブースに展示された「R32スカイラインGT-R」(布留川 司撮影)。

 日産車については長年にわたって業務で大きく関わってきたことから膨大なノウハウを持っており、市井の独立系の整備工場よりも数段上の精密な修理・点検作業を行うことができるとしています。

 その高い技術をわかりやすい形で披露しようと、今回「東京オートサロン2024」で展示したのが、「スカイラインGT-R」です。型式名「BNR32」、通称「R32」と呼ばれるこのクルマは、今から30年以上前の1993(平成5)年に初度登録され、走行距離は約15万kmもある中古車です。

 これを日産サービスセンターが約1年の歳月を掛けて、「新車同等以上の車体へリビルド」したとのこと。一見すると、「レストア(修復)」とどう違うのか判然としません。

 日産サービスセンターはなぜ「リビルド(再構築)」と呼んでいたのでしょうか。

見た目だけじゃない! 車としての基本性能も元に戻すのが目的

 説明によると、このサービスを「レストア」ではなく「リビルド」と呼ぶのは、見た目の綺麗さではなく「機能の再構築」を前提としているからだそうです。もとの部品を取り換える作業を含むため、車体としてのオリジナルさはなくなってしまうかもしれませんが、機能が回復することでクルマとして走る能力や運転の気持ちよさは明らかに向上するといいます。

 実は今回展示されたGT-Rは、同社が一般顧客に提供している「車体リビルドパッケージ」のデモカーという位置づけです。


ブースに展示されたスカイラインGT-R(E-BNR-32)。走行距離15万キロの中古車を同社がリビルドを行った(布留川 司撮影)。

 具体的な作業内容は、まずパワートレインをはじめとする内装・外装をすべて取り外してボディ自体を丸裸にして、そこから徹底した点検と作業を進めていきます。目視点検も、ただ外部を確認するだけでなく、外から見えない部位の場合は、必要に応じて溶接部分を剥がして確認。その後の再構築では、修正や補強だけでなく、状態に応じて劣化部分の再溶接やパネルの作り直し、また内装の張替えなども行っているそうです。

 これら作業にあたっては、日産サービスセンターが長年に渡って日常業務で日産車に関わったノウハウも生かされているとのことでした。

 ちなみに、標準的なボディのリビルドの作業期間は約3か月、作業に掛かる費用は550万円(税込み)。なお、車体以外の交換・修復が必要な場合は別途費用が発生するといいます。

 今回のデモカーとなったGT-Rは、多くの愛好家がいる人気車種であり、年式に関係なくそれを末永く乗っていきたいと思うドライバーも多いでしょう。値段は張りますがレストア作業が必要な状況に直面した場合に、こうした「日産車のプロ」と呼べる会社に頼れるのは心強いといえるのではないでしょうか。