ブルー・オリジンは現地時間2023年12月19日、再利用型宇宙船「ニューシェパード」の無人打ち上げミッション「NS-24」に成功しました。ニューシェパードの打ち上げは、2022年9月の打ち上げ失敗以来、1年3か月ぶりとなります。


【▲ 1年3か月ぶりに打ち上げられたブルー・オリジンの再利用型宇宙船「ニューシェパード」(Credit: Blue Origin)】


米国中部標準時2023年12月19日10時42分、ニューシェパードは米国テキサス州西部にあるブルー・オリジンの射場から打ち上げられました。ニューシェパードは実験機器やクルーをのせるカプセルと、カプセルを打ち上げるためのブースターから構成されたサブオービタル飛行(準軌道飛行)用の再利用型宇宙船です。カプセルとブースターはどちらも地球に帰還して再利用されます。


NS-24ミッションのカプセルは高度106kmまで到達し、カプセル内は約3分間の無重力状態となりました。その後、カプセルはパラシュートを開き、同日10時52分に着陸。ブースターはカプセルが着陸する約3分前に、着陸エリアへの垂直着陸に成功しました。ブルー・オリジンによると、打ち上げから着陸までのミッション時間は10分31秒だったということです。


【▲ 射場内に着陸する「ニューシェパード」のブースター(Credit: Blue Origin)】


カプセルにはアメリカ航空宇宙局(NASA)や研究機関、民間企業などから33個のペイロードが搭載されました。ブルー・オリジンによると、搭載品の多くはNASAが主導するフライト・オポチュニティ(Flight Oppotuntity)プログラムを通じて提供されたということです。例えば今回のプログラムでは、安全・安価な小型宇宙機用の推進剤を宇宙の微小重力環境下で蜜蝋やパラフィンから製造できるかどうかをマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が評価しました。


フライト・オポチュニティ・プログラムは宇宙探査や有人宇宙飛行に関する技術などを実証する機会を確保するため、ブルー・オリジンやヴァージン・ギャラクティックが行うサブオービタル飛行を通して提供されるプログラムです。同プログラムでは小型ロケットや高高度気球、飛行機を利用したパラボリックフライト(放物飛行)、軌道プラットフォームを利用して実証することも可能です。


【▲ NS-24ミッションを終えて地上へ帰還したカプセル (Credit: Blue Origin)】


また、搭載品の中にはブルー・オリジンの非営利団体であるClub for the Futureが集めた3万8000枚のポストカードもありました。Club for the Future によると、地球へ帰還したポストカードには宇宙飛行を記念した“Flown to Space”という印が入れられ、ポストカードを描いた人へ返送されるということです。ポストカードはオンラインでも描くことができ、地球へ帰還した後はポストカードへのアクセス方法を記したメールから確認できます。


ブルー・オリジンは2022年9月13日にもカプセルに実験機器を搭載したニューシェパードの無人打ち上げミッション「NS-23」を行いました。しかし、打ち上げ後にブースターのエンジンで問題が発生。カプセルは緊急脱出システムが作動して無事に着陸しましたが、推進モジュールは地上へ衝突する事態となりました。ブルー・オリジンによると、今回のミッションではNS-23でサブオービタル飛行をするはずだった実験機器が再び搭載されたということです。


 


Source


Image Credit: Blue OriginBlue Origin - Blue Origin Successfully Completes 24th Mission to SpaceNASA - NASA, Partners Continue to Advance Space Tech on Suborbital FlightsNASA - Available Flight PlatformsClub for the Future - Send A Postcard to SpaceSpaceNews - New Shepard returns to flight with successful suboribital mission

文/出口隼詩