表計算ソフトのExcelや類似の表計算ツールは多くの職場で使われており、学校でも使い方を教わります。そんなExcelが登場して間もない1990年代に従業員から上がった「Excelが動かない」という報告の原因が、「Excel初心者向けのマニュアル」にあったという事例を海外メディアのThe Registerが紹介しています。

User read the manual, still couldn’t make 'Excel' work • The Register

https://www.theregister.com/2023/11/24/on_call/



ジェレミーさん(仮名)は1990年代に「国家インフラ」関連の職場に勤めており、多くのアカウントマネージャーをサポートする業務を行っていたとのこと。アカウントマネージャーらは業界経験が豊富で知識も多く、オフィスでのコミュニケーションにも優れており、ジェレミーさんは「まともであり一緒に働くのが楽しい人々」と評価していたそうです。

しかし、多くのアカウントマネージャーはキャリアの終わりにさしかかる中高年であり、彼らが若かった頃はまだPCもそれほど普及していませんでした。そのため、アカウントマネージャーらはPCそのものやExcelなどの生産性ソフトウェアについて、キャリアの後半になってから勉強しなくてはならなかったとのこと。

ジェレミーさんは請求書やプレゼンテーションの資料、レポートの作成を行う業務を担っていました。「私の仕事の多くは、Excel(当時はまだ新しかったExcel 97)を使用して、VLOOKUPやSUMIFなどを利用してデータの断片をリンクし、要約することでした」「時間が経つにつれて、私は『それなりに有能』であるという評判を築いてきました」とジェレミーさんは語っています。



そんなある日、ジェレミーさんの評判を聞いたあるアカウントマネージャーが、「Excelが動かない」とヘルプを求めてきたとのこと。実際にジェレミーさんがアカウントマネージャーのPCを見ると、確かに画面上にはExcelらしき画面が表示されていましたが、セルをクリックしても入力準備が整ったことを示す境界線が表示されず、メニューバーをクリックしても動きませんでした。

仕方がないのでジェレミーさんがExcelを閉じようとしたところ、実はPCが開いているのはExcelではなくWordだったことが判明。「この時に謎が解けました」とコメントしたジェレミーさんは、同僚の1人が「Excelの使い方を説明したWord文書」を作成していたことを思い出したそうです。

同僚が作成したExcelのマニュアルは、よりわかりやすくするためにExcel画面のスクリーンショットが何枚か挿入されており、クリックすると拡大されるようになっていました。この拡大画像がちょうど本物のExcelと間違いやすいサイズになっていたため、PCに慣れないアカウントマネージャーがマニュアルのスクリーンショットをクリックした際、「Excelが開いた」と勘違いしたとのこと。アカウントマネージャーはそのまま画像を相手に試行錯誤していたため、「Excelが動かない」という報告になったというわけです。

ジェレミーさんがこの問題を説明すると、単純な勘違いだったことが明らかとなって笑い話となりました。最終的に、マニュアルから本物のExcelを開くことができるよう、Word文書にリンクを貼るという解決策が得られたとのことです。