セントライト記念は本当にソールオリエンスでテッパンか? 舞台設定を味方にする伏兵2頭の大駆けも!?
3歳牡馬クラシック最終戦となるGI菊花賞(10月22日/京都・芝3000m)のトライアルレース、GIIセントライト記念(中山・芝2200m)が9月18日に行なわれる。
注目は何といっても、GI皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)を制して、GI日本ダービー(5月28日/東京・芝2400m)でも僅差の2着となったソールオリエンス(牡3歳)だろう。その実績からして、ここでは断然の存在と言える。デイリー馬三郎の木村拓人記者もこう語る。
「今回は正直なところ、10割の出来、というわけではないと思います。ですが、ダービーではタスティエーラに屈したとはいえ、わずかクビ差。いい競馬をしていましたし、この世代では抜けた存在であることは間違いありません。
また、舞台も東京より中山のほうが向いているはず。ここでは恥ずかしい競馬はしないと思います」
過去10年の結果を振り返ってみても、セントライト記念は1番人気が3勝、2着4回と安定した成績を残している。そうした傾向を踏まえても、今回はソールオリエンスで"テッパン"と言えそうだ。
となると、穴党の出番はなさそうだが、木村記者は他馬がつけ入る隙が「まったくないとは言えない」と言う。
「ソールオリエンスとしては菊花賞という目標が先にあるので、ここは勝負にこだわって早めに位置を取りに動く競馬はしないと思います。
それに、先週の中山のレースを見る限り、雨でも馬場がよく、時計も速くて、道中内目を通った馬の好走が目立っていました。特に馬場が乾いてからの日曜日は、それがより顕著でした。逆に道中外目を回って、4コーナーから直線にかけて大外をブン回すような競馬をする馬にはどうかな? という馬場状態でした。
実際、日曜日に行なわれた重賞、GIII京成杯オータムハンデでは人気になったインダストリアがまさにそういった競馬で7着と惨敗。そうした馬場傾向は今週も変わらないと思うので、後方一手の脚質の馬にはキツいかもしれません」
皐月賞では豪快な大外一気の競馬で快勝したソールオリエンス。今回も同様の競馬を見せるようなら、取りこぼしがあってもおかしくない、というわけだ。
「ですから、私はキングズレイン(牡3歳)を本命に考えています。同馬は人気になると思いますが、他の人気薄馬にも台頭の余地は十分にあると見ています」と、木村記者。そして、その可能性のある穴馬候補を2頭、ピックアップした。
「1頭目は、先行力のあるグリューネグリーン(牡3歳)です。2歳秋にGIII京都2歳S(阪神・芝2000m)を勝利。以降もどこかでまた大仕事をしてくれると期待して注目してきたのですが、不利を受けたり、流れが合わなかったりして、なかなか結果を出せませんでした。
それでもこの夏、同じように期待していたトップナイフがGII札幌記念で9番人気ながら2着と好走。この馬にももう一度チャンスがあると見て、狙ってみたいと思います」
セントライト記念での大駆けが期待されるグリューネグリーン
過去、中山では3戦して11着、8着、11着と振るわない。だが木村記者は、今回の芝2200mという舞台設定は合うと踏んでいる。
「中山での過去3戦は内回りの芝2000mでしたが、今回は外回りの芝2200m。ビシッとした脚ではなく、たらっとした脚を使うこの馬には、外回りのほうがいいはず。上位にくるためには上がりがかかる条件が必要、ということを考えても、このコースが合っています。
展開的にも前受けできますし、ソールオリエンスが後方でじっくり構えてくれるなら、この馬の出番の可能性は高まります。
鞍上は中山で強い田辺裕信騎手。半兄のヴェルデグリーンは同じコースのGIIオールカマーとGIIアメリカジョッキークラブCを勝っていますし、その時にコンビを組んでいたのも田辺騎手。大駆けへのお膳立ては整った、と言えるのではないでしょうか」
木村記者が推すもう1頭は、3連勝でここに挑む"上がり馬"のウィズユアドリーム(牡3歳)だ。
「このレースにも出走しますが、デビュー戦から2連勝してその後も重賞戦線で人気になっていたセブンマジシャン(牡3歳)相手に、前走の2勝クラス・西部日刊スポーツ杯(8月12日/小倉・芝2000m)で快勝しました。セブンマジシャンが当初の期待どおりには成長していないとはいえ、この勝利には一定の評価を与えていいでしょう。
また、この世代が初年度産駒となるサトノダイヤモンド産駒は、ディープインパクト産駒の父とは異なり、キレる脚があるタイプではなく、ある程度先行して、しぶとく粘る展開のほうが走る傾向にあります。
ですから、この馬も中山、それも外回りの芝2200mの舞台が合うと思います。1ハロンの距離延長も、これまでの走りや父の距離適性からも歓迎のクチ。楽しみです」
春の二冠で強さを示したソールオリエンスが、その実績どおりの走りを見せるのか。はたまた、馬場や舞台設定を味方にした伏兵の台頭があるのか。後者であれば、ここに挙げた2頭の一発に期待が膨らむ。