阪神競馬場で行われた第75回朝日杯フューチュリティステークス表彰式でプレゼンターを務めた藤浪(23年12月17日)

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母親特製のロールキャベツ

 年が明けたというのに、藤浪晋太郎(29)の去就がまだ決まらない。当の本人は昨年末、一部スポーツ紙から依頼された競馬予想で有馬記念を見事に的中させるなど、オフを満喫しているようである。

【写真を見る】日本シリーズ観戦で阪神時代の先輩・能見篤史と再会!最後となるのかオリオールズでの熱投姿(藤浪の公式Instagramより)

「昨年の所属先だったオリオールズがディビジョンシリーズに敗れると、藤浪は早々に帰国、日本シリーズを戦う古巣・阪神の応援観戦もしていました。クリスマスには筋トレをしている動画も配信していました」(在阪記者)

 地元で過ごすオフはとにかく充実していたようで、藤浪自身が帰国後、すぐに食べたいと思い、リクエストしたのが母親特製のロールキャベツだったという。次は「餃子の王将」。本人曰く、「餃子とビールだけでお腹いっぱいにする。(周囲の客に)バレなかった」と笑っていた。

阪神競馬場で行われた第75回朝日杯フューチュリティステークス表彰式でプレゼンターを務めた藤浪(23年12月17日)

 一方で、意味有り気なことも話している。帰国して間もない昨年11月13日、関西テレビのニュース情報番組「newsランナー」に生出演したときのコメントである。

「好きなチームなんで戻りたい気持ちもありますし。(阪神が)求めてくれるのなら。でも、代理人にはあまりそういうことは言わないでくれと言われていて」

 話題は阪神のリーグ優勝、38年ぶりの日本一だったが、共演したコメンテーターたちから「タイガースに帰ってきて!」と迫られての発言。テレ笑いを浮かべており、画面越しにはマンザラでもなさそうに見えた。しかし、こうも語っていた。

「(阪神に)残っていても、ビール掛けの輪にはいなかったんじゃないかな
 岡田彰布監督(66)は23年にブレイクした村上頌樹(25)、大竹耕太郎(28)に代表されるように、コントロールの良いピッチャーが好きだ。今の阪神には自身の働き場所がないと判断しているのかもしれない。

「岡田監督が、打者が四球を選んだときは、ヒットを打ったのと同じ評価をしてやってほしいと球団の査定担当にお願いしたことは知られています。逆の言い方をすれば、岡田監督は味方投手の出す与四球を、物凄く嫌うのです」(前出・同)

愛されキャラは健在

 メジャーリーグでも四球連発は観客をシラケさせるものと捉えられているが、藤浪の場合は少し異なる。

 なんといっても彼には100マイル(約161キロ)を超える剛速球がある。それがストライクゾーンに決まったときは無双状態だが、残念ながらそうならない時のほうが多かった。とはいえ、藤浪は「愛されキャラ」のピッチャーとして、米国の野球ファンに認知されている。こんな情報も聞かれた。

「昨年12月のウィンターミーティングの間、藤浪の代理人であるスコット・ボラス氏(71)は米メディアに囲まれ、藤浪の交渉について『数球団がリリーフ投手として興味を示している』と答えています。同氏は大谷翔平(29)と入れ替わるようにドジャースを退団した指名打者のJ.D.マルティネス(36)など、有名選手を複数抱えていたので、藤浪のことは『今、どうなっている?』という質問しかされませんでした。その後、詳しい情報は出ていません」(米国人ライター)

 この時(12月6日=現地時間)、ボラス氏は「フジは2、3球団の契約提示を受け取っている」とも発言しているのだが、それ以降、動きはない。

「今オフの米FA市場の目玉は大谷でした。米FA市場は大物・人気選手から順番に決まっていく傾向にあります。だから、ランキングの上位に入っていない選手は契約が年越しになってしまうんです。前田健太(35)が昨年11月にタイガース入りを決めたように、争奪戦のリストの上位に入っていない選手のなかには『移籍先で働き場所があるなら』と割り切って早々に契約してしまう選手もいます」(現地メディア関係者)

 米スポーツメディア「ジ・アスレチックス」が発表したフリーエージェントランキングによれば、藤浪は50位。「CBS Sports」もトップ50人を特集したが、こちらは名前がなかった。MLB公式サイトには「今オフは約130人がFAになった」とあり、藤浪はジ・アスレチックスの50位が最高順位なので、約130人のうち、半分よりもやや上といったところだろうか。複数の野球専門サイトで20傑に入っている今永昇太(30)がまだ決まっていないので、ランキング下位の藤浪の契約遅延は止むを得ないことなのかもしれない。

複数年契約を結べるかどうか

 一方で昨シーズン終了直後に出たものだが、メッツをメインに東海岸の球団情報を扱う「METS MERIZED」は、

<速球とスプリッターは魅力的だ。メッツブルペンは実質、ディアスとレイリーで構成されていたようなもの。(藤浪は)1年325万ドルで契約していた投手だ。それ以上の価値がある投手>(11月14日付)

 と、藤浪を高評価。これは、新たにメッツの編成トップに就いたデービッド・スターンズ氏の「エリートブルペンを構築する方法を知っている」とのコメントを受けて、どんなリリーフ投手を獲るのかを予想する内容になっていた。

 また、主にマリナーズを扱う西海岸球団の野球サイト「So Do Mojo」も、<与四球を制御できれば、空振り率が大幅に上がるだろう。まだ多くの才能を残している>と評していた。

 こうした称賛記事が出ているのに、契約は一向に進まない。一部では「先発起用にこだわっているため」と遅延理由を予想する声もあったが、それは藤浪自身が否定している。先の関西テレビの情報番組出演中、「23年を振り返って」と質問され、

「100点満点でしょう。そもそも、アメリカに行った時点で人生の成功だと思っているし、いろいろと良い経験ができました」

 と言い切っている。将来的な先発ローテーション入りの目標はあるとしても、起用法にはこだわっていないようだった。

「ボラス氏がウィンターミーティングで言った『契約提示を受け取っている』のコメントは本当でしょう。リリーフ投手の補充を考えているチームの地元メディアが藤浪の名前を出すもう一つの理由は、『年俸の安さ』です。彼の契約は『1年325万ドル』でした。300万ドル台で1年契約を繰り返すのはあまり好ましくない。この先もメジャーリーグでやって行きたいのなら、複数年契約を結ぶべきだし、年俸も高くしないと、オフの度にFAになる可能性がある。代理人は藤浪が腰を据えて野球に専念できるよう、契約の質を上げようとしているのでしょう」(前出・米国人ライター)

 言葉を選ばなければ、1年300万ドルクラスは“三流選手の契約”と言われる。日本人選手の多くが複数年の大型契約を結ぶのは野球に専念できる環境を得るためであり、チームメイトや現地メディア、そして、ファンにナメられないためでもあるという。「METS MERIZED」などの野球メディアが藤浪獲得を推すのは、300万ドルクラスが覚醒する可能性や費用対効果が見込めそうだからでもある。

 交渉遅延の真相は、前回の入団交渉で“三流選手の契約”しかできなかった代理人のリベンジも影響しているのかもしれない。

デイリー新潮編集部