大阪市此花区が実施するアートプロジェクト『konohana permanentale 100+』。同プロジェクトにおけるアート作品第1弾のプロデューサーに岡田准一が就任し、現代アーティスト小松美羽による初の立体パブリックアートの制作が発表された。

大阪市此花区アートプロジェクト『konohana permanentale 100+』

此花区アートプロジェクトとは

かつて、環境汚染が問題視されていた正蓮寺川。その場所に「環境問題克服の象徴」として今も拡張工事により広がり続ける正蓮寺川公園を舞台に、2025年に開催する大阪・関西万博を契機とし、大阪・関西万博の機運醸成はもちろんのこと、アート作品の魅力による区外からの来訪者の増加促進、そして区民が誇りに思い、愛するアート公園となることを目的とするプロジェクト。

将来にわたって100以上のパブリック・アートの設置を予定。プロジェクトのテーマは「いのちの輝き脈々と、未来へ」。区制100周年を記念し、100以上のアートを未来に向けて作り続けることで、人々がこれまで脈々とつないできた歴史とこころを継承し、未来につながり続ける命の輝き(well being)を表現。

長年にわたり増殖し、形を変えていく『konohana permanentale 100+』自体をコロニー型アートとしてとらえ、さらには、子どもたちが笑顔を輝かせ喜ぶアートを集めることで、多くの人々の笑顔を創り出し、その笑顔もコロニー型アートの一部として創っていく。

岡田准一プロデュース×現代アーティスト小松美羽による初の立体パブリックアート

プロジェクトの記念すべき第1弾は、誰もが知る大阪府出身の国民的俳優岡田准一プロデュースによるアート作品に決定。地元である大阪を盛り上げるために、そして未来の子供たちの笑顔のために、今回のオファーを快く引き受けた。

岡田は俳優として活躍する一方で、現代アートやクリエイターへの関心が深く、自身のラジオ番組でも数多くのアーティストと対談も行うなどアートに造詣があり、そんな岡田がアート制作のオファーをしたのは、日本の風土が生み出すものにこだわり、信州を拠点に世界にメッセージを発信する現代アーティスト、小松美羽。

山犬・狛犬・神獣をモチーフにした作品で知られおり、今回は水龍をモチーフにした作品「此花水龍」を2024年春に完成予定。小松美羽が立体パブリックアートを手掛けるのは、今回が初となる。正蓮寺川公園がアートによってどのように生まれ変わるのか、ぜひお見逃しなく。

岡田准一コメント

此花区アートプロジェクトの『konohana permantale 100+』のファースト作品のプロデュースをさせていただく事になりました。地元である大阪の皆様の生活の中にある公園作りをサポートさせていただける事が本当に嬉しいです。1970年に行われた大阪万博で岡本太郎氏は、根源的エネルギーが受継がれていく生命の歴史を太陽の塔で表現しました。では、今の時代に私たちが発信できるメッセージとは?この問いに答えていただくのは、世界遺産・東寺(教王護国寺)に作品が奉納されたり、フランスのモン・サン・ミシェル市が作品を所蔵するなど、世界的な女性アーティストである、小松美羽さんです。小松さんは祈りと願いを込めた作品を作って下さいます。大阪から日本を元気に、日本から世界に想いを。地元大阪への感謝を込めて。世界に誇るアートを皆様の生活の中に。超ひらパー兄さん、USJさんがある此花区へ。

【プロフィール】
1980年11月18日生まれ。大阪府出身。俳優として活躍。主な出演作品に「木更津キャッツアイ」シリーズ、「SP」シリーズ、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」、「図書館戦争」シリーズ、「永遠の0」、「蜩ノ記」、「関ヶ原」、「散り椿」、「ザ・ファブル」シリーズ、「燃えよ剣」、「ヘルドッグス」、NHK大河ドラマ「どうする家康」、「最後まで行く」など。「ザ・プロファイラー 〜愛と野望の人生〜」(NHK BS/BSP4K)ではMCを、J-WAVE「GROWING REED」ではナビゲーターを務めている。

小松美羽コメント

最初に、此花区の皆様、プロジェクトに関わる皆様、此花区に訪れる多くの皆様に感謝を申し上げます。プロジェクトに関わることで立体の作品を制作させていただける機会を下さり、作家人生の中で大きなチャンスをいただけたこと、深くお礼申し上げます。此花区に実際に足を運び、その土地の歴史や住まう人の想いを伺うことができました。過去現在未来という時間の中で、アートが多くの人の魂の救済や平安をもたらす力となりますように、また、その土地自体にアートが関わりを持ち作用することで、エネルギーと人が正しく調和していきすようにと、祈りながら立体で水龍のイメージを作り上げました。

【プロフィール】
1984年生まれ。長野県出身。現代アーティスト。女子美術大学短期大学部卒業。現在、同大学特別招聘教授、東京藝術大学非常勤講師。女子美術大学短期大学部在学中に銅版画作品「四十九日」が賞賛されプロへの道を切り開く。銅版画からスタートし、近年ではアクリル画、有田焼などに制作領域を拡大。幼少期より目に見えない世界に対する感受性が強く、自然豊かな環境で様々な生き物と触れ合い、生きとし生けるものが魂において平等であるという死生観のもとに、力強い表現力で神獣をテーマとした作品を発表。「チェルシー・フラワー・ショー」(イギリス)へ出品した有田焼の狛犬作品「天使の守護獣」が大英博物館へ収蔵され、常時展示されている。作品はWorld Trade Center、長野県立美術館、ウッドワン美術館、出雲大社、善光寺、在クリーブランド名誉領事邸、ウォルト・ディズニー・ジャパン、モン・サン・ミッシェル市などで所蔵されている。世界各地で個展、ライブペインティングを行いアーティストとして精力的に活動を続け、“The Great Harmonization”(大調和)という創作理念を提唱し、作品制作を行なっている。

Information

【「konohana permanentale 100+」第1弾概要】
作品タイトル:此花水龍(このはなすいりゅう)
設置場所:正蓮寺川公園 千鳥橋西側芝生内
完成予定時期:2024年春

<此花水龍>

此花区に初めて足を踏み入れ、土地を見て回っている最中、循環する恵みの水のブルーと、冬から春を告げる桜のピンクの2色の輝きが見えました。その色はだんだんと水龍の体に染み込んでいき、いつしか1柱となりました。

この土地に生きる人々、生ける生命、育まれた文化、土地に存在する自然エネルギーが大調和していくことで、水龍の形となって私の前に出現しました。西の方角に向く水龍は、遣唐使の辿った方向を見つめています。

水龍の口が「阿」の形で開いているのは、始まりの「あ」であり、これからの未来において繁栄と純粋な力のサイクルが大地を正しく回るようにという心が込められています。龍の口の中には宝珠があり、災難を除き、悪きを祓い、淀さえも清らかな姿へと変換されていくようにという願いが込められています。

龍は水の性質を持っており、龍脈という言葉もあります。此花水龍の立体をこの地に置くことで、自然と人と文明が大調和していく様の1つのシンボルになれれば幸いです。また、龍を塔のような形にしたのは、悪や負を鎮め、浄化する意味があります。私がノルウェーに滞在した時に実際に見た龍(ドラゴン)の話です。

当時、海域を支配していた者がバイキングの時代、バイキングといえど海と向き合うということは常に命懸けだったそうです。そのため、家の屋根などに今でもドラゴンの口にバンドを施し、荒ぶる龍を封印することで海を鎮めているのだそうです。

日本でも古来から荒ぶる神聖な存在と向き合い、祠や神社を建てて祀り、自然の力を敬い尊敬し、時に畏怖しながら共存してきました。また、龍脈は日本全土、いや、世界中と繋がっていて、あなたの立っている「此花区のその場所」こそが、全てと繋がる場所なのです。

人が大好きな此花水龍は、美しき万年咲く桜を身にまとい、水を清らかに変換しながら、どうか未来へ向かう我々人類と大調和し続けますようにと、私自身も祈りを込めて筆をとり、立体に実際に絵筆を走らせて完成へと導きました。