IDC Japanは10月16日、国内企業/組織におけるITインフラ導入の意思決定やITインフラ導入のプロセスに関与する554人を対象に9月に実施した、国内ITインフラ支出動向調査をもとに、分析結果を発表した。

ITインフラ投資に期待するビジネス成果(IDC調べ)

今回の調査により、ITインフラ投資に期待するビジネス成果は、コスト削減や事業運営の効率化、売上や利益の拡大といった事業拡大に加え、顧客満足度の向上やイノベーションの加速といったデジタルビジネスに直結する項目も重視されていることが明らかになった。

デジタルビジネスの成熟度が高い回答者は、ITインフラ投資の優先度が高く、ITインフラのレジリエンシーも備えている傾向があるとし、ITインフラ投資ではITインフラのセキュリティや俊敏性の向上、運用管理の自律化に加え、データ分析基盤に対する投資が重視されているという。

近年、オンプレミスにおけるハードウェアのas a Serviceモデルのソリューションが拡充しており、今回の調査結果では、ハードウェアのas a Serviceモデルを利用する理由は、使用量に応じた支払い、過大な初期投資の回避、利用とコストの対応関係の明確化が上位となった。ITコストの最適化に加え、ITインフラコストの説明責任やコスト負担部門の明確化もas a Serviceモデルの利用理由となっていることが見てとれる。

また、Generative AI(生成AI)への取り組み拡大はITインフラにも影響をおよぼすとし、Generative AIの活用によって起こるITインフラの変化では、サイバーセキュリティ脅威への対応、オンプレミスへのワークロードの再配置、ITインフラの複雑性の増大、パブリッククラウドへの移行の加速が上位となった。

IDC Japan Infrastructure & Devicesのリサーチマネージャーである宝出幸久氏は、次のようにコメントしている。「デジタルビジネスを拡大するためには、ITインフラは優先度の高い投資領域の一つである。Generative AIの活用が進めば、ITインフラがさらに複雑化し、ITインフラの分散化が加速する見込みである。ITインフラ投資においては、データ活用によるイノベーションの実現と、ITインフラの信頼性の向上を両立すると共に、デジタルビジネスを実現するための共通基盤を構築することが重要になる」